映画『RRR』知られざる裏話/秘話16選【キャスト/ロケ地/反応】

RRR裏話 映画

2022年に公開されたインド映画『RRR』。

日本でも、90年代後半にインドブームを巻き起こした『ムトゥ 踊るマハラジャ』の記録を二十数年ぶりに塗り替えるなど、世界各国でセンセーショナルな大ヒット映画となっています。

本記事では、そんな映画『RRR』について、知られざる裏話や撮影秘話、トリビアなどを16の観点からご紹介したいと思います。

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インド映画『RRR』が世界各国で大ヒット!

偶然出会った2人の男が、イギリスの圧政に対して戦いを挑む姿と2人の友情を描いたインド映画『RRR』。

『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』という二部作を世界的ヒットに導き、高い評価を得たS・S・ラージャマウリが監督と脚本を務め、主人公の2人をN・T・ラーマ・ラオ・ジュニアとラーム・チャランが演じました。

インド映画らしい、スリリングなストーリー展開、歌とダンス、涙、アクション、ロマンスが随所に盛り込まれた娯楽大作であり、劇中ダンスバトルを繰り広げる歌「ナートゥ・ナートゥ」が米アカデミー賞歌曲賞に輝くなど、世界各国の国際映画祭を席巻しました。

映画『RRR』知られざる裏話16選<キャスト/ロケ地ほか>

①タイトル『RRR』の意味

当初はあくまでも仮のタイトルとして、ラージャマウリ(Rajamouli)監督、主演のラーム・チャラン(Ram Charan)とラーマ・ラオ・ジュニア(Rama Rao)のイニシャルをとって『RRR』と名付けられましたが、後に、正式なタイトルに決定しました。

その後、使用言語に合わせて異なる単語のイニシャルが当てられています。テルグ語では「Roudram Ranam Rudhiram」、タミル語では「Raththam Ranam Rowthiram」、カンナダ語では「Roudra Rana Rudhira」、マラヤーラム語では「Rudhiram Ranam Roudhram」。すべて意味は同じで「怒り、戦い、血」の意味です。

ヒンディー語および英語では、「Rise Roar Revolt」となっており、意味は「奮起、咆哮、反乱」です。

②物語の時代背景

映画で描かれた時代は1920年。まさにイギリスによる約100年におよぶ植民地支配の真っ只中にありました。

両国関係の略歴は以下のとおりです。時代背景を踏まえた上で鑑賞すれば、物語がより深く楽しめるはずです。

1858年:インド大反乱(シパーヒーの乱)を制圧したイギリス政府が、イギリス東インド会社を解散させ、直轄植民地化。イギリス人総督を置く。

1877年:ヴィクトリア女王がイギリス国王とインド皇帝を兼任。

1914年:第一次世界大戦開戦に際し、インド人も100万人以上が徴兵され、ヨーロッパや中東各地で戦死。

1915年:ガンディーが南アフリカから帰国。インド独立運動の活発化。

1922年:イギリス政府は不服従運動を繰り広げるガンディーを逮捕。その後もたびたび投獄。

1947年:1945年の第二次世界大戦終結と同時にイギリスの国力衰退。ネルーがヒンドゥー教徒多数派地域の独立を宣言し、インド連邦が成立。

③モデルとなった実在の人物

主人公の2人、ラーマとビームには実在したモデルがいます。

ラーマのモデル、アッルーリ・シータラーマ・ラージュは、1920年代、各地で先住民らを率いながら、武器による強力な戦闘部隊を作り上げ、ゲリラ的な武装革命運動を繰り広げました。1924年、イギリス政府に捕えられ、若くして銃殺刑に処されましたが、非暴力を唱えたガンディーですらその功績を高く評価していました。

ビームのモデル、コムラム・ビームは、ゴンド族出身の革命指導者であり、1930年代にハイデラバード藩王国東部において、「Jal, Jangal, Zameen(水、森、大地)」のスローガンのもと、反乱を率いました。1940年に武装警官によって暗殺されましたが、死後も革命の象徴として神格化されています。

この2人をモデルにしていることは事実ですが、実際の2人に面識はなく、接点があったという史実もありません。本映画は、2人がまさに活躍していた前の時代を舞台とし、もし2人が実際に会っていたらという仮定をもとにした完全な創作です。

また、実在の人物であるほか、インド神話の二大叙事詩『ラーマーヤナ』『マハーバーラタ』に登場するラーマ、ビームという人物もキャラクターづくりにおいて影響を与えているようです。

④長期における撮影期間と莫大な予算

映画は、2018年11月19日、ハイデラバードに建設された撮影セットでクランクインし、その後もラモジ・フィルム・シティなどで撮影が続けられました。ブルガリア、オランダ、ウクライナでの海外ロケも挟み、2021年8月26日に、いくつかのシーンをのぞいてほぼ撮影が終了したようです。

のべにして320日を超える日数が撮影にあてられたことになります。製作費は予算を大幅に超過して55億ルピーとなり、インド映画史上最高額の製作費を記録しました。

⑤新型コロナウイルス(COVID-19)の影響

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、2020年には、たびたび撮影が中断。

その結果、当初予定されていた映画公開日も2020年7月30日から大幅に遅れることになります。2020年1月の時点で、2021年1月8日となることを発表。その後、2021年10月13日、2022年3月18日と何度も変更され、最終的に2022年3月25日に決定しました。



⑥「ナートゥ・ナートゥ」のダンスシーンのロケ地はウクライナ

「ナートゥ・ナートゥ」にあわせたダンスシーンは、撮影も終盤となった2021年8月、ウクライナのキーウにある「マリア宮殿」で撮影されました。ウクライナ大統領の公邸です。ロシアのサンクトペテルブルクにある「マリインスキー宮殿」も別名が「マリア宮殿」であることから混同している人もいるようですが別物です。

撮影は、ダンサー50人とエキストラ数百人が参加し、15日間かけて行われました。

ロシアによるウクライナ侵攻の半年前のことであり、主演の2人はたびたび、ウクライナのこと、ロケ地の美しい宮殿が現在どうなっているかを思うと胸が痛いとインタビューで答えています。

⑦「ナートゥ」の意味は?

「ナートゥ」とはテルグ語で「田舎」の意味。「土着」「素朴な田舎」「郷土」といったさまざまな含みがあり、自分たちの民族や土地を誇る歌だと言えるでしょう。

第80回ゴールデングローブ賞でアジア映画初となる主題歌賞、第95回アカデミー賞で歌曲賞のW受賞に輝きました。

歌手(プレイバックシンガー)は、ラーフル・シプリガンジとカーラ・バイラヴァが務めています。

⑧キャスティング秘話

既述のタイトル『RRR』の由来になったとおり、2017年にはN・T・ラーマ・ラオ・ジュニアとラーム・チャランのキャスティングが決定していました。

ビームの恋人となるジェニファー役には、当初、『ザリガニの鳴くところ』に主演したイギリス人女優のデイジー・エドガー=ジョーンズが決定していましたが、身内の事情を理由に降板。その後、ブリタニー・アシュワースらがスクリーンテストを受け、結果、新人のオリヴィア・モリスが抜擢されました。

⑨スコット総督を演じたレイ・スティーヴンソン急死

本作の悪党であるスコット総督を演じたのは、映画『キング・アーサー』やマーベルの『パニッシャー: ウォー・ゾーン』『マイティ・ソー』など多くの映画、テレビドラマに出演しているイギリスの実力派俳優レイ・スティーヴンソンです。

ところが、2023年5月21日、イタリアのイスキア島で行われていた新作映画「Cassino in Ischia」の撮影中に緊急搬送され、58歳の若さで急死しました。死因は公表されていません。

⑩スコット総督婦人を演じた女優、実はあの人!

スコット総督以上の悪女である夫人を演じたのはアイルランド人女優のアリソン・ドゥーディ

1985年の『007 美しき獲物たち』で映画デビューし、1989年のシリーズ3作目『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』において、ヒロインのエルザ・シュナイダーを演じ、世界的に広く知られるようになった女優です。

一時女優業を休止していましたが、2000年代に入って活動を再開し、主にテレビを中心に活動しています。



⑪S・S・ラージャマウリ監督は黒澤明を尊敬

ラージャマウリは、好きな監督して、『ロボット』などのシャンカール、『きっと、うまくいく』などのラージクマール・ヒラーニ、アメリカ人なら『ダークナイト』などで知られるクリストファー・ノーランを挙げています。

そんな中、尊敬する監督として名を挙げているのが黒澤明。『隠し砦の三悪人』『七人の侍』『羅生門』は大好きな作品だそうです。

⑫ジェームズ・キャメロン監督が絶賛

「クリティクス・チョイス・アワード」授賞式の場で、『タイタニック』や『ターミネーター』『アバター』で知られる巨匠ジェームズ・キャメロンとラージャマウリ監督が対面。その席で、キャメロン監督は『RRR』が大好きで二度鑑賞したと告白しました。

一度目は一人で、あまりに面白かったため二度目は妻を誘って2人で観たそうです。その上で、もし北米で映画を製作することに興味があるならぜひ、と誘ったようです。

⑬ラージャマウリ監督とゲームクリエイターの小島秀夫

映画のプロモーションのため来日したラージャマウリ監督が、メタルギアシリーズなどで知られるゲームクリエイターの小島秀夫と対談。その際、小島は、ラージャマウリの全身をスキャンして、CG3Dイメージを製作。のちに、新しいゲームの中で、ラージャマウリをモデルにしたキャラクターを登場させる可能性を示唆しました。

⑭米アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされなかったわけ

第95回米アカデミー賞において、『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」は最優秀歌曲賞を受賞しましたが、国際長編映画賞にはノミネートすらされていません。

実は、『RRR』はインド映画協会から正式なエントリーがなされなかったのです。代わりにエントリーされたのはパン・ナリン監督の映画『エンドロールのつづき』。ラージャマウリ監督はそれを祝福しつつも、同時に、『RRR』の方がずっと受賞の可能性が高かったのではないかと、遺憾を吐露しています。

⑮海外の反応、当事国のイギリスは?

公開直後は、海外在住のインド人の観客がほとんどだったと言いますが、口コミや有名人・批評家の絶賛をうけ、数週間後には、観客の構成はがらりと変わっていきました。

日本では、インド映画として、1995年(日本公開は1998年)の映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』の興行収入を25年ぶりに塗り替える大ヒット。

またロサンゼルスのチャイニーズ・シアターでは、上映チケットが98秒で完売。観客が興奮のあまりに総立ちし、「ナートゥ・ナートゥ」のシーンではスクリーン前に大勢が躍り出て一緒に踊りまくる様子などがSNSやYouTube上にアップされて話題になりました。

劇中、かなり悪辣かつ冷酷に描かれているイギリスも例外ではなく、興行収入ランキング2位の大ヒット。イギリス人監督エドガー・ライトも絶賛するなど、過去の史実と割り切っているのか、特に目立った反発はなかったようです。惜しくも受賞は逃していますが、ロンドン映画批評家協会賞では外国語映画賞にノミネートされました。

⑯『RRR』はインド映画世界興行収入の第3位!

2023年7月現在、『RRR』はインド映画の世界興行収入の歴代3位に躍り出ています。

ちなみに1位は、2016年の映画『ダンガル きっと、つよくなる』、2位は同じラージャマウリ監督による2017年の映画『バーフバリ 王の凱旋』です。

まだまだ勢いがありますが、今後、順位が入れ替わる可能性もあります。



映画『RRR』配信もスタート!

日本では2022年10月21日に公開されましたが、2023年7月28日からは日本語吹き替え版が新たにロードショー公開されるなど、異例の扱いがなされています。

ちなみに声優陣は、ビーム役を杉田智和、ラーマ役を日野聡が担当。

また2023年8月現在、AmazonプライムビデオやU-NEXT等、複数サイトから配信が始まっていますので、ブルーレイ・DVD発売の前に、再び視聴してみてはいかがでしょうか?

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