2009年にスタートし、2023年現在まで15のシーズンが配信・放送されている、アメリカの大人気番組『ル・ポールのドラァグ・レース』。
ドラァグ界のカリスマ、ル・ポールをホストに、毎回、十数人のドラァグクイーンたちが出場し、勝ち残り形式で個性を競い合うリアリティ番組です。
今では、本国アメリカからぞくぞくと輸出され、世界各地で各国版ドラァグ・レースが放送中! そんな中からUK、カナダ、タイ、ニュージーランド・オーストラリア版でこれまで優勝したクイーンをご紹介しましょう!
各国に拡がる『ル・ポールのドラァグ・レース』
日本では、本国版以外、なかなか視聴する機会がないためあまり知られていませんが、2023年1月現在、米国以外10か国(地域)でその国独自のドラァグ・レースが放送されています。
以下、早いスタート順に並べてみます。
①チリ「The Switch Drag Race」:2015年にスタートし、2018年まで2つのシーズンが放送されました。チリのみならず、アルゼンチンやウルグアイ、ブラジル出身のクイーンたちが出場しましたが、新シーズンの更新は発表されていません。
②タイ「Drag Race Thailand」:2018年にシーズン1、2019年にシーズン2が放送されて人気を博しました。ドラァグクイーンの本場だけあって人材には事欠きません。フィリピンや香港のクイーンたちも出場しました。
③英国「RuPaul’s Drag Race UK」:2019年にシーズン1が放送され、2022年まで4つのシーズンが放送されました。ル・ポール自身とミシェル・ヴィサージュが審査員としてレギュラー出演するなど、本家に最も近い形です。シーズン3ではエルトン・ジョンがスペシャルゲストとして登場しました。2023年中に、シーズン5が放送予定です。
④カナダ「Canada’s Drag Race」:2020年にシーズン1が放送され、2022年にはシーズン3が放送されました。米国版のシーズン11に出場したカナダ人クイーン、ブルック・リン・ハイツが審査員の一人を務めています。2023年中にシーズン4を配信予定です。
⑤オランダ「Drag Race Holland」:2020年にスタートし、2021年にシーズン2が放送されました。
⑥ニュージーランド/オーストラリア「RuPaul’s Drag Race Down Under」:2021年5月から6月にかけてシーズン1を放送。オリヴィア・ニュートン・ジョンがスペシャルゲストとして登場しました。2022年にはシーズン2を放送、2023年中にシーズン3を放送予定です。
⑦スペイン「Drag Race España」:2021年からこれまで2つのシーズンが放送され、すでにシーズン3の更新も決定しています。
⑧イタリア「Drag Race Italia」:2021年にシーズン1が放送され、2022年にシーズン2が放送されました。シーズン3への更新も決定しています。
⑨フランス「Drag Race France」:2022年にシーズン1が放送され、シーズンの更新が決定しています。
⑩フィリピン「Drag Race Philippines」:2022年にシーズン1が放送され、シーズンの更新が決定しています。
⑪ベルギー「Drag Race Belgique」:2023年にシーズン1が放送され、初代勝者が決定しました。
⑫スウェーデン「Drag Race Sverige」:2023年にシーズン1が放送され、初代勝者が決定しました。
・その他、ドイツ、ブラジル、メキシコで企画・製作準備中です。
UK/カナダ/タイ/ニュージーランド・オーストラリア版の優勝者を紹介!
本国版の優勝者一覧については、下記の記事をご覧ください。
【英国】『RuPaul’s Drag Race UK(ル・ポールのドラァグ・レースUK)』
シーズン1:ザ・ヴィヴィアン/The Vivienne
年齢非公表で、名前の由来は、大好きだという英国人デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドから……。2015年に『ル・ポールのドラァグ・レース』のUKアンバサダーに選ばれており、見事初代勝者になりました。
2016年の映画『アブソリュートリー・ファビュラス・ザ・ムービー』に出演していたほか、2020年にはBBCのドキュメンタリーシリーズ『The Vivienne Takes on Hollywood』が放送されるなど、英国を代表する人気クイーンの一人です。2019年に同性婚を挙げています。
シーズン2:ローレンス・チェイニー/Lawrence Chaney
ローレンス・チェイニーは、1996年10月16日生まれ、スコットランドのグラスゴー出身です。1000の顔を持つと言われていたサイレント時代の映画スター、ロン・チェイニーが名前の由来です。
シーズン2の12人の候補者の中から勝ち抜き、タイ版以外では初のプラスサイズの優勝クイーンとなりました。
シーズン3:クリスタル・ベルサーチ/Krystal Versace
13歳のときにドラァグを始めたというクリスタル・ベルサーチは、シーズン3でドラァグ・レース史上最年少の19歳で優勝しました。
シーズン4:ダニー・ベアード/Danny Beard
リバプール生まれのクイーン、ダニー・ベアードが4人目の勝者となりました。その名の通り、ときに髭を残したままの女装姿が独特の個性を放つクイーンです。
人気のタレント発掘番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』にも出演経験があります。
【カナダ】『Canada’s Drag Race(カナダ・ドラァグ・レース)』
シーズン1:プリヤンカー/Priyanka
カナダ版の初代優勝者となったプリヤンカーは、1991年5月28日、オンタリオ州ウィットビーに暮らすインドとガイアナ系一家の生まれです。
2013年から子供向け番組『The Zone』やリアリティ番組『The Next Star』のホストとして広く知られており、2017年になってドラァグクイーンとしての活動をスタートさせました。
優勝後は、「ゲイタイムズ」誌の表紙を飾ったり、「ソーダストリーム」や「ショッパーズ・ドラッグ・マート」と言った有名企業の広告に登場したりするなど、トロントを拠点に、めざましい活躍をしています。
シーズン2:アイシス・クチュール/Icesis Couture
2019年のシーズン2で優勝したアイシス・クチュールは、その勢いのまま、2020年には故郷のオタワで開催された「Miss Capital Pride」でも優勝しました。
シーズン3:ジゼル・ララバイ/Gisèle Lullaby
モントリオール出身のフランス系カナダ人、ジゼル・ララバイが3人目の勝者になりました。
【タイ】『Drag Race Thailand(ドラァグ・レース・タイランド)』
シーズン1:ナタリア・プリアカム/Natalia Pliacam
初代優勝者となったナタリア・プリアカムは中華系タイ人であり、ドラァグクイーンの顔とは別に、バンコクで棺の製造会社を経営する異色派です。
ドラァグを始めたのは2006年。有名なミス・ページェントで優勝した経歴もあります。また、ダンスを得意としており、大学で聴覚障害者の学生に10年間ほどダンスを教えていました。
シーズン2:アンジェレ・アナン/Angele Anang
アンジェレ・アナンは、トランスジェンダーとして、全世界の「ドラァグ・レース」番組史上初の優勝者となりました。
ナコーンラーチャシーマー県生まれ、アユタヤ育ち。薬物依存を克服した過去があります。ビヨンセの物まねを得意としており、「タイのビヨンセ」の異名を持っています。
【ニュージーランド/オーストラリア】 『RuPaul’s Drag Race Down Under(ル・ポールのドラァグ・レース・ダウン・アンダー)』
シーズン1:キタ・ミーン/Kita Mean
キタ・ミーンは、1986年4月14日生まれ、ニュージーランドのオークランド出身のドラァグクイーンです。
ニュージーランドで2018年から2020年まで放送された人気リアリティ番組『House of Drag』の審査員として広く知られており、その実力通り、初代クイーンに輝きました。
シーズン2:スパンキー・ジャクゾン/Spankie Jackzon
ニュージーランドのパーマストンノースを拠点に活躍するスパンキー・ジャクゾンがシーズン2の栄冠を勝ち取りました。
キタ・ミーン同様、『House of Drag』でもクイーンを勝ちとっています。
各国版の配信・視聴方法は?
日本において、本国版は一部Netflixで配信されていますが、各国版はなかなか視聴する機会がありません。
どうしても視聴したい方におすすめしたいのは、アメリカの制作会社World of Wonderの定額動画配信サイト 「WOW Presents Plus」。日本語の字幕はつきませんが、ほとんどすべての各国版を視聴できます。
日本からも登録でき、1か月無料トライアルもあります。
『ル・ポールのドラァグ・レース』日本版の製作予定は?
残念ながら、日本版の製作の予定はありません。
マツコ・デラックスやミッツ・マングローブ、ナジャ・グランディーヴァら、テレビで大活躍するドラァグクイーンも少なくありませんが、もしや、十数人の候補を集めて、数シーズン製作するほどの層の厚さはないのでしょうか?
ここでご紹介した各国版も、そのあたりが大きな壁になりそうです。
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