ハードボイルド、あるいはフィルム・ノワールを代表する傑作『チャイナタウン』。
1974年の公開からなんと50年以上が経ちましたが、今なお映画史に燦然と輝く名作の一つです。
本記事では、同作のあらすじ含めたレビュー、主要キャストたちの2026年現在にくわえ、Wikipediaにも載っていない撮影裏話などご紹介しましょう。
ハードボイルド映画の傑作『チャイナタウン』
ロマン・ポランスキー監督、脚本を手掛けたロバート・タウンはもちろん、出演したジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストンにとっても、まがうことなき代表作の一つとなった1974年公開の映画『チャイナタウン』。
1930年代後半のロサンゼルスを舞台に、ある殺人事件を究明する一人の私立探偵が、おぞましい愛憎入り混じる人間関係に巻き込まれる姿を描くハードボイルド、あるいはフィルム・ノワール映画の傑作です。
公開から50年以上たってもいまだ色褪せぬ名作『チャイナタウン』をもう一度ふりかえりましょう。
『チャイナタウン』の主要登場人物と演じたキャストの現在(2026)
●ジェイク・ギテス/ジャック・ニコルソン:私立探偵
●エヴリン・モーレイ/フェイ・ダナウェイ:ホリスの妻でありノア・クロスの娘
●ノア・クロス/ジョン・ヒューストン:エヴリンの父であり資産家にして町の権力者
●カーリー/バート・ヤング:ギテスの友人
●ホリス・モーレイ/ダレル・ツワーリング:エヴリンの夫
●アイダ・セッションズ/ダイアン・ラッド:エヴリンになりすました女
①ジャック・ニコルソン
ニヒルな私立探偵ジェイク・ギテスを演じたジャック・ニコルソンは、1937年4月22日生まれ、2026年2月時点で88歳になります。アカデミー賞だけでも12度のノミネートで3度受賞という名優中の名優ですが、2020年の『幸せの始まりは』を最後に出演映画はなく、俳優としては事実上、引退状態にあります。
2025年2月には国民的コメディショー『サタデー・ナイト・ライブ』の50周年記念番組に久しぶりに出演し話題になりましたが、肥満と歩行困難が見て取れ、健康面からも俳優復帰は難しいのではないかと囁かれています。
私生活では、正式な結婚は一度だけですが、さまざまな女性と浮名を流し、5人の女性との間に私生児含め合計6人の子どもがいます。
②フェイ・ダナウェイ
氷のような美貌と人には言えぬ暗い過去を背負うエヴリンを演じたフェイ・ダナウェイは、1941年1月14日生まれ、2026年2月現在85歳です。『俺たちに明日はない』、アカデミー主演女優賞に輝いた『ネットワーク』はじめ、ハリウッド黄金時代の王道を行く、大女優らしい風格と存在感は、なかなか今の女優には見当たりません。
今なお現役であり、2024年には彼女の半生に迫ったドキュメンタリー映画『Faye』が公開されたほか、3本の新作映画が待機中あるいは撮影中です。
私生活では、故マルチェロ・マストロヤンニとの恋愛が有名ですが、破局後の1974年にJ・ガイルズ・バンドのピーター・ウルフと結婚し、1979年に離婚。1984年に写真家のテリー・オニールと再婚しましたが、こちらも1987年に離婚に終わっています。テリーとの間に長男がいますが、後に実子ではなく養子だったことが暴露されました。
③ジョン・ヒューストン
傲慢な大富豪でエヴリンの父ノア・クロスを演じたジョン・ヒューストンは、 1987年8月28日、肺気腫により81歳で死去しています。
アカデミー監督賞と脚色賞をW受賞した『黄金』はじめ、『マルタの鷹』『アフリカの女王』『白鯨』など多数の名作を手掛けた名匠ですが、俳優としても複数の作品に出演しており、とりわけこのノア・クロス役は映画史に残る悪役として非常に高い評価を得ています。
私生活では、5度の結婚歴がありますが、すべて離婚あるいは死別に終わっています。子どもは合わせて5人おり、そのうちの一人で女優のアンジェリカ・ヒューストンは長らくジャック・ニコルソンのパートナーでした。本作の共演が実現したのも、アンジェリカの仲介によるものだと言われています。ちなみに、1985年のジョン・ヒューストン監督作『女と男の名誉』でアンジェリカはジャック・ニコルソンと共演し、アカデミー助演女優賞を受賞しています。
④その他キャスト
ギテスに手を貸すカーリーを演じたバート・ヤングは、2023年10月8日、83歳で死去。エヴリンの夫ホリスを演じていたダレル・ツワーリングは、2014年4月11日、85歳で死去しました。
アイダを演じていたダイアン・ラッドも、2025年11月3日に89歳で死去し、主要キャスト6人のうちダナウェイとニコルソン以外全員故人となりました。ちなみに、ダイアン・ラッドの最初の夫は俳優のブルース・ダーンであり、娘が女優のローラ・ダーンです。
『チャイナタウン』をもっと楽しむ、知られざる裏話5選
①ギテスの平手打ちシーン
劇中、強烈な印象を残す場面の一つである、ギテスがエヴリンを激しく平手打ちするシーン。
当初はふりをしているだけでしたが、なかなか納得のいくテイクにならず、苛立ったダナウェイが、実際に自分を激しく平手打ちするようニコルソンに申し出たのです。ニコルソンは罪悪感を覚えたといいますが、映画では本当に平手打ちしたカットが使用されています。
②ジャック・ニコルソンとロマン・ポランスキーの衝突
撮影中、二人は頻繁に口論し、衝突していました。ある日、ポランスキーは、ニコルソンの持っていたポータブル・テレビをモップで破壊してしまいます。
というのも、ニコルソンがバスケットボールのテレビ中継に夢中になり、たびたび撮影を遅らせており、それに腹を立てていたためでした。
またポランスキーは、ギテスの鼻をナイフで切る悪党役でカメオ出演していますが、二人の関係性もあってか、それを大変気に入っていたようです。
③脚本を手掛けたロバート・タウンの裏話
ロバート・タウンは1974年の映画『華麗なるギャツビー』の脚本を依頼されていましたが、F・スコット・フィッツジェラルドの原作を超えられないと判断し、高額のギャラを蹴って自ら降板。代わりに引き受けたのが5分の1のギャラながら、自身が執筆する本作の仕事でした。
ちなみにロバート・タウンはその後も、『ミッション:インポッシブル』などの脚本を手掛け、2024年7月1日、89歳で死去しています。
④敏腕プロデューサーのロバート・エヴァンスについて
プロデュースしたロバート・エヴァンスは、『ローズマリーの赤ちゃん』『ある愛の詩』『ゴッドファーザー』など手掛けた、ハリウッドきっての敏腕プロデューサーであったばかりか、女優のアリ・マッグローらと7度の結婚・離婚歴、ドラッグ所持で逮捕など、派手な私生活でも有名でした。
1994年には裏話満載の告白本『くたばれ!ハリウッド』を発表し、日本でも出版されているほか、ドキュメンタリー映画化もされました。中にはロマン・ポランスキーのことや本作撮影裏話も多く掲載されており、おすすめです。
ロバート・エヴァンスは、2019年10月26日、89歳で死去しました。
⑤ヒューストン親子とジャック・ニコルソン
上述の通り、1973年にアンジェリカ・ヒューストンとジャック・ニコルソンが交際を始めたばかりの時期の作品であり、その関係からジョン・ヒューストンの出演が実現したとも言われています。
ただそれゆえ、ニコルソンにとってはずいぶん気まずい撮影だったようです。中でも、アンジェリカが撮影現場に見学しにきたのは、まさにノア・クロスに「お前は娘と寝たのか」と問い詰められるシーンでした。
映画『チャイナタウン』のあらすじと感想レビュー
主演はジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェイ。監督ロマン・ポランスキー、脚本ロバート・タウン、プロデューサーが『くたばれ!ハリウッド』で知られるロバート・エヴァンス。ジェリー・ゴールドスミスの音楽が、物悲しさと退廃感を盛り上げる。
舞台は1930年代のロス。
私立探偵ギテスは、一人の女から夫の浮気調査を依頼される。
やがて、水源電力局の部長だった夫は殺害され、その後、依頼者とは別人の本物の妻エヴリンも登場し、いよいよ事件はダム建設をめぐる巨大な陰謀につながっていく。
そして、事件の裏で次第に明らかになる、エヴリンをめぐる愛憎の秘密。
チャイナタウンとは、かつてギテスが刑事だった頃に管轄した場所であり、混沌と特異性を象徴する。
ギテスの言葉を借りるならば、「ほんの先のことすら読めない街」だ。
まさしく、この映画のテーマそのものである。
ギテスのキャラクターは、最初からジャック・ニコルソンを想定して書かれたのだという。
映画でははっきり描かれていない、おそらく女に関係した深い心の痛手が、さりげなく垣間見える陰の部分がいい。
エヴリンを演じたフェイ・ダナウェイのミステリアスな美しさも必見。
眉を剃って上に細く描き、唇の輪郭を弓型にくっきりなぞる独特のメイクのため、カット毎に直しが必要だったという。
真実を聞きだそうと、ギテスがエヴリンを連続で平手打ちする場面は、痛々しいばかりか、心にも強く残る名シーンだ。
エヴリンは、物語の中ではただ一人、純粋で無欲な存在。
しかし、それゆえに、悲劇が彼女を襲う。
夜のチャイナタウンでそれが起こり、映画は終わる。
虚無感とどうしようもないやるせなさが、いつまでも拭えず続く。
続編『黄昏のチャイナタウン』と合わせての鑑賞はU-NEXTがおすすめ!
『チャイナタウン』の大ヒットを受け、1990年に公開された続編が『黄昏のチャイナタウン』、原題「The Two Jakes(二人のジェイク)」です。
ジャック・ニコルソンが、主演のみならず監督も自ら手掛け、前作からおよそ十年後の1948年を舞台に、私立探偵ジェイク・ギテスが新たな事件に巻き込まれる姿を描きます。
批評家筋からの評価自体は決して悪くなかったものの、興行的には失敗。それも前作があまりにも素晴らしい名作だったからでしょう。
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