『スポットライト 世紀のスクープ』あらすじ/ネタバレ解説と実話/キャスト

『スポットライト 世紀のスクープ』 映画

カトリック教会が関与した性虐待スキャンダル。その内実を暴いた「ボストン・グローブ」紙記者チームの姿を描いた実話の映画化が『スポットライト 世紀のスクープ』です。

俳優の顔も持ち、監督2作目『扉をたたく人』が高い評価を得たトム・マッカーシーがメガホンをとり、第88回アカデミー賞作品賞など含む、数々の賞に輝きました。

ここでは、そんな秀作映画『スポットライト 世紀のスクープ』について、あらすじやキャストなど作品情報にくわえ、実在人物のその後など見どころに迫ります。

スポンサーリンク

アカデミー作品賞に輝いた『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)

あらすじ

「スポットライト」とは、ボストンのローカル新聞「ボストン・グローブ」にある調査報道を専門に扱う連載ページの名前。

編集局新局長として着任したマーティが、カトリック教会の神父による児童への性虐待疑惑に関心を持ち、「スポットライト」班に調査を命じます。

ロビーをリーダーする4人のチームがさっそく地道な取材に取り掛かると、長年に渡ってタブーとして黙殺されてきた驚くべき事実が、次々と明るみに……。

教会が権力を使って組織ぐるみの隠ぺい工作を行ってきた背景までを暴き出し、2002年1月、ついに紙上に衝撃の真相が掲載されるのでした。

主要登場人物とキャスト

スポットライト班

●ウォルター・”ロビー”・ロビンソン(リーダー)/マイケル・キートン
●マイク・レゼンデス/マーク・ラファロ
●サーシャ・ファイファー/レイチェル・マクアダムス
●マット・キャロル/ブライアン・ダーシー・ジェームズ

編集局

●マーティ・バロン(編集局長)/リーヴ・シュレイバー
●ベン・ブラッドリー・Jr/ジョン・スラッテリー

その他関係者

●ミッチェル・ガラベディアン(被害者側弁護士)/スタンリー・トゥッチ
●エリック・マクリーシュ(裏で暗躍する弁護士)/ビリー・クラダップ
●バーナード・ロウ(枢機卿)/レン・キャリオー



実在の人物たちのその後

※ツイートの写真、左からマイク・レゼンデス、マーティ・バロン、サーシャ・ファイファー、ベン・ブラッドリー・Jr、ウォルター・ロビンソン。

2023年現在、マイクはAP通信に所属するジャーナリスト、マーティはワシントンポスト紙のエグゼクティブ・エディター、サーシャはNPR (米国公共ラジオ放送)で働いています。

ウォルターは現在もボストングローブ紙に在籍。

ガラベディアンはその後も人権派弁護士として活動。ケビン・スペイシーのセクハラ・強制わいせつ告発でも被害者側の弁護に立ちました。

マクリーシュは、本スキャンダルののち一時法曹界から退いていましたが、2011年に復帰。性虐待被害者のための活動で、2016年にはマサチューセッツ州の年間最優秀弁護士に選ばれています。

虐待の被害者の一人として登場するパトリック・マクソーリー(演じたのはジミー・ルブラン)は、不幸なことに、告発の2年後、つらい過去から立ち直ることができずに麻薬の過剰摂取により亡くなっています。

『スポットライト 世紀のスクープ』の解説・感想レビュー

敬虔なカトリック信者の多いボストン。教会の神父たちによる、あどけない少年に対する性的虐待と、組織ぐるみの隠ぺい工作、トップである枢機卿の黙認というタブーを暴き、2003年のピューリッツァー賞に輝いた、「ボストン・グローブ」紙「スポットライト」欄記者たちの苦闘を描いた実録ドラマである。

実際に調査にあたった記者チームは、リーダーのロビーを筆頭に4人。デスクは窓のない狭苦しい地下にあり、どうやら社内における立場は低いようだ。

結末が自明のストーリーであるにも関わらず、ひたすら調査の過程を積み上げるだけで、観客にサスペンスあふれる緊迫感を持続させた、監督トム・マッカーシーの手腕は相当のものである。

そればかりか、通常、物語に厚みをもたせるサイドストーリーとなる主要人物たちの家庭事情や個人的背景はほとんど描かれない。

マーク・ラファロ演じるマイケルは別居中、レイチェル・マクアダムス扮するサーシャには夫と祖母がいて、マットは子持ち。これが劇中、判明する事実すべてである。一組ぐらいはありそうな色恋沙汰も皆無であり、つまり、個人的な事情や悩みは意図的に排除されていると言っていい。

そんな中、たった一つの例外がある。

マイケル・キートン扮するロビーことウォルター・ロビンソンだ。

他の記者たちが、ひたすら執拗に情熱をもって取材を続ける中、かすかな迷いと葛藤を垣間見せるのがロビーである。

そして、自らの過去の過ちを悔いる、きわめて短いワンシーン……。

苦渋の表情を浮かべるロビーに、リーヴ・シュレイバー扮する局長のマーティ・バロンが、こう言う。

「私たちは毎日、闇の中を手探りで歩いている。そこに光が射して、初めて間違った道だとわかるのだ」

一瞬見えるロビーの抱えるが、本作を一気に人間味あふれるドラマに仕立てあげたのだと思う。

トム・マッカーシー監督作では、前作の『扉をたたく人』が実に味わい深い秀作で好きだった。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました