『オッドタクシー』オーディオドラマ考察・ボールペンの謎ネタバレ

オーディオドラマ『オッドタクシー』 その他

2021年4月から6月までテレビ東京系列で全13話が放送され、コミカルながらミステリアスでハードボイルドな展開が大きな話題をよんだ擬人化アニメ『オッドタクシー』。

テレビ放送に合わせ、公式YouTubeチャンネルにおいて毎回オーディオドラマが配信されていたことをご存じですか? アニメではくわしく描かれていない裏ストーリーが展開し、ある驚くべき真相が明らかになります。

そこで本記事では、「幸せのボールペン」と名付けられたペン型盗聴器にまつわるオーディオドラマの展開、そしてアニメ各話との関係を詳しく、時系列に考察し、謎解きしたいと思います。

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アニメ『オッドタクシー』とは?

孤独で不愛想なタクシードライバーの小戸川を主人公に、一人の女子高生失踪事件をめぐる、アイドルグループとその関係者、反社の男たち、お笑い芸人、警察、小戸川の友人などが絡む人間模様をサスペンスタッチで描いた擬人化群像劇が「オッドタクシー』です。

脚本は漫画家の此元和津也、監督およびキャラクターデザインは木下麦が担当し、また豪華な声優陣、スカートとPUNPEEが手掛けたテーマ曲なども大きな話題になりました。

さまざまな謎や伏線が張り巡らされたアニメ全13話のネタバレあらすじや登場人物の振り返りについては下記の記事をご覧ください。

オーディオドラマ『オッドタクシー』とは?

アニメ同様、全13話、各5分前後でYouTube配信されたのがオーディオドラマ『オッドタクシー』です。

こちらの主人公(MC)は、お笑い芸人「ホモサピエンス」の追っかけファンで高校生の長嶋聡。長嶋が偶然傍受したという、ある盗聴器から流れる音声を毎回少しずつ公表するという構成になっています。

ある盗聴器とは、ファンシーな形をした1本の「幸せのボールペン」。アニメでは一切触れられることはないものの、実はあちらこちらに顔を出していました。

まるでバトンのようにさまざまな人の手に渡る「幸せのボールペン」が、アニメとオーディオドラマでどのように登場するかを時系列で説明します。



「幸せのボールペン」の謎を時系列で考察〈ネタバレ注意〉

アニメ(○)では、おそらく第4話・第8話・第9話・第11話以外のどこかの場面に、「幸せのボールペン」が登場。一方、オーディオドラマ(●)では必ず会話の中で触れられています。

ここでは、「幸せのボールペン」の動きに焦点をしぼって考察し、アニメの各話あらすじについては割愛しますので詳しくは上記のリンク記事をご覧ください。

各話見出しにカッコ書きしたのはその時点での持ち主です。

○アニメ第1話「変わり者の運転手」【タエ子】

柿沢と剛力がカウンターに座って酒を飲んでいる行きつけの居酒屋「やまびこ」の場面。

女将のタエ子の背後にある食器棚の中に「幸せのボールペン」が置いてあるのが、はっきり確認できます(19分過ぎ)。

●オーディオドラマ第1.3話「幸せのボールペン」【→剛力→小戸川】

剛力医院で診察を受けている小戸川と剛力の会話です。

剛力がカルテを書くのに使っているのが「幸せのボールペン」。剛力らしからぬ可愛らしいペンだと呆れる小戸川に、剛力が由来を説明し、手渡します。

剛力はそれを誰にもらったのか、「やま……」と言いかけて音声は途切れてしまいますが、アニメ第1話の上記シーンから、「やまびこ」のタエ子さんだということが推測できます。

○アニメ第2話「長い夜の過ごし方」【小戸川】

「ホモサピエンス」を客として乗せている小戸川。運転席のサンバイザーに「幸せのボールペン」が挟まっています。(20分過ぎ)

○アニメ第3話「付け焼き刃に御用心」【小戸川】

銃を手にしたドブを乗せている小戸川。いまだ運転席のサンバイザーに「幸せのボールペン」が挟まったままです。(5分過ぎ)

○アニメ第5話「アイドルなんて呼ばないで」【→山本】

小戸川のタクシーに乗って、三矢ユキと市村しほを送迎し、最後に事務所で降りたマネージャーの山本。バッグに「幸せのボールペン」が挟まっているのが見えます。(10分過ぎ)

乗車するときのバッグには見当たりませんから、小戸川から受け取ったとみるのが自然でしょう。もらったのか、借りてそのままなのか、そのいきさつは描かれていません。



●オーディオドラマ第2.5話「絶対絶対秘密だよ♡」【→市村→二階堂】

アイドルグループ「ミステリーキッス」の3人、二階堂ルイ・市村しほ・三矢ユキの会話。

市村が、マネージャーの山本からもらったという「幸せのボールペン」を持っています。市村いわく、山本はタクシーの運転手からもらったらしいと……。

次それ私にもらえない?と二階堂の手に渡ります。

●オーディオドラマ第3.5話「昼のグルメロケ」【→馬場→柴垣】

仕事のない「ホモサピエンス」の柴垣が、相方の馬場が出るグルメロケをテレビで見ながら、独り言をつぶやいています。その後、馬場と電話で話しますが、その中で「幸せのボールペン」の話が出てきます。

馬場が、彼女(二階堂ルイ)からもらったボールペンを柴垣が勝手に持っていったことが判明。ボールペンの由来を説明すると、柴垣はバイト先(新宿のキャバクラ)の先輩(今井)に渡すと言います。

○アニメ第6話「なんでやねんが聞きたいよ」【今井】

小戸川のタクシーに乗り込んできた今井のバッグには「幸せのボールペン」が確かに挟まれています。(1分過ぎ)

オーディオドラマ第3.5話で話されていたとおり、柴垣から今井に渡ったものです。

●オーディオドラマ第4.6話「小戸川の鼻歌」【→小戸川のタクシー車内】

「幸せのボールペン」がタクシーの車内に置き忘れられたということで、運転する小戸川の独り言と鼻歌が録音されています。

アニメ第6話において、今井が下車するとき、後部座席のどこかに落としたものと推測されます。

●オーディオドラマ第5.6話「余計なお世話」【→長嶋→小戸川】

仕方なく、長嶋が小戸川のタクシーに乗車し、車内に放置された「幸せのボールペン」を見つけてやることに……。車内での、小戸川と長嶋の会話が録音されています。

長嶋はつい熱っぽく「ホモサピエンス」愛を語ります。下車するとき、車内に落ちていたボールペンを差し出し、「これはホモサピエンスのものだから返してあげてほしい」と、小戸川に手渡します。

●オーディオドラマ第6.7話「ルイたんとババにゃん」【→馬場】

仕事から夜遅く帰宅した「ホモサピエンス」馬場の独り言が録音されています。さらに、交際している二階堂ルイと電話で話します。

タクシーの運転手(小戸川)がわざわざ「幸せのボールペン」を事務所まで届けてくれ、手元に戻ってきたこと。二階堂ルイからは、落とし物だと言って、警察に届けたらどうかと言われます。

○アニメ第7話「トリック・オア・トリート」【→大門兄弟】

ハロウィンでにぎわう渋谷を警備する大門兄弟。大門兄の胸ポケットに「幸せのボールペン」が挟まっています。(19分過ぎ)

二階堂に言われたとおり、馬場が警察に届けたのです。

●オーディオドラマ第7.8話「JUSTICE part.2」

渋谷の街を巡回する大門兄弟の会話が録音されています。

大門弟は、大門兄に、持っている「幸せのボールペン」のことをきかれ、落とし物として届けられたと説明します。落とし物の処理の仕方がわからないという弟に代わって、兄がボールペンを受け取ります。

アニメ第7話で、大門兄が「幸せのボールペン」を持っているのは、この流れにあります。



●オーディオドラマ第8.8話「ロートルの戯言」【→呑楽の知り合い】

今回の録音は、「やまびこ」の店内。女将のタエ子、笑風亭呑楽、呑楽の連れ(テレビ局のプロデューサー?)が酒を飲みながら会話している様子です。

タエ子は、呑楽の連れが「幸せのボールペン」を持っていることに気づきます。外でたまたま拾ったと……。おそらく、大門兄が落としたものを拾ったのでしょう。

○アニメ第10話「俺たちに明日はない」【→…→山本】

控室らしき仕事の現場から、小戸川に電話をかけている山本。テーブルの上には、「幸せのボールペン」が置かれています。(19分過ぎ)

「やまびこ」で呑楽の連れが持っていたものが、どのようないきさつで山本の手に渡ったかは、オーディオドラマ第9.9話と第10.10話ではっきり説明されます。

●オーディオドラマ第9.9話「ワンマンショー」【→ヤノ】

ヤノによるラップの独白が録音されています。柿花に逃げられ、また関口はドブにやられて困ったといった内容です。

その中で、「幸せのボールペン」は「ミステリーキッス」のマネージャー・山本から手に入れたこと、しかしまた返すと言っています。

●オーディオドラマ第10.10話「マネージャーの憂鬱」【→山本→二階堂→三矢】

二階堂ルイと山本の会話を録音したものです。

「幸せのボールペン」については、たまたま入った居酒屋(「やまびこ」)で見つけて、ヤノにあげたものがまた戻ってきたと説明しています。

「やまびこ」では、持ち主だった呑楽の連れのプロデューサーらしき人物がタエ子を口説こうとしていましたから、タエ子にあげた公算が強いと推測できます。

最後に、二階堂が「これ、ミステリーキッスで唯一持ったことないあの人に渡してみよう」と言っています。第2.5話において、市村しほが持っていたことがわかりますから、まだ持ったことのない人と言えば、三矢ユキであることがわかります。

●オーディオドラマ第11.10話「The cat is out of the bag.」【三矢】

市村しほと三矢ユキが会話しています。そこに、三矢ユキの母親から電話。どうやら三矢ユキのプライベートが盗聴され、それがネットにアップされていると教えられます。それを聞いた三矢の声が変わり……。

つまり、第10.10話で話されていたとおり、「幸せのボールペン」は二階堂から三矢のもとに渡っていたことが確認できます。

●オーディオドラマ第12.11話「渋谷駅新南口の喧騒」【→渋谷街中→長嶋】

長嶋が、渋谷駅新南口の自動販売機の下に捨てられていた「幸せのボールペン」を回収してきたという事実が話されます。

「(盗聴が)バレたっぽい」とも言っていることから、オーディオドラマ第11.10話で、母親から盗聴の事実を教えられた三矢ユキが、それに気づいて捨てたものと思われます。

○アニメ第12話「たりないふたり」【長嶋】

N-1グランプリに出場している「ホモサピエンス」の漫才を客席で見ている長嶋は、手に「幸せのボールペン」を持っています。(6分過ぎ)

○アニメ第13話(最終回)「どちらまで?」【→…→和田垣】

最後に「幸せのボールペン」を手にしているのは和田垣さくら。

母親と電話で話しながら道を歩いていますが、その手にしっかりと「幸せのボールペン」が握られています。(22分過ぎ)

長嶋の手から、どのようないきさつで和田垣さくらの手に渡ったかは、オーディオドラマの最終回第13.13話で説明されます。



●オーディオドラマ第13.13話「本日貸切」【長嶋→タエ子→和田垣】

小戸川の快気祝いで、剛力、白川、ホモサピエンスの2人、柿花、長嶋らが集まり、「やまびこ」で貸切宴会中の音声を録音したものが流れます。

続いて、長嶋は、参加した理由の一つだった、元の持ち主に「幸せのボールペン」を返したと告白します。それはタエ子。タエ子も自分と同じように傍受していたはずだと……。

みなが帰り、「やまびこ」閉店後一人になったタエ子の告白音声が流れます。

警察に疑われていた小戸川のことに興味を持ち、また事件物の小説を書きたかったから、ボールペン型の盗聴器を用意したと白状。剛力に渡せば、間違いなく小戸川の手に渡るはずだと考えていたこと……。

しかし、その告白が何者かの突然の来訪によってぷつりと途切れます。小さなうめき声のあと、何度が包丁で突き刺すような音……。

続いて、盗聴器に向かって話しかける声。
「次はお前だよ、これ聞いているやつ。渋谷駅新南口でボールペン持っていったお前だよ」

もちろん、声の主は三矢ユキを殺害した真犯人の和田垣さくらです。渋谷駅新南口に捨てたと見せかけたのは、長嶋を特定するための罠だったのです。

アニメ第13話のラストでは、和田垣さくらが「幸せのボールペン」を持っていますから、タエ子を刺して奪ったものと推測されます。もしかして、すでに長嶋をも手にかけている可能性も……。

そのうえで、口封じのため小戸川をも殺そうとタクシーに乗り込んできたのでは……それをはっきりと示唆して終わります。

『オッドタクシー』の恐ろしい結末

以上、「幸せのボールペン」がいかなる流れでさまざまな人の手に渡り、それがどのような結末に結びついているかを考察してみました。

タエ子→剛力→小戸川→山本→市村→二階堂→馬場→柴垣→今井→小戸川→長嶋→小戸川→馬場→大門弟→大門兄→呑楽の連れ→タエ子→山本→ヤノ→山本→二階堂→三矢(実は和田垣)→長嶋→タエ子→和田垣

アニメ『オッドタクシー』最終回は、恐ろしい結末で終わりますが、オーディオドラマを聴くと、一層ダークな暗示に震え上がることになるでしょう。

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