映画『スーパーノヴァ』ネタバレあらすじ・キャスト・感想レビュー

スーパーノヴァ 映画

コリン・ファースとスタンリー・トゥッチが長年連れ添ったゲイ・カップルを演じることで話題の映画『スーパーノヴァ』。

2020年9月にプレミア上映されて以来、長らく日本公開が待たれていましたが、ついに2021年7月1日に全国主要都市で公開されました。

本記事では、そんな映画『スーパーノヴァ』について、あらすじやキャスト、裏話などの解説にくわえ、最後に個人的な感想でレビューしたいと思います。

【注意】閉じページにネタバレありです。ネタバレを望まない方は同ページを開かないようお願いします!

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映画『スーパーノヴァ』のあらすじと作品紹介

コリン・ファースとスタンリー・トゥッチという二大実力派俳優が主演し、俳優としても活躍する若き才能ハリー・マックイーンが、監督・脚本を手掛けたイギリス映画が『スーパーノヴァ』です。

2020年9月22日、スペインのサン・セバスティアン国際映画祭でプレミア上映されたのち、同年のロンドン映画祭、さらに2021年のダブリン国際映画祭のオープニング作品として上映され、その度に話題をよんできました。

スーパーノヴァとは?

上記予告編の中でも、タスカーの口から説明されていますが、スーパーノヴァとはいわゆる「超新星」のこと。

質量の大きくなった恒星がその死を迎えるときに起こる、大規模な爆発現象を指し、その瞬間、大きく輝いて以後、少しの時間をかけて消滅していきます。

一つの星の終焉ではありますが、爆発によって飛散したかけらが再び新しい星の核となる、宇宙の起源において極めて重要な現象です。

言うまでもなく、認知症がすすみ、人生の終盤を迎えるタスカーの生きざまを重ねた言葉だと言えるでしょう。

あらすじ(閉じページに結末ネタバレあり)

ピアノストのサムと作家のタスカーは、交際20年のゲイ・カップル。2年前から患うタスカーの若年性認知症がいよいよ進行しつつあることから、2人はキャンピングカーの旅に出ます。

懐かしい場所や人たちを訪ね、穏やかで楽しい思い出の旅になるはずが、やがて厳しい現実に向き合わざるを得なくなります。

2人は、姉夫婦が今も暮らすサムの実家を訪ねます。心温まる歓待を受け、タスカーと姉がサプライズで企画したホーム・パーティーでにぎやかな夜を過ごします。

しかし、パーティーを何気なく抜け出したサムが、偶然キャンピングカーの中で見つけたのは、遺言を録音したテープとその目的のための薬……。タスカーが自ら命を絶とうとしているという事実を知り、強い衝撃を受けるのでした。

実家を出発し、2人は瀟洒な一軒家を借りて過ごしますが、動揺と怒りがおさまないサムは、ついにその事実をタスカーに突きつけます。

記憶や意志を失って生き続けることはしたくないと懇願するタスカーに対し、タスカーのいない人生など考えられないサムは、到底受け入れることができずに苦しみ……。

一晩悩んで翌朝、サムはベッドから起きてきたタスカーにこう告げます。

Let me go with you.
(字幕:「ずっと一緒だ」)

その後画面が切り替わり、ラストは、誰もいない真っ暗な舞台で一人ピアノを演奏するサムの姿で映画は幕を閉じます。



主人公の2人とキャスト紹介

サム/コリン・ファース

ピアニストのサムを、コリン・ファースが演じています。

コリン・ファースは、1960年9月10日、英国ハンプシャー州グレイショット生まれ。名門セントラル・セント・マーチンズのドラマ・スクールで学び、1983年の舞台『アナザー・カントリー』で俳優デビューしました。翌年の映画版にも抜擢されています。

1995年のBBCドラマ『高慢と偏見』のダーシー役で人気を博し、同役柄のコリン・ファースをイメージして書かれたベストセラー『ブリジット・ジョーンズの日記』の映画版で世界的スターの地位を不動のものとしました。

その後の活躍はめざましく、2009年の『シングルマン』でヴェネツィア国際映画祭男優賞、2010年の『英国王のスピーチ』でアカデミー主演男優賞を受賞している他、『マンマ・ミーア!』や『キングスマン』など多数のヒット作があります。

最新作は、2021年7月のカンヌ国際映画祭でプレミア上映される『Mothering Sunday』で、オリヴィア・コールマンと夫婦を演じています。

私生活では、1995年にアメリカ人女優メグ・ティリーとの交際で一男をもうけていますが破局し、1997年、イタリア人映画プロデューサーのリヴィア・ジュージョリと結婚しました。2人の男の子をもうけていますが、2019年に離婚しています。

タスカー/スタンリー・トゥッチ

若年性認知症を患う作家のタスカーを演じているのはスタンリー・トゥッチです。

スタンリー・トゥッチは、1960年11月11日、ニューヨーク州ピークスキルのイタリア系一家に生まれました。1985年の『女と男の名誉』で映画デビュー後、次第に名バイプレーヤーとしてさまざまな作品に抜擢されるようになります。

1998年のテレビ映画『ザ・ジャーナリスト』と2001年の『謀議』でゴールデングローブ賞を受賞、2009年の映画『ラブリボーン』ではアカデミー助演男優賞候補となりました。その他出演作には、『Shall We Dance?』『プラダを着た悪魔』『ジュリー&ジュリア』『ハンガー・ゲーム』などがあります。

また監督・脚本家の顔も持ち、高校の同級生である俳優のキャンベル・スコットと共同で1996年に『シェフとギャルソン、リストランテの夜』を手掛けたほか、2017年には監督5作目の『ジャコメッティ 最後の肖像』を発表しました。

最新出演作は、2021年12月公開予定の人気シリーズ前日譚『キングスマン:ファースト・エージェント』です。

私生活では、1995年に一般女性と結婚し3人の子をもうけましたが結婚約15年で死別。2012年、『プラダを着た悪魔』で共演したエミリー・ブラントの紹介で彼女の実姉と再婚し、さらに2人の子をもうけています。

監督・脚本を手掛けたハリー・マックイーン

ハリー・マックイーンは、1984年1月17日生まれ、英国レスターシャー州レスター出身です。

2009年の映画『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』で俳優デビュー。2017年に出演した映画『愛欲のプロヴァンス』では、マドリッド映画祭助演男優賞を受賞するなど、俳優としてもその演技力は高く評価されています。

2014年の映画『Hinterland』で監督・脚本家デビューし、レインダンス映画祭や北京国際映画祭で上映されて注目を集めました。同作は、海外から久しぶりに帰郷したロラと幼なじみのハーヴィーが、若い頃一緒に過ごした海辺のコテージに旅し、友情を思い出す姿を描いた秀作です。ハリー・マックイーンはハーヴィー役で主演も兼ねています。

監督2作目である本作に続く次回作は、どうやら日本の徳島が舞台とのこと。マックイーン監督は日本と日本映画が好きで、何度も来日しているようです。

『スーパーノヴァ』の見どころと裏話5つ

1.キャスティング秘話

コリン・ファースとスタンリー・トゥッチは、ナチスを描いた2001年のテレビ映画『謀議』(『コンスピラシー アウシュビッツの黒幕』の邦題もあり)で初共演。同じ歳だったこともあって意気投合し、以来友人として親交を深めてきました。

本作の脚本を手にしたスタンリー・トゥッチが、コリン・ファースにもコピーを渡して個人的にオファーし、念願だった再共演が実現したようです。

当初は、トゥッチがサム役、ファースがタスカー役でしたが、打ち合わせの段階でファースが役柄を交換すべきではないかと提案し、トゥッチもすぐさま同意。当初、マックィーン監督はかなり動揺していたようですが、いくつかのシーンを試した結果、それがベストだとの決断に至りました。

2.ゲイ役に定評のある2人

ストレートの俳優である2人がゲイ・カップルを演じることについては、一部で批判の声があったのも事実です。

しかし、2人とも、ゲイの役柄では非常に定評と実績のある俳優です。

コリン・ファースは、『マンマ・ミーア!』のハリー役、トム・フォード監督作『シングルマン』で主人公のジョージ役、『裏切りのサーカス』でもバイセクシャルの諜報員を演じており、どれも非常に高い評価を得ています。

そもそも俳優デビュー作となった舞台版『アナザー・カントリー』でも、ゲイであるガイ・ベネット役でした。

一方のスタンリー・トゥッチも、『プラダを着た悪魔』で演じたヒロインの良き相談者ナイジェル役が広く知られているほか、クリスティーナ・アギレラ主演の『バーレスク』でもゲイの役柄を演じています。

そのナチュラル過ぎる演技から、トゥッチの私生活を知らない一部ファンの間でゲイ疑惑が出たほどです。

3.ディック・ポープの撮影とロケ地

本作の撮影は、英国カンブリアの湖水地方で行われました。2019年9月にクランクインし、6週間の撮影を経て10月にクランクアップしています。

光と影が織りなす、山と湖に囲まれた壮大な大自然も、本作の大きな見どころの一つ。

『幻影師アイゼンハイム』や 『ターナー、光に愛を求めて』で数々の賞に輝いた英国を代表する大御所撮影監督、ディック・ポープが撮影を手掛けています。

ちなみに、マックイーン監督の俳優デビュー作『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』も、今や70代となったディック・ホープの撮影です。

4.ハリー・マックイーン監督が物語をつくったきっかけ

ハリー・マックイーン監督は、インタビューの中で、知り合いに若年性認知症を患った女性がいて、それが本作をつくるきっかけになったと述べています。

女性は半年後に亡くなったようですが、その病気についてもっと知りたいと思い、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに通ってリサーチし、脚本を練り上げました。

Initially it came from a really personal experience. I was working with someone who, although I didn’t know at the time, had early onset dementia. She later got very, very ill with it and died about six months later.

https://www.screendaily.com/features/supernova-director-harry-macqueen-on-making-his-colin-firth-stanley-tucci-love-story/5153331.article

当初はゲイではなく、男女のカップルとして執筆したようです。

5.監督の前作『Hinterland』へのオマージュ

前作『Hinterland』でロラを演じたローリー・キャンベルが、本作でも同じロラの役柄でカメオ出演しています。

劇中、ホームパーティーの席でサムの隣に座り、会話する女性がロラです。好きな人ができたと告げますが、それはもちろん『Hinterland』でハリー・マックイーン監督自身が演じた主人公ハーヴィーのことを指しているのです。

映画『スーパーノヴァ』の感想・レビュー(閉じページはネタバレ注意)

静謐で美しい秀作『スーパーノヴァ』。

とりわけ、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの演技は素晴らしく、また、あいまいで情感豊かなエンディングも実に秀逸だ。

中でも好きなのは、物語が極めて寡黙であること。

2人の20年の過去はまったく描かれないし、姉夫婦も友人たちも、すべてをあるがまま受け入れ、接してくれる。2人が同性婚をあげているのかどうかといった、最近のLGBTQ映画が好んで扱うテーマですら、ここでは一切触れられることもなく、淡々とした今があるのみだ。

それは明らかにマックイーン監督の意図したものであろうし、インタビューで日本映画、特に小津安二郎が好きだと告白しているのもよくわかる気がする。

マックイーン監督のいくつかのインタビュー記事に目を通すと、ゲイを主人公に選んだ理由について、共通してこんな風に説明している。

「ゲイのカップルを主人公にしたのは、ストレートもゲイも関係なく普遍的なテーマであるから。また、素晴らしいゲイの映画はたくさんあるけれど、ゲイの恋愛のその後を描いたものがあまりないと感じたから。」

It occurred to me that what I was writing was a universal story – it’s about love, loss, compassion, empathy, trust, and all of that stuff, and that of course is not owned by any gender or sexual orientation. So all of those things combined made me want to make a film about same-sex love. 

https://www.pinknews.co.uk/2021/06/25/supernova-director-harry-macqueen-colin-firth-stanley-tucci-dementia-gay-lgbt/

A lot of LGBTQ+ cinema understandably and brilliantly is about the process of coming out or the evolution of your sexual being. But it seems to me that there wasn’t a huge amount of films about romantic love later on in life if you are the same sex.

https://www.anothermag.com/design-living/13406/supernova-director-harry-macqueen-it-was-the-hardest-thing-i-ve-done

当初は、個人的にも好きな俳優であるコリン・ファースとスタンリー・トゥッチがゲイのカップルを演じると知って、心浮き立ったものである。

しかし実際に鑑賞すると、それぞれの名演技に心揺さぶられる一方で、大スターである2人の華やか過ぎる存在感が、逆に静かに進む物語の邪魔になっている気もした。

設定が、ピアニストと作家という極めて恵まれた立場にあることもある。

無名の中年俳優2人がタスカーとサムを演じていたらどうなっただろう、などと思ってしまったが、ぜいたくな妄想なのかもしれない。

そして、おそらく、さまざまな解釈が可能であろうエンディング。

あらすじの中で述べた通り、字幕では「ずっと一緒だ」といった内容のサムの言葉で終わる。しかし、実際にサムが言ったセリフは確か「Let me go with you」だと思う。

つまり、こんな風に訳すことも可能である。

「お前と一緒に行かせてくれ」。

一緒に死ぬ道を選んだともとれるし、そうではなく、単に自分のそばで生き続けて欲しいという意味にもとれる。

ラストのピアノ演奏会も、観客の姿は一切なく、舞台にサムが一人いるだけで、あまり現実感がない。まるで夢の中のようだ。

このあたりは観た人によってさまざまな解釈がありそうで、それもあえて意図したものだろう。

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