Netflix『ハリウッド』を楽しむ12の実話【キャスト/実在人物】

Netflix『ハリウッド』 ドラマ

戦後のハリウッド黄金時代、夢をつかもうと奮闘する若者たちの姿を軸に、映画業界の舞台裏を描いたNetflixオリジナルドラマハリウッド

架空の人物と実在の人物を混在させ、また実際にあった出来事を盛り込みつつも、物語自体は完全なるフィクションというユニークな設定が見どころです。

ここでは、そんな話題のドラマ『ハリウッド』を、もっと深く楽しむための12の裏話・実話をご紹介したいと思います。

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Netflixドラマ『ハリウッド』に関する実話トリビアを紹介!

『ハリウッド』を手掛けたのは、『glee/グリー』『アメリカン・ホラー・ストーリー』『POSE/ポーズ』など大ヒットドラマシリーズを連発しているライアン・マーフィー

ダレン・クリス、ディラン・マクダーモット、パティ・ルポーンらライアン・マーフィー作品おなじみの役者たちにくわえ、デヴィッド・コレンスウェット、ローラ・ハリアー、ジェイク・ピッキングらフレッシュな若手キャストが、実在あるいは架空の登場人物を演じています。

1. 劇中映画『ペグ』のモチーフとなった実際の悲劇

ドラマ後半で『メグ』へと名前の変わる劇中映画『ペグ』は、ハリウッドサインから飛び降り自殺する女優の物語ですが、実際にあった事件がモチーフになっています。

イギリス出身の24歳の新進女優ペグ・エントウィスルが、映画『13人の女』(日本未公開)の撮影終了直後の1932年9月18日、実際に「H」の文字の一番上から投身したと思われる遺体となって発見されたのです。

ペグ・エントウィスルは、1920年代後半からブロードウェイで注目されていた若手女優であり、『13人の女』は彼女の初クレジットとなるはずの映画でした。自身の出演したシーンがカットされることを悲観したからとも、それ以前からうつ病を患っていたからとも言われていますが、本当の理由ははっきりしていません。

映画は死後公開されましたが、さして話題になることもなかった代りに、ペグの悲劇そのものは大きな衝撃をもって受け止められ、ハリウッドサインの近くでペグの幽霊が出没するといった都市伝説すら拡がったこともありました。

2. ロック・ハドソンのカミングアウト

ドラマの中では、ゲイであることを早くにカミングアウトし、恋人の脚本家と手をつないでアカデミー賞のレッドカーペットを歩くシーンもありますが、事実はまったく異なります。

業界内では公然の事実だったものの、ロック・ハドソン自身は結局自らの口から、ゲイであることをカミングアウトすることはありませんでした。

1985年、亡くなる数か月前にAIDSであることを公表しただけで、死後、そこからゲイであったという事実が半ば公のものとして扱われるようになったにすぎません。

3. ロック・ハドソンとエージェントだったヘンリー・ウィルソンの関係は?

無名のロック・ハドソンをスターへと押し上げたのは敏腕エージェントとして知られていたヘンリー・ウィルソンであることに間違いはありません。ロック・ハドソンという芸名の名付け親だったことも事実です。

ドラマでは、ジャックが雑誌に男娼だったことをすっぱ抜かれ、ヘンリーが隠蔽工作にはしるシーンがありますが、実際には、「コンフィデンシャル」誌が暴露しようしたのはロック・ハドソンがゲイであるという事実でした。ヘンリーは、ドラマのように暴力によってではなく、別の2人の俳優に関するスキャンダル情報を流すことで、隠蔽を図りました。

同年、ロック・ハドソンはヘンリーの秘書だった女性と3年間の偽装結婚をしています。

ドラマとは異なり、1966年まで2人のエージェント契約は続きました。

4. アカデミー賞主演女優賞、初の黒人女性受賞者は?

ドラマでは、『メグ』によりローラ・ハリアー扮するカミール・ワシントンが見事アカデミー賞主演女優賞に輝きますが、実際に黒人女性が受賞を果たすのはずっと後のことです。

2002年にハル・ベリーが『チョコレート』で受賞したのが第一号です。

助演女優賞については、ドラマで描かれたとおり、1940年にハティ・マクダニエルが『風と共に去りぬ』により初の受賞を果たしています。ドラマ通り、マクダニエルは、受賞会場においてヴィヴィアン・リーらと同席することを許されませんでした。

ちなみに男優では、1964年にシドニー・ポワチエが『野のユリ』で主演男優賞、1983年にルイス・ゴセット・ジュニアが『愛と青春の旅だち』で助演男優賞を受賞したのがそれぞれ初の快挙です。



5. 1948年に開催された第20回アカデミー賞で、実際に受賞したのは?

ドラマでは、映画『メグ』が、作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・助演女優賞の5部門を制覇しますが、実際には、グレゴリー・ペック主演の『紳士協定』が、作品賞・監督賞・助演女優賞を獲得しています。

『三十四丁目の奇蹟』のエドマンド・グウェンが助演男優賞を受賞したのはドラマどおりであり、またステージの中央に置かれたオスカー像の舞台セットは、第20回の授賞式を忠実に再現したものです。

ハリウッド初の中国系アメリカ人女優アンナ・メイ・ウォンは、生涯、アカデミー賞を受賞することなく終わりました。

アジア人初の女優賞受賞は、日本人。1958年にナンシー・ウメキが映画『サヨナラで見事助演女優賞に輝いています。

6. ディラン・マクダーモット扮するアーニーのモデル、スコッティ・バウワーズ

ガソリンスタンドの経営者という表の顔とは別に、裏で男娼の斡旋をしているアーニー・ウエストは、スコッティ・バウアーズという実在の人物がモデルになっています。

スコッティ・バウアーズは、海軍除隊後、1946年にガソリンスタンドで働き始め、1950年からはパーティー専門のバーテンダーをしながら、有名人相手の売春斡旋をしていました。

2012年に、回顧録「Full Service」を発表し、その中で実名を挙げて当時の赤裸々な実態を暴露しています。2019年10月、腎不全により96歳で他界しました。

7. ドラマで使用された素晴らしい40年代の衣装の数々

ドラマは、1940年代を再現した見事な衣装も見どころの一つになっていますが、実際に使用された衣装のほぼ半分は、新しくハンドメイドで製作されました。

20世紀前半に、グレタ・ガルボらの衣装を手掛けた有名デザイナー、ギルバート・エイドリアンのデザインを参考にしたり、またジャックの衣装は、ジェームズ・ディーンとマーロン・ブランドのスタイルをイメージしたものでした。

演技指導をするエレン・キンケイド役のホランド・テイラーは、衣装デザイナーに、30年代・40年代の自身の母親の写真を提供し、その何着かのレプリカを着用しています。

8. 実際に心の病を抱えていたヴィヴィアン・リー

ドラマでは、やたら饒舌でエキセントリックな大女優として登場する『風と共に去りぬ』のヴィヴィアン・リーですが、実際、心の病を抱えていました。

大恋愛の末、ローレンス・オリヴィエと再婚していた時期ですが、50年代ごろからは、双極性障害に悩まされ、女優活動が難しいほどでした。

しかしドラマで描かれたとおり、1951年の映画『欲望という名の電車』では珠玉の名演技をみせ、二度目のアカデミー主演女優賞に輝いています。

9. 本当に当時、ゲイの恋愛映画が作られた?

ドラマでは、最後、ゲイであることを公表したことで干されたロック・ハドソン主演でゲイの恋愛映画が撮影されるというエピソードが描かれますが、もちろん事実ではありません。

実際に、ゲイの恋愛を真正面から描いた最初の映画は、1982年に公開されたアーサー・ヒラー監督作『メーキング・ラブ』だと言われています。

1982年当時でも、主人公2人のラブシーンでは、観るにたえないと席を立つ観客が続出したほどでした。

10. エージェントのヘンリー・ウィルソンの実像

ロック・ハドソンにサポートの見返りとして性的関係を強要するエージェントのヘンリー・ウィルソンですが、実際、若手の二枚目俳優を多くクライアントに抱える、敏腕エージェントとして名の知られた存在でした。パブリシティと役を与える代わりに、そうした関係を要求していたというのも事実です。

最大の稼ぎ手だったロック・ハドソンとの契約が1966年に切れ、また自身の悪い噂が拡がると同時に、ほとんどの俳優たちがヘンリーのもとを離れていきました。

自身も長らくアルコール中毒に苦しんでおり、孤独と貧困のうちに、1978年、肝硬変により死去しています。

11. エレン・キンケイドを演じたホランド・テイラーの恋人はサラ・ポールソン

ドラマでは、プロデューサーのディックのことを、ゲイだと知らずに好きになってしまうエレンを演じたホランド・テイラーですが、実生活では、『アメリカン・ホラー・ストーリー』などで有名な女優サラ・ポールソンと交際しています。

ホランドは1943年1月14日生まれ、サラが 1974年12月17日生まれ、つまり2人はほぼ32の歳の差があります。

12. キャストのなかにいる本物のオスカー俳優

アカデミー賞受賞式が、ドラマのクライマックスになっていますが、キャストの中には本物のオスカー受賞者が一人だけいます。

エースの不倫相手でもあった大女優ジーン・クランドルを演じていたミラ・ソルヴィノです。

ミラ・ソルヴィノは、1995年にウディ・アレン監督作誘惑のアフロディーテ』で娼婦をしている母を演じ、見事アカデミー助演女優賞を受賞しています。



実話とフィクションないまぜの面白さを楽しみたいNetflixドラマ『ハリウッド』

マイノリティーでも見事にアカデミー賞受賞、早くにカミングアウトするロック・ハドソン、堂々と手をつないでレッドカーペットを歩くゲイカップル……。

どれも今では全てごく普通のことになりましたが、1940年代から50年代のハリウッドでは絶対にありえないことばかりでした。

つまり、ドラマ『ハリウッド』は、簡単に言ってしまえば「こうであって欲しかった」という願望を映像化したものだと言うこともできます。

そんな点を踏まえながらドラマ『ハリウッド』を観ると、また別の楽しみ方ができるのではないでしょうか。

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