70年代の埋もれた?懐かしい洋画おすすめ18選【B級?名作?】

1970年代映画 映画

1970年代の洋画というと、あなたはどんな作品を思い浮かべますか?

『ゴッドファーザー』や『スティング』『追憶』『ひまわり』、『エクソシスト』や『オーメン』、『タワーリング・インフェルノ』に『ジョーズ』……。

ここでは紹介するのは、そんなアカデミー賞受賞作や、世界的な大ヒット作、不朽の名作ではありません。

公開当時はそれなりに話題になったはずなのに、なんとなく忘れ去られてしまっている、名作なのかB級なのかよくわからない作品たち。「1970年代の名作映画」で検索してもまず出てこない、埋もれた懐かしい洋画を18作ご紹介します! 

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1970年代の埋もれた懐かしい洋画18選:あらすじ/キャスト/その後

70年代の洋画を大別すると、ベトナム戦争に関係した反戦映画、難病もののお涙頂戴系、『エクソシスト』に端を発したオカルト系、豪華キャストが多数出演する大作スペクタクル系などが多いようです。

簡単なあらすじやキャスト、さらに映画のその後など追加情報も交えてご紹介します。

※近況など追加情報は2023年8月現在のものです。

1.美しく切ない音楽と物語が日本で大うけしたイタリア映画『ラストコンサート』(1976)

落ちぶれた中年ピアニストのリチャードと余命わずかの少女ステラの恋を、美しい風景と旋律に乗せて描いたセンチメンタルなイタリア映画が『ラストコンサート』です。

70年代に流行した難病ものの一つであり、パリやモン・サン=ミシェルの舞台、ヒロインを演じたパメラ・ヴィロレージのピュアな魅力もあって、とりわけ日本において大ヒットを記録。ステルヴィオ・チプリアーニが手掛けたサントラも大きな話題になりました。

パメラ・ヴィロレージは今もイタリアで女優として活動し、映画のほか、多くの舞台に立っています。

2.驚きのラストシーンに皆が涙した『イエスタデイ』(1979)

カナダのモントリオールを舞台に、女子学生のガブリエルとアメリカ人留学生マシューの、波乱の恋を描いた恋愛ドラマです。

2人はさまざまな壁を乗り越えて結ばれるも、マシューがベトナム戦争に徴兵されてしまいます。そして届いた戦死の知らせ……。数年後、シングルマザーとしてマシューの子を育てていたガブリエルは、ついにある事実を知ってしまいます。

マシューをプロテニス選手だったヴィンセント・ヴァン・パタンが演じ、日本の自動車のCMに登場するなど人気者となりました。感動のラストシーンに流れる、ニュートン・ファミリーが歌った主題歌「スマイル・アゲイン」もヒットを記録しています。

ヴィンセント・ヴァン・パタンは2度の結婚で、合わせて子どもが3人います。

3.実際に起きた衝撃の事件の映画化『ミスターグッドバーを探して』(1977)

ニューヨークで流行していたシングルズ・バーに出入りしていた女性教師が、家に連れ込んだ行きずりの男性に惨殺されるという実際の事件に着想を得たジュディス・ロスナーの小説の映画化です。

転落していく主人公のテレサをダイアン・キートンが熱演しているほか、チューズデイ・ウェルド、トム・ベレンジャー、リチャード・ギアら脇役も驚くほど豪華です。

社会に大きな衝撃を与えた事件に基づいているだけあって、原作・映画作品とも大きな話題をよびましたが、日本版のDVD化が実現していないのが残念です。

4.豪華キャストと子役の名演に号泣必至!『チャンプ』(1979)

どん底に落ちぶれたボクシングの元チャンピョンと、そんな父の復活を信じて疑わない息子の姿を描いたスポーツドラマです。息子のため、再びリングに立った父を悲劇が襲います。

父のビリーをジョン・ヴォイト、別れた妻のアニーをフェイ・ダナウェイと豪華スターが演じていますが、何よりけなげな息子のTJを演じた子役リッキー・シュローダーの名演技に泣かされます。

1931年の映画のリメイクです。監督を2019年に亡くなったフランコ・ゼフィレッリ、切ない音楽をデイヴ・グルーシンが手掛けています。

ジョン・ヴォイトはアンジェリーナ・ジョリーの実父。リッキー・シュローダーは、ただの名子役として終わらず、俳優としても活躍しています。結婚歴は一度あり、4人の子どもがいます。

5.バーブラ・ストライサンド主演の抱腹絶倒コメディ『おかしなおかしな大追跡』(1972)

サンフランシスコを舞台に、同じ見た目の4つのカバンが入れ違ってしまったことから巻き起こるドタバタ騒動を描きます。

主人公のジュディをバーブラ・ストライサンド、相手役のハワードをライアン・オニールが演じ、絶妙な名コンビぶりを発揮しています。

ピーター・ボグダノヴィッチ監督が名作『ラスト・ショー』と『ペーパー・ムーン』の間に発表した絶頂期の作品です。アメリカでは傑作コメディとして広く知られていますが、日本ではなぜか知る人ぞ知る作品。とにかくお腹の底から大笑いしたい人におすすめです!



6.実話に基づいた号泣の家族ドラマ『エリックの青春』(1975)

突然白血病におかされた大学生エリックの生きざまと、そんな彼に寄り添い続けた家族の姿を描いた実話の映画化です。アメリカではテレビ映画として放映されましたが、日本では劇場公開されました。

音楽をデイヴ・グルーシンが手掛けたほか、エリックを演じたジョン・サヴェージが自ら歌った主題歌も心に響きます。

母親を演じたのは名女優パトリシア・ニール。死にゆく息子に代わって、一人淡々と街中を歩くラストシーンに涙が止まりません。

パトリシア・ニールは2010年に84歳で他界しました。

7.衝撃的な物語が話題をよんだ反戦映画『ジョニーは戦場へ行った』(1971)

戦争によって四肢と顔面を失い、意識だけがある肉塊となってしまった青年の心の彷徨を描いた反戦映画です。やがて、一人の心優しい看護婦と出会い、なんとか意思疎通することに成功するのですが……。

カンヌ映画祭で審査員特別賞に輝いた秀作ですが、なぜか埋もれた作品になっています。青年ジョーの心によぎる在りし日の姿をティモシー・ボトムズが演じました。

2015年に『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』として映画化されたダルトン・トランボが、自身の小説を自ら映画化した作品です。

8.知る人ぞ知るオカルト映画の異色カルト作『マニトウ』(1978)

『エクソシスト』や『キャリー』『オーメン』など数々のオカルト映画を量産した70年代ですが、そんな中、B級作品的に地味にヒットしたカルト作が『マニトウ』です。

サンフランシスコに暮らす一人の女性カレンの背中から生まれ出た醜悪な悪霊。恋人のハリーが祈祷師と協力し、壮絶な悪魔祓いに挑む姿を描きます。

カレンを演じたスーザン・ストラスバーグは「アクターズ・スタジオ」のリー・ストラスバーグの娘です。ハリーを名優トニー・カーティスが演じました。両人とも故人です。

9.女性ファンを虜にしたレナート・チェスティ主演作『メリーゴーランド』(1974)

不治の病におかされ死にゆく少年と父のせつない関係を描いたイタリア映画が『メリーゴーランド』です。

10歳の少年ルカを演じたレナート・チェスティの天使のような存在感が女性のハートを鷲掴みしました。タイトルにもなっているメリーゴーランドに乗るラストシーンは涙失くしてみることができません。

レナート・チェスティは、70年代を通し、イタリアのみならず、世界的な人気を博した子役スターです。同年公開の『虹を渡る風船』でも、やはり死にゆく薄幸の少年を演じています。90年代には俳優業を引退しました。

10.ヘミングウェイ姉妹が主演デビューした『リップスティック』(1976)

文豪ヘミングウェイの孫であるマーゴとマリエル・ヘミングウェイ姉妹が、そろって姉妹役でデビューしたサスペンスドラマです。

トップモデルとして活躍する姉クリスが、自分のみならず妹のキャシーをもレイプした男に復讐する姿を描きます。社会問題として顕在化していたレイプを正面から切り込んだ映画として話題をよびました。

姉のマーゴは、波乱の半生を送った末、1996年に42歳で死去。妹のマリエルは、その後ウディ・アレンの『マンハッタン』などで印象的な演技をみせ、今も女優として活動しています。



11.ナスターシャ・キンスキーのコケティッシュな魅力が光る『今のままでいて』(1978)

女子学生フランチェスカと妻子のある中年男性ジュリオの官能的な不倫を描き、ナスターシャ・キンスキーを世界的に有名したイタリア映画です。

ナスターシャ・キンスキーのみずみずしい魅力に対し、相手役のジュリオを名優マルチェロ・マストロヤンニが演じ、さすが大人の成熟した色気を発散!

2020年7月に他界したエンニオ・モリコーネが音楽を手掛けています。

ナスターシャ・キンスキーは、今も現役で女優活動を続けています。結婚は一度だけですが、複数の男性との間に合わせて3人の子どもがいます。90年代には一時、クインシー・ジョーンズと交際し、一女をもうけました。その娘ケーニャ・キンスキー=ジョーンズはモデルとして活動中です。

12.白血病の弟とフットボール選手の兄の絆を描く『ジョーイ』(1977)

ペンシルバニアの小さな町に暮らす平凡なキャパレッティ一家を襲う、11歳の末っ子ジョーイの白血病と余命宣告。ジョーイのため、フットボールの一流選手になろうと奮闘する兄ジョンの姿を軸に、家族愛を描いた感動ドラマです。

ジョーイをカナダ人子役のジェフリー・ライナス、ジョンをマーク・シンガー、そして母を『バウンティフルへの旅』でオスカーを受賞した名優ジェラルディン・ペイジが演じています。

アメリカでテレビ映画として放送されて話題をよび、全世界で劇場公開されるに至った作品です。残念ながらDVD化は実現していません。

ジェフリー・ライナスは、70年代に何本かの映画に出演しましたが、その後はプロデューサーとして映画製作に関わっています。

13.ファラ・フォーセットの魅力全開の幻の映画『サンバーン』(1979)

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テレビドラマ『チャーリーズ・エンジェル』のジル・マンロー役で一斉を風靡したファラ・フォーセットが主演した1978年の映画が『サンバーン』です。

アカプルコで発生した一人の男の不可解な事故死。保険調査員と妻に仕立てたモデルが、真相追求にあたる姿を描いたミステリー・アクションです。モデルのエリーをファラ・フォーセット、保険調査員をチャールズ・グローディンが演じています。

作品に対する評価は低かったものの、ボディスーツを着用したファラ全盛期の魅力あふれる姿は、大きな評判をよびました。

ファラ・フォーセットは、ガンとの闘病の末、2009年に62歳の若さで他界しています。

14.ポール・マザースキーの半自伝的作品『グリニッチ・ビレッジの青春』(1976)

1953年のニューヨーク、グリニッチ・ビレッジを舞台に、さまざまな夢や挫折を味わう若者たちの姿を描いた青春群像劇です。

メガホンをとったポール・マザースキーの半自伝的作品であり、ほろ苦い物語に胸がキュンとする秀作です。

ポール・マザースキーといえば、本作の2年後に公開された『結婚しない女』も忘れられません。2014年に84歳で死去しました。

15.豪華キャストで話題をさらったスペクタクル大作『さすらいの航海』(1976)

第二次世界大戦の前夜、ドイツのナチスによる迫害から逃れ、客船SSセントルイス号に乗りこんだユダヤ人たちにまつわる実話を描いたイギリス映画です。政治的駆け引きから、各国とも受け入れを拒否し、大西洋上を放浪することになります。

フェイ・ダナウェイ、マックス・フォン・シドー、キャサリン・ロス、オーソン・ウェルズら超豪華キャストが大きな話題になりました。

しかし、1972年の『ポセイドン・アドベンチャー』や1974年の『タワーリング・インフェルノ』ほどの世界的ヒットには結びつかず、忘れられた知る人ぞ知る作品になっています。



16.実体験を基にした壮絶な脱獄劇『ミッドナイト・エクスプレス』(1978)

トルコに旅行中、麻薬密輸によって投獄されたアメリカ人青年が、数年にわたる過酷な刑務所体験を生き延び、やがて自由を手にするまでを描いた、ビリー・ヘイズの実体験の映画化です。

監督をアラン・パーカー、音楽をジョルジオ・モロダーが手掛けたほか、脚本を執筆したオリバー・ストーンはアカデミー脚色賞を受賞。のちに、アメリカとトルコ間で犯罪人引渡し条約が締結されるなど、社会を揺るがせる問題作となりました。

主演したブラッド・デイビスは、本作で一躍世界的スターに……。劇中描かれた男色行為、さらに1982年の映画『ケレル』などで、ゲイのアイコン的存在にもなりましたが、実生活ではバイセクシャルだったと言われています。AIDSを公表しており、1991年に41歳の若さで死去。一方、原作者のヘイズは、2023年現在も作家として活動しています。

17.ナチス将校とユダヤ人女性の倒錯した愛を描く『愛の嵐』(1974)

1957年、ウィーンにある小さなホテルのフロントで働くマックスと、客としてやってきた美しい女性ルチアが13年ぶりの再会を果たします。今や国際的な指揮者の妻となっているルチアは、かつて、ナチスの強制収容所で、将校だったマックスが、その肉体を弄んだユダヤ人の少女だったのです。

13年の空白を埋めるように、再びかつての倒錯した関係へと堕ちていく二人を演じるのは、ダーク・ボガードとシャーロット・ランプリング。

特に、当時まだ二十代だったランプリングの冷たいほどの美しさは必見。収容所のナチス将校たちの前で、サスペンダーだけの半裸でダンスをするシーンは有名です。

原題はThe Night Porter。『愛の嵐』とは、なかなかに思い切った、70年代らしい邦題です。ダーク・ボガードは1999年に死去しましたが、シャーロット・ランプリングは今も変わらぬ美しさで現役です。

18.デヴィッド・ハミルトンが撮った美しき少女たち『ビリティス』(1977)

世界的写真家のデヴィッド・ハミルトンによる映画初監督作品です。一人の美少女が、レスビアンの世界にのめり込みつつ、大人の女性へと成長していく姿を、幻想的かつ官能的に描きます。

音楽を『男と女』や『ある愛の詩』などで知られるフランシス・レイが担当し、ヒロインのビリティスをパティ・ダーバンヴィルが体当たりで演じました。

日本でも公開当時は、その芸術性で女性ファンの心をつかみ、大きな話題をよびました。公開から43年が過ぎた2020年には、ノーカット無修正完全版のBlu-rayがリリースされるなど今も根強いファンがいます。デヴィッド・ハミルトンは2016年に死去しました。パティ・ダーバンヴィルが現在も映画やテレビドラマで活躍しています。



1970年代の熱い空気感がみなぎる映画たち

現在の最新映像技術などがまだない代わりに、1970年代独特の熱い空気感がみなぎる作品ばかりです。

近年、こうした作品にもスポットライトが当たり、少しずつDVD・BD化がなされてはいますが、中にはいまだ鑑賞する手立てがない作品もあり残念です。

懐かしいと思った人も、初めて知ったという人も、鑑賞可能なものはぜひ一度手にとってみることをおすすめします。

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