Netflix『悪魔はいつもそこに』あらすじ/キャスト/相関図【ネタバレ】

悪魔はいつもそこに 映画

Netflixで配信され、非常に高い評価を得ているオリジナル映画『悪魔はいつもそこに』(The Devil All The Time)。

タイトルから想像されるホラーではなく、宗教的なカルト色が根底に流れる闇深いサスペンスです。

本記事では、そんな傑作『悪魔はいつもそこに』について、あらすじ、登場人物とキャスト情報にくわえ、原作者や監督など見どころポイントまで深く掘り下げたいと思います。

ネタバレありです!

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Netflix『悪魔はいつもそこに』のあらすじ・人物相関図を紹介!

人物相関図

物語は、一人の青年アーヴィン・ラッセルが主人公です。しかし、大きく4つの人間関係が軸となった群像劇の様相を呈しており、それぞれ微妙に絡み合っています。

また、終戦直後から1965年まで、約20年の時間が流れる上、過去と現在が時系列ではなく交差する構成にもなっています。

よって、あらすじだけで全容をまとめきるのは難しく、登場人物の紹介に背景と人物事情を詳しく記しています。

あらすじ(ネタバレあり)

主な舞台は、州境を挟んで位置する3つの田舎町、オハイオ州側のミードとノッケンスティフ、そしてウエストバージニア州側のコールクリーク。

太平洋戦争の終戦後、ウィラードが地元に帰還してきたところから物語は始まります。ウィラードはミードのカフェで出会ったシャーロットに魅かれて結婚し、2人の間に生まれるのがアーヴィンです。

一方、ウィラードの母エマが息子の嫁にと願っていた信心深い女性ヘレンは、牧師のロイと結ばれ、こちらも娘レノーラをもうけます。

シャーロットと同じカフェで働いていた女性サンディも、やはりカフェでカメラマンを名乗る男カールと出会って結婚し、やがて二人は恐ろしいシリアルキラーの道を突き進むことに……。

時が流れて1957年、アーヴィン9歳。

ウィラード、シャーロット、アーヴィンの家族3人と愛犬は、ノッケンスティフで暮らしていましたが、シャーロットが病死し、ウィラードも後追い自殺を遂げてしまいます。

このとき、事件の担当となるのが、ボーデッカー保安官。実はサンディの兄であり、リーロイというやくざ者が仕切る町の売春組織とも癒着する汚職保安官ですが、のちアーヴィンと因縁の結末を迎えることに……。

一人ぼっちとなったアーヴィンが、コールクリークにある祖母の家に引き取られると、そこには養女となったレノーラがいました。

実はレノーラも、赤ん坊のとき、狂信的な父ロイが母ヘレンを刺殺。その父自身も殺人鬼夫婦と化していたカールとサンディによって殺されたため、ラッセル家に引き取られていたのでした。

さらに時が過ぎて、1965年。

祖母、叔父、義理の妹レノーラと幸せに暮らしているアーヴィン。レノーラを実の妹のように面倒をみ、レノーラをいじめた同級生たちに暴力で復讐もいとわない青年に成長しています。

ところが、亡き母ヘレンと同じく信心深い少女となっていたレノーラは、新しくやってきたプレストン牧師に言いくるめられて関係を持ち、身ごもってしまいます。牧師の正体に気づいて、自ら死を選ぶことに……。

アーヴィンは、復讐のため、父の形見である銃で、プレストンを射殺。一人、ノッケンスティフに逃走する途中で、カールとサンディ夫婦の車に乗ってしまうのでした。

以下、結末。

アーヴィンは、危険を察知して、カールとサンディをも射殺。そのまま、ノッケンスティフに戻り、かつて父とともに祈りを捧げた林の中の十字架のもと、愛犬ジャックの遺骨を埋葬するのでした。

牧師殺しと妹であるサンディ殺しの容疑者がアーヴィンであることを知ったボーデッカー保安官が後を追ってきます。ボーデッカーは、邪魔なリーロイをもすでに殺害していました。

林の中で、銃撃になった末、アーヴィンがボーデッカーを射殺します。再び、一人ヒッチハイクし、ノッケンスティフの町を出るところで物語は終わります。

主要登場人物11人とキャスト紹介

①アーヴィン・ラッセル/トム・ホランド

本作の主人公が、トム・ホランド演じるアーヴィンです。幼い頃は弱虫でしたが、父ウィラードから深い信仰と暴力もいとわぬ強さを教えられて育ちます。愛犬のジャックを父に殺されたことで心に傷を負うことに……。

トム・ホランドといえば、なんと言っても2015年から演じているピーター・パーカー/スパイダーマン役が有名です。以後はもちろん『アベンジャーズ』シリーズでも活躍し、世界的人気スターとなりました。イギリス人です。

②ウィラード・ラッセル/ビル・スカルスガルド

アーヴィンの父ウィラードは、太平洋戦争の帰還兵ですが、戦場で目撃した仲間の磔刑が深い影を落とし、狂信的なほどの神崇拝者となっています。一方で、妻の命を救うために息子の愛犬を生贄に捧げたり、暴力による復讐をしたりと、残酷性を合わせ持っています。

演じたビル・スカルスガルドは2010年に主演した映画『シンプル・シモン』で一躍注目されたスウェーデン人俳優です。2016年にハリウッドデビューを果たしていますが、有名なのは映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズ役です。

③シャーロット・ラッセル/ヘイリー・ベネット

カフェでウェイトレスとして働いていたとき、慈悲深い心を見初められ、帰還したばかりのウィラードと結婚。アーヴィンが9歳のときにガンで病死しました。

演じているヘイリー・ベネットは、『ラブソングができるまで』『マグニフィセント・セブン』などに出演しているほか、歌手としても活動しています。

④ヘレン・ハットン・ラファティ/ミア・ワシコウスカ

ウィラードとは結婚に至らず、信心深さからカリスマ的な牧師のロイに魅かれて結婚し、娘レノーラをもうける女性がヘレンです。

演じたミア・ワシコウスカはオーストラリア人女優ですが、ハリウッドでも多数のヒット作に出演している若手人気女優の一人です。出演作品には、ティム・バートン監督『アリス・イン・ワンダーランド』のアリス役、『キッズ・オールライト』『欲望のバージニア』などがあります。

⑤ロイ・ラファティ/ハリー・メリング

死後の復活を信じて、ヘレンを刺し殺す狂信的な牧師の夫がロイです。ヘレンを殺して娘のところに向かう途中、カールとサンディの車に同乗し、犠牲者となってしまいます。

ロイ・ラファティを異様な狂気で演じたハリー・メリングはイギリス人俳優。『ハリー・ポッター』シリーズに登場するハリーの従兄ダドリー・ダーズリー役が有名です。

⑥レノーラ・ラファティ/エリザ・スカンレン

赤ん坊のとき、両親が死んだため、ラッセル家の養女に迎えられ、アーヴィンの義理の妹として育つレノーラ。母と同じ信心深さゆえ、プレストン牧師に騙されてしまいます。

エリザ・スカンレンは2019年映画デビューのオーストラリア人女優です。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』では三女のベスを演じています。

⑦プレストン・ティーガーディン/ロバート・パティンソン

コールクリークの教会に新しくやってきた、欲深い偽善者の牧師がプレストン・ティーガーディンです。信者の若い娘に手を出し、レノーラが犠牲となってしまいます。

ロバート・パティンソンは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のセドリック役で注目を浴びたイギリス人俳優です。2008年の『トワイライト〜初恋〜』のエドワード役で一躍世界的人気スターとなりました。2022年に公開されたシリーズ新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』では主人公のバットマンを演じています。

⑧リー・ボーデッカー/セバスチャン・スタン

コールクリークの町で保安官選挙に勝つことにしか余念がなく、また売春組織とも癒着する汚職保安官がリー・ボーデッカーです。ウィラードが後追い自殺したときの担当保安官でもあり、のちに常軌を逸した行動に走ります。

演じているセバスチャン・スタンはルーマニア出身。『キャプテン・アメリカ』シリーズのバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー役が有名です。

⑨サンディ・ボーデッカー・ヘンダーソン/ライリー・キーオ

ミードのカフェでシャーロットと同じウェイトレスとして働いていたとき、極悪人のカールと出会ったのがサンディです。ボーデッカー保安官の妹でありながら、売春婦の顔を持ち、カールとともに殺人夫婦と化します。のちにカールに嫌気がさし、足を洗おうとするのですが……。

演じているライリー・キーオは、2023年1月に急死したリサ・マリー・プレスリーを母に持つ、エルヴィス・プレスリーの孫です。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などに出演しているほか、モデルの顔も持っています。

⑩カール・ヘンダーソン/ジェイソン・クラーク

サンディと結婚し、妻と見知らぬ若い男性を関係させ、その後その男性が苦しみ死にゆく姿を写真に撮ることで性的快楽を得る倒錯者です。

演じたジェイソン・クラークは、オーストラリア人俳優です。『ゼロ・ダーク・サーティ』、『華麗なるギャツビー』『猿の惑星: 新世紀』などで独特の存在感を発揮する個性派俳優です。

⑪リーロイ・ブラウン/ダグラス・ホッジ

コールクリークの町にある売春組織を仕切る男がリーロイです。最後は、手名付けていたはずのボーデッカー保安官の恨みをかい、射殺されてしまいます。

演じたダグラス・ホッジはイギリスの実力派俳優です。映画はもちろん、舞台でも数々の有名作品に出演しているほか、ミュージシャンの顔も持っています。最近では映画『ジョーカー』でアルフレッド役を演じました。



『悪魔はいつもそこに』の見どころ

監督をつとめたアントニオ・カンポスについて

アントニオ・カンポスは、1983年、ニューヨークで、ブラジル人の父とイタリア系アメリカ人の母の間に生まれた才能あふれる映画監督です。

2008年の監督デビュー作『アフタースクール』(日本未公開)がカンヌ映画祭でプレミア上映され、いきなり注目を集めます。

その後は、カルトの恐怖を描いた2011年の映画『マーサ、あるいはマーシー・メイ』、女性キャスターが生放送中に拳銃自殺するというショッキングな実話を映画化した2016年の『クリスティーン』など、次々に問題作を発表。

他にも、人気ドラマ『The Sinner -隠された理由-』や『パニッシャー』などでエピソード監督に抜擢されるなど、ダークで闇の深いキャラクターを得意とする、今熱い注目を集めている気鋭の映画監督の一人です。

2022年10月には、『バットマン』のスピンオフ作品(タイトル未定)の監督に抜擢されました。

ドナルド・レイ・ポロックの同名小説が原作

ドナルド・レイ・ポロックは1954年、オハイオ州に位置する、自治体に属さない「非法人地域」であるノッケンスティフで生まれ育ちました。そのまま本作の舞台でもあります。

成人してからは同州チリコシーに暮らし、50歳になるまで製紙工場の作業員やトラック運転手をしていたという異色の経歴の持ち主です。

2008年に短編集『ノッケンスティフ』を発表。2011年に本作『悪魔はいつもそこに』で正式に長編小説家デビューを果たすと、仏ミステリ批評家賞を受賞するなど各国で絶賛されました。

2023年4月にはついに待望の原作の日本語翻訳版がリリースされました。

作品の特徴を指し、「ヒルビリー・ゴシック」(田舎者を描くゴシック小説)の作家とも呼ばれています。

本作の語り(ナレーション)を務めているのもドナルド・レイ・ポロックです。

独特の世界観が癖になる映画『悪魔はいつもそこに』

信仰やカルト、抗いがたい血縁と暴力といった重いテーマ、邪悪と正義がおりなす人間模様はもちろん、原作者ドナルド・レイ・ポロックと監督アントニオ・カンポスの個性と世界観が独特の物語を形作っている映画『悪魔はいつもそこに』。

ここ数年、Netflixは『ローマ』や『アイリッシュマン』『マリッジ・ストーリー』などアカデミー賞などを席捲する上質なオリジナル映画を配信していますが、本作『悪魔はいつもそこに』も間違いなくNetflixのオリジナル映画を代表する秀作の一つであることは間違いありません。

何度も観返したい作品です。

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