『マンチェスター・バイ・ザ・シー』あらすじネタバレ・感想レビュー

マンチェスター・バイ・ザ・シー 映画

第89回アカデミー賞の主演男優賞含め、さまざまな主要映画祭で複数の受賞・ノミネートを果たした秀作映画が『マンチェスター・バイ・ザ・シー』です。

ここではネタバレ含むあらすじ、キャストを紹介したのち、見どころポイントや魅力に迫りたいと思います。

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ケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞に輝いた『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016):作品紹介

メガホンをとったのは、ブロードウェイ舞台の演出で広く知られるほか、2000年の映画『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』が非常に高い評価を得たケネス・ローガン

また、主演ケイシー・アフレックの兄ベン・アフレックの盟友で俳優のマット・デイモンがプロデューサーに名を連ねています。

あらすじ

ボストン郊外に住むリー・チャンドラーは、水漏れなどアパートの雑用を引き受ける便利屋。短気で喧嘩早い彼のもとに、兄ジョーの訃報が届きます。

故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ったリーは、自分が16歳になる甥パトリックの後見人に指定されていることを知ります。同時に、そのことで、覆い隠してきた自身の辛い過去と向き合わざるを得なくなっていくのでした。

以下、ネタバレ。

かつて、リーはこの町で兄と同じ漁師の仕事をしながら、愛する妻ランディ、3人の子どもと幸せな家庭を築いていました。ところが、自身の不注意から火事を起こし、子どもたち全員を焼死させてしまいます。そのせいでランディとも離婚し、一人町を去ったという壮絶な過去を背負っていたのでした。

パトリックの間に少しずつ肉親の愛情が芽生えていくものの、過去の苦しみを乗り越えることは容易ではなく、結局、古い友人ジョージに引き取ってもらうことに……。

それでも、数か月後、ジョーの埋葬で再会した2人は心を通じ合わせ、リーはパトリックを家に受け入れることを告げるのでした。

主要登場人物とキャスト

1.リー・チャンドラー/ケイシー・アフレック

壮絶な過去を背負う孤独な男リー・チャンドラーを演じたケイシー・アフレックは、本作で見事アカデミー賞やゴールデングローブ賞など主要な賞の主演男優賞を独占しました。

1975年8月12日、マサチューセッツ州ファルマス生まれで、ベン・アフレックは実兄です。1995年の『誘う女』で映画デビュー。2007年の映画『ジェシー・ジェームズの暗殺』での演技が絶賛され、一躍実力派俳優として名乗りをあげました。

プライベートでは、2006年に女優のサマー・フェニックスと結婚し、二男をもうけましたが2016年に離婚しています。過去のセクハラ疑惑がスキャンダルになったこともありました。

2.ランディ/ミシェル・ウィリアムズ

事件が原因でリーと別れ、今は別の男性と結婚している元妻のランディを、ミシェル・ウィリアムズが演じています。

ミシェル・ウィリアムズは1980年9月9日生まれ、モンタナ州出身。子役からスタートし、2005年の映画『ブロークバック・マウンテン』や2010年の『ブルーバレンタイン』などに出演し、当代きっての実力派女優へと上り詰めました。

故ヒース・レジャーとは一女をもうけるも婚約解消に至っています。

3.ジョー・チャンドラー/カイル・チャンドラー

息子を残して急死するリーの兄ジョーをカイル・チャンドラーが演じています。

カイル・チャンドラーは1965年9月17日生まれ、ニューヨーク州バッファロー出身。主にテレビドラマを中心に活躍していますが、映画では『アルゴ』『ゼロ・ダーク・サーティ』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など話題作で名バイプレーヤーぶりを発揮しています。

プライベートは、既婚者で二人の娘の良き父です。

4.パトリック・チャンドラー/ルーカス・ヘッジズ

ジョーの遺児、つまりリーの甥にあたるナイーブな高校生パトリックを若手注目株のルーカス・ヘッジズが演じています。

ルーカス・ヘッジズは、1996年12月12日、ニューヨーク市出身。父は監督のピーター・ヘッジズ、母は女優のスーザン・ブルースと、恵まれた芸能一家に生まれました。

2012年の映画『ムーンライズ・キングダム』で事実上の俳優デビュー。同じくウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』に続き、本作パトリック役でさまざまな賞にノミネートされ、一躍注目されました。

その後も『レディ・バード』『ある少年の告白』など話題作が続いています。



『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の感想・解説レビュー

ケイシー・アフレック扮する主人公のリーは、人と交わらず、愛想が悪いどころか平気で暴言を吐き、おまけに酒が入るとすぐ血が上って暴力をふるう。映画の冒頭、そんな嫌われ者のイヤな男として登場するリーのもとに届いた兄ジョーの訃報。

ボストンから車で1時間あまり北上した港町がマンチェスター・バイ・ザ・シーだ。リーは葬儀の手配や遺された高校生の甥パトリックの面倒を仕方なくみる一方、遺言で自分が後見人に指定されていることを知る。

かつては子煩悩で、妻を愛し、その人柄から友人も多かったリー。

物語は、現在と過去を交互に描いて進み、少しずつリーが抱える心の闇、その原因となった壮絶な過去が明らかになってくるのである。

結局、リーはもちろん、その周囲に誰一人として嫌なキャラクターはいないのだが、どの関係性にも何やら不安定な違和感が終始拭えない。

リーの同意なく、無断で息子の後見人に指定して世を去った兄のジョーは、すでに数年前から余命宣告を受けていた。パトリックは父の死を淡々と受け流しながら、心底では孤独と哀しみに打ちひしがれている。パトリックの母は、おそらく酒が原因で離縁され、今は離れた場所で再婚しているものの、どうもあまり幸せそうには見えない。

誰もがみな、それぞれ逆境や挫折の中、ときに酷い傷を負いながらもなんとか普通を装って生きているのである。

葬儀で、リーが久しぶりに再会する元妻のランディ。

ランディもすでに再婚し、今や妊娠中でいっけん幸せそうに見えるのだが……。

ところが、その後、道でばったり出くわしたランディは、突然、リーを前に取り乱し、癒えることのない痛みと謝罪を涙ながらに吐露するのである。

逆境に耐えながら踏ん張るように生きている2人が、崩れ落ちるように素顔を曝け出す姿に、激しく心を揺さぶられた。

ランディを演じたのがミシェル・ウィリアムズ。

『ブロークバック・マウンテン』でも『ブルーバレンタイン』でも、彼女の素晴らしい演技にはいつも泣かされる。

確かな出口が示されぬまま映画は終わるが、リーとパトリックが交わす不器用なキャッチボール、そして船上に佇むリーの姿には、ほのかな再生の兆しが見える。

アカデミー賞の授賞式で、兄のベン・アフレックが目を潤ませながら、ケイシーの受賞スピーチを客席から見ていたのがとても印象的だった。

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