世界をパンデミックに陥れた新型コロナウイルスCOVID-19。
そんな今の状況を予見していたのではないかと噂される、40年前の1980年に公開された日本映画が『復活の日』です。
ここでは今再び熱い注目を集めている映画『復活の日』に関して、小松左京による原作から、あらすじ・キャスト・音楽に至るまで詳しくご紹介したいと思います。
映画『復活の日』は新型コロナウイルスを予見?!
小松左京原作のSF大作『#復活の日』(英題:Virus)がリバイバル上映決定!
— KADOKAWA映画公式 (@kadokawaeiga) March 30, 2020
【期間】4月10日(金) ※2週間限定
【劇場】新宿ピカデリー なんばパークスシネマ
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細菌兵器によって人類がほぼ絶滅した世界で、かろうじて生き延びた人々の闘いを描いた大作『復活の日』。
まずは映画製作からさらに遡る、1964年に発表された原作について先にご紹介しましょう。
小松左京の同名小説が原作
原作は、日本を代表するSFの大家、小松左京が1964年に発表した同名小説です。
同じく映画化された『日本沈没』と並ぶ代表作の一つであり、またウイルスによるパンデミックがもたらすディストピア小説としては、日本で最初の作品に位置付けられているのが『復活の日』です。
1956年に中華人民共和国の貴州省・雲南省で発生して世界に拡がり、約100万人の死者を出した「アジアかぜ」に着想を得たとも言われており、そんな点も、現在の状況との類似が指摘されています。
小松左京は、幅広いジャンルの執筆活動のほか、1970年の日本万国博覧会や1990年の国際花と緑の博覧会でプロデューサーを務めたり、宇宙開発振興に力を入れたりするなど、小説家の枠をこえたマルチな活躍をした作家です。
2011年7月26日、80歳で死去。死因が肺炎だったのも、なにやら因果めいて見えてきます。
映画『復活の日』のあらすじ
1982年、MM‐88と名付けられた凶悪ウイルスを、東ドイツの研究所から盗んだスパイの乗った飛行機がアルプス山中に墜落。その結果、ウイルスが世界に蔓延し、南極に残った863人をのぞいて絶滅します。
1年後、生存者の一人だった地震学者の吉住は、アメリカ東部で巨大地震発生の兆候がみられること、その地震によって地下に眠る核ミサイルが作動してしまう危険性に気づきます。
吉住は、発射を阻止するため、アメリカ人のカーター少佐とともに、大西洋経由でワシントンに向かうのですが……。
「復活の日」の意味とは……。
日米豪華スターを揃えた、主要キャストと彼らの現在
吉住周三/草刈正雄
本作の事実上の主人公である地震学者・吉住周三を草刈正雄が演じました。
化粧品メーカー専属の売れっ子モデルを経て、1974年に俳優デビューした草刈正雄。超大作である本作主役への抜擢は、当時大きな話題になりました。その後は、俳優として着実にキャリアを重ねています。
最近では、2019年の朝ドラ『なつぞら』の牧場オーナー役が記憶に新しいところ。
ちなみに看護師の恋人・則子を多岐川裕美が演じていました。
中西隊長/夏木勲(のち夏八木勲に改名)
南極にある日本隊の中西隊長を夏木勲が演じています。吉住、そして他国の南極観測隊と連携し、リーダーシップを発揮します。
1966年にデビューした夏木勲は、日本人離れした野性的な魅力を放つ実力派として、『野性の証明』や『戦国自衛隊』など角川映画になくてはならない役者でした。
歳を重ねてからは円熟した渋い存在感で魅了。2012年公開の映画『希望の国』で多数の賞を受賞するなど、翌年に73歳で死去するまで現役の役者であり続けました。
そのほか、南極日本隊員役で、渡瀬恒彦、千葉真一、永島敏行、森田健作らが出演しています。
マリト/オリヴィア・ハッセー
南極で子どもを出産するノルウェー隊の女性隊員マリトを演じたのが、オリヴィア・ハッセーです。
オリヴィア・ハッセーは、1951年4月17日、オペラ歌手だったアルゼンチン人の父とイギリス人の母のもと、ブエノスアイレスに生まれました。1968年の映画『ロミオとジュリエット』の世界的ヒットで一躍スターの仲間入りを果たし、日本でも高い人気を誇りました。
モデルを務めた化粧品CMのテーマ曲を歌った布施明と1980年に結婚し、一男をもうけていますが、1989年に離婚しています。
コンウェイ提督/ジョージ・ケネディ
南極アメリカ隊を率いるコンウェイ提督をジョージ・ケネディが演じました。
1967年の『暴力脱獄』でアカデミー助演男優賞を受賞したジョージ・ケネディは、ハリウッドを代表する名バイプレーヤーとして知られ、中でも「エアポート」シリーズは有名です。角川映画では本作のほか、『人間の証明』にもアメリカ人刑事役で出演しており、日本でもなじみの深い俳優です。
2016年2月28日に91歳で死去しています。
カーター少佐/ボー・スヴェンソン
吉住とともにミサイル発射を阻止すべくワシントンに向かうアメリカ隊のカーター少佐を、ボー・スヴェンソンが演じています。
海兵隊出身と柔道黒帯の経歴を生かし、70年代からさまざまアクション映画に出演し、アクション俳優として活躍してきたボー・スヴェンソン。
『キル・ビル Vol.2』や『イングロリアス・バスターズ』など最近のクエンティン・タランティーノ作品でも、確かな存在感を見せています。
角川春樹と深作欣二がタッグを組んだ超大作
1976年の『犬神家の一族』を皮切りに、1980年代にかけて、角川春樹が社長を務める角川映画がメディアミックスによって量産した大作映画の一つです。
ただ、大規模な南極ロケなどで膨らんだ25億にのぼる製作費のため、国内での大ヒットにもかかわらず赤字となり、本作をきっかけにアイドル路線に変更することになったのは有名な話です。
監督を務めたのは深作欣二。「仁義なき戦い」シリーズなど任侠・アクション映画で有名ですが、『蒲田行進曲』や『火宅の人』など文芸作、また『傷だらけの天使』などヒットドラマの生みの親としても幅広い活躍をみせました。
映画は「バトル・ロワイアル」シリーズが最後の作品となり、2003年に他界しています。
ジャニス・イアンが歌った主題歌もヒット!
映画のテーマ曲として、ジャニス・イアンが歌う『ユー・アー・ラブ』が使用され、映画ともどもヒットを記録しました。
当時は映画のテレビCMと一緒に必ずこの曲が流れ、誰もが頻繁に耳にする楽曲でした。
ジャニス・イアンは、グラミー賞を受賞し、数々のヒット曲を放ったシンガーソングライターです。とりわけ日本での人気は高く、本テーマ曲の前にも、1977年の連続ドラマ『岸辺のアルバム』の主題歌に起用された『ウィル・ユー・ダンス?』がミリオンヒットを記録しています。
映画『復活の日』の配信は?
この時期だからこそ注目され、見直されている映画『復活の日』。
2020年8月現在、一部のストリーミングサイトにおいても視聴が可能です。
U-NEXT、Amazonプライム・ビデオ、YouTube、Netflixなどで配信されていますので、昔観た方も、未見の方も、あらためて自宅でゆっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか?
また、新井リュウジが、小松左京の原作をよりわかりやすく書き直した新版『復活の日 人類滅亡の危機との闘い』もリリースされており、オススメです。
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