コロナ時代の新しいファッションショー15選【ミラノ・パリコレ2021】

ファッションショー その他

パリコレやミラノ・コレクションなどと呼ばれる有名ブランドによるシーズン毎のファッションショーが、新型コロナウイルスの影響で様変わりしているのをご存じですか?

会場でのショーが難しくなったことから、多くが映像によるプレゼンテーションに変更。しかし、そこは最先端と洗練を極めるファッションの世界。ただ洋服をみせるだけにとどまらず、凝りに凝った見ごたえのある映像になっています!

そこで、本記事では、コレクション自体の評価ではなく、映像としての面白さの観点から、おすすめの15のメゾン(ブランド)の動画をご紹介します。

ファッションには格別興味のない人でも、映画好きなら楽しめるはずです!

スポンサーリンク

新型コロナウイルスで様変わりを余儀なくされたミラノ/パリ・コレクション2021

これまで世界中のファッション・ジャーナリストやバイヤーたちを期間中、会場の一か所に集め、彼らを前にして行われてきたパリコレやミラノ・コレクション。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックにより、旅行と密の最たるものであるそのやり方が、事実上、不可能になりました。

そこで各ブランドは、趣向を凝らし、新しい形のファッションショーをYouTubeなどのデジタル形式のプレゼンテーションとして発表しています。

ブランド・イメージとコレクションのテーマをどのようにスタイリッシュに訴えるか、ある意味、各メゾンのセンスと腕の見せどころの場となっているのです。

2021年春夏・秋冬パリ/ミラノ・コレクションから厳選15選

パリとミラノに限らず、ニューヨークやロンドン・コレクションなども同様の状況ですが、ここでは両都市に絞ることにします。

プレタポルテとオートクチュール、メンズとウィメンズ両方のコレクションから選びました。順不同です。

1.フェンディ(Fendi)/2021年春夏オートクチュール

コロナウイルスの飛散防止ですっかりお馴染みになったアクリルの仕切り板。それをモチーフにエレガントで美しい舞台設定に仕立て上げたのがフェンディです。

それだけでなく、モデルのキャスティングが実に豪華。オープニングを女優のデミ・ムーアが堂々たる貫禄で務めたほか、クリスティ・ターリントン、ケイト・モス、ナオミ・キャンベルという元祖スーパーモデルが若手に混じって登場します。

さらに、ケイトの娘ライラ・モス、クリスティの息子ジェイムズ・ターリントンがモデルとして登場するのも見どころ。ショー形式のPart.1のほかにも、続編を物語風に綴ったPart.2も配信されています。

2.ディオール(Dior)/2021年春夏オートクチュール

ショーでは常にドラマチックな演出を得意とするディオールらしく、今回は短編映画仕立て。荘厳なシャトーを舞台に、タロットカード占いをモチーフにした一人の女性の冒険を幻想的に描きます。

登場するのはカードの絵柄の中のキャラクターに扮したモデルたち。エンドクレジットに至るまで見事な完成度です。

監督を手掛けたのは『ゴモラ』と『リアリティー』で、2度カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞したイタリア人監督のマッテオ・ガローネ。メイキング映像も別に配信されています。

ベルサイユ宮殿で撮影され、ファビアン・バロンが手掛けた2021-22秋冬コレクションの映像も秀逸です。

3.シャネル(Chanel)/2021年春夏オートクチュール

シャネルのショー会場としておなじみとなった、パリ8区にある「グラン・パレ」が、今回は色とりどりの花々と花びらの散った公園風セットに……。リンダ・ロンシュタットが歌うキュートな「Be My Baby」をBGMに始まるファンタジックで優しい雰囲気は、常に変わらぬシャネルのショー。

残念ながら、いつもなら世界中のジャーナリストやセレブで埋まる、円形の広場を囲むように配された椅子は、ほとんどが空席です。しかし、ぽつりぽつりと距離を空けて座っている女性の姿が数人‥‥‥。

ペネロペ・クルス、マリオン・コティヤール、ヴァネッサ・パラディと娘のリリー=ローズ・デップ(父はジョニー・デップ)……シャネルと縁の深いゴージャスな歴代ミューズたちです。ウォーキングを終えたモデルたちが、空席の椅子に次々と座っていき、最後は白い馬の登場でフィナーレを迎えます。

4.アルマーニ・プリヴェ(Armani Prive)/2021年春夏オートクチュール

まさに究極のステイホームということで、なんと自宅でオートクチュールのショーをやってしまったのがジョルジオ・アルマーニです。ミラノ市内、閑静なボルゴヌオボ11にある、クラシックないかにもイタリア貴族風邸宅の一室が、そのままの状態でショーのランウェイとなってしまうのは、さすがアルマーニ!

他のブランドのようなお金をかけたゴージャスで作り込んだセットや奇抜な場所ではなく、あえて自宅を選んだところに、帝王アルマーニのプライドと自信を感じさせます。

もともとサロンでの受注会形式で行われていたオートクチュールの原点に立ち返ったかのような世界観が逆に新鮮です。

5.イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)/2021年春夏プレタポルテ

なだらかな起伏のある広大な砂漠を、モデルたちが一人一人淡々と歩き続けるだけの演出ですが、まさに息を飲むという表現がぴったりの、映像の美しさは圧巻です。

太陽と光、影、空と大地、風紋、そこにある意味不釣り合いとも言える、強い主張のある洋服をまとう女たちの行列。何か言いたげなカメラ目線で通り過ぎていく……。終盤では、夜のとばりが降りた砂漠に、人工的な炎の道が現れます。

ディオールのような物語性のあるショート・ムービー仕立てというわけではありませんが、なぜか一本の短編映画を観終えたような感動があります。

6.ミュウミュウ(miu miu)/2021年春夏プレタポルテ

従来の座席からランウェイを見るジャーナリストたちに代え、コロナで当たり前となったリモート会議の分割映像風に仕立て、それをモダンな舞台背景にまでしてしまったのがミュウミュウです。

ショーがフィナーレを迎えるとともに、それを見ていた映像の中のたくさんの女性たちも一斉に拍手していますから、ライブ映像を組み込んでいるのでしょうか?

ショッキングピンクと白・黒のみで彩られた近未来的でポップな世界観も、まさにミュウミュウならでは。モデルもオープニングにケイト・モスの娘ライラ・モスを選ぶなど、お姉さんブランドであるプラダとは明確な差別化がなされています。

7.セリーヌ(Celine)/2021年春夏プレタポルテ

フランス北中部にある有名な世界遺産のシャンボール城でメンズのショーを繰り広げたのがセリーヌです。フレンチ・ルネサンス様式で観る者を圧倒する城の外廊下を歩く男たちの姿に、ときおり鷹や涙を流す顔のアップ映像が挿入され、独特の物語性が生まれます。

とくにラストの月夜の美しさは必見。伝わってくるのは、言うなれば、これから戦いに出発しようとしている男たちの覚悟と強さでしょうか?

BGMとなっている、イギリスの3人組ロックバンド「ルーム(LOOM)」が手掛けたオリジナル曲「TIME SLIP」も秀逸。監督は、2019年にチーフ・デザイナーに就任したエディ・スリマン自身が手掛けています。

8.アレキサンダー・マックイーン (Alexander McQueen)/2021年春夏プレタポルテ

いつもパリでコレクションの発表を行っているアレキサンダー・マックイーンですが、今回はブランドのホームグラウンドであるイギリス、ロンドンのテムズ川で撮影した短編映画仕立て。

とはいっても、ディオールのドラマチックな物語性とはまったく違い、退廃的でアヴァンギャルドな世界が展開します。ほとんど音楽らしい音楽はなく、またモノクロ映像に見紛うほど淡い色調の映像の中、さまざまな印象的なシーンがモザイクのように折り重なります。

ゆっくりと水の中を歩く女二人、誰かを懸命に探す男たち、男のポケットから財布を盗みだす女、不潔な橋の下でのピクニック、対岸を逃げる山高帽の男……。そんな難解かつ前衛的な断片から物語を紡ぎあげるのは、観る我々なのかもしれません。



9.エルメス(Hermes)/2021年春夏プレタポルテ

ジャーナリストを呼んでショーを見せることができないのなら、その舞台裏を映像で見せてしまおう……そんな大胆な発想転換をしてみせたのが、エルメスのメンズ・コレクションです。

着替えをするモデルたち、フィッターやお直しをする職人、キュー出しするディレクター、撮影するカメラマン、モニターで映像のチェックをするエンジニアの姿など、慌ただしい舞台裏の風景の中に、コレクションが紹介されます。

まさにアイデア勝ちであり、伝統と職人技が生きる老舗ブランド、エルメスらしい演出だとも言えるでしょう。こうした裏方の人々を賞賛する最後の演出はなかなかに感動的です。

10.ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)/2021-22年秋冬プレタポルテ

険しい雪山にたたずむ一人の男の謎めいたモノローグ、そこから一転して、街中の通りをイメージさせる室内セットを歩く男……と何やら意味深な世界観を繰り広げるのがルイ・ヴィトンのメンズ・コレクションです。

室内に作られたセットとはいえ、そこはもはや完全なるアート空間。20世紀のモダニズム建築を代表する三大巨匠の一人、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの「バルセロナ・パビリオン」、あるいはイラン出身のシンガー・ソング・ライター、セヴダリザとそのミュージックビデオ「Shahmaran」にインスパイアされたものではないかと、一説には言われています。

音楽もジャズからラップへ。難解なコンセプト・アートとも言える世界観に浸ってみてはいかがでしょうか?

11.サルバトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)/2021-22年秋冬プレタポルテ

コレクションの今シーズンのテーマを映像化するため、セットとCGを組み合わせ、大胆な近未来空間を作り上げたのがフェラガモです。

そうやって作り出された映像は、もはや完全に一級のSF映画の水準。『スタートレック』や『2001年宇宙の旅』『ダイバージェント』あたりの映画がモチーフでしょうか?

フェラガモらしい技術革新のコンセプトとも見事に合致しており、最高にクールです。また今、ファッション界で熱い注目を集めている話題の日本人モデル、Kayako(樋口可弥子)も登場。本コレクションにぴったりの堂々たる存在感です。

12.ジャンニ・ベルサーチ(Gianni Versace)/2021-22年秋冬プレタポルテ

フェンディがアクリル板で仕切る空間をイメージしたように、ベルサーチも区切られた個室をコンセプトにコレクションを発表しました。

幾何学的な厚い壁で仕切られた3階建てアパートメントのようなセット。各部屋にモデルたちが隔離されるように配されています。演出を手掛けたのは、VOGUEやGQ、世界の多くのブランドのキャンペーン広告を手掛ける写真家のゴードン・ヴォン・スタイナーです。

ミュージックビデオ風のカメラワーク、尖った最先端の音楽に乗せてウォーキングし、ポージングするモデルたち。どのシーンを切り取っても実にスタイリッシュで、今をときめくトップモデルたちをずらりと揃えたところもさすがベルサーチです。

13.クロエ(Chloe)/2021-22年秋冬プレタポルテ

コロナウイルスを鑑み、エルメスとはまた違う意味で、大胆な発想転換をしてみせたのがクロエです。つまり、ステイホームを逆手にとり、夜のパリの街中をモデルたちに歩かせてしまったのです。

濡れた石畳、カフェ、横断歩道を一人で、あるいは仲間と連れ立って……。プラスサイズモデルとして人気のパロマ・エルセッサーが先導して歩く姿、そして最後にみなが一列に並んで歩くシーンなど、ある種の憂いと力強さを同時に感じさせます。

深夜あるいは夜明け前に撮影したのでしょうか? ときおり、背景にわずかに一般の人々の姿が映り込むのもリアルです。

ファッションとは、舞台のように鑑賞するものではなく、あくまでも日常のリアルな世界でこそ生きるものだという原点を、あらためて教えてくれるようなパワーにあふれています。

14.プラダ(Prada)/2021-22年秋冬プレタポルテ

強烈な配色がされた壁や床があるだけの、何もないただ四角い部屋の連なり……そこを無表情なモデルたちが、ただ淡々と歩きます。

究極にシンプルなのに、前衛的でエッジの効いた世界観はさすがプラダ。まるでコンセプチュアル・アートを見せられているかのような世界観があります。

またショーに続き、ミウッチャ・プラダ、ともにプラダの共同クリエイティブ・ディレクターを務めているラフ・シモンズ、映画監督のリー・ダニエルズ、デザイナーのマーク・ジェイコブスら、複数の関係者によるオンライン形式でのディスカッションの場が設けられているのも、コンセプトを重視するプラダらしく、他ブランドとは一味違います。

15.ザディグ エ ヴォルテール(Zadig & Voltaire)/2021-22年秋冬プレタポルテ

外出すら憚られる時代、海外旅行に至ってはいったいいつ再開できるのか、まだ見込みすらわかりません。そんな中、世界各地の都市の映像を映した巨大スクリーンで空間を囲み、そこをモデルたちに歩かせたのが、ロックなテイストで人気急上昇中のザディグ エ ヴォルテールです。

映像は実物大に映し出され、まるで世界の街角を現実にモデルたちが歩いているかのよう……。

都市の名前が、パタパタと変わる空港の案内板のようなタイポグラフィーになっているのも気が利いておしゃれ。もちろん東京も登場し、渋谷の交差点をモデルたちが闊歩します!

新しいスタイルのファッションショーは今後も続く?!

ご紹介した15ブランドはごく一部。まだまだ他にもユニークで見ごたえのある映像がたくさんありますので、気になるブランドを検索してみてください。

しかし、考えてみれば、従来のランウェイでのショー形式は、実際に生でみることができるごく限られた一部ジャーナリストやバイヤーにとっては意味があったものの、それ以外の大勢にとっては無関係な世界。はたしてその形は本当に必要だったのか、という疑問がうまれてもおかしくありません。

また映像世界では、よりブランドのコンセプトやイメージを強い形でアピールできるという良さにも気づいたのでないでしょうか? 

ただ、あまりにもイメージ先行に走ると、肝心の洋服の詳細がほとんどよくわからなくなるという諸刃の剣なところも……。

コロナが収束すれば、いったんは昔の形式に戻るでしょうが、そのやり方がその後も継続するとは到底思えないのですが、いかがでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました