「ひとりの物語が世界を変える」をキャッチフレーズに、AppleTV+から配信された全10話のドキュメンタリーシリーズが『親愛なる…』です。
社会に大きな変化と驚きをもたらした10人のポートレイト、そしてその10人の生き方に大きな影響を受けた一般の人々の姿をとらえます。
ここでは、日本ではあまりなじみのない人も混じる、選ばれた10人のプロフィールについて詳しくご紹介したいと思います。
AppleTV+(プラス)が配信するドキュメンタリーシリーズ『親愛なる…』
『親愛なる…』は言うまでもなく、手紙の冒頭に添える言葉。
10人の生き方に力をもらった人々が、感謝の手紙を送る形で各エピソードが構成されます。
気鋭のフィルムメーカーとして注目を浴びるR・J・カトラーが手掛けています。
R・J・カトラーについて
R・J・カトラーは、ドキュメンタリーやリアリティ番組を得意としている注目のフィルムメーカーです。
1983年に優秀な成績でハーバード大学を卒業後、まず舞台監督としてキャリアをスタート。大ヒットブロードウェイ・ミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』などにたずさわりました。
1992年、ドキュメンタリー作品のプロデュース・監督業へとキャリアを進めます。ビル・クリントンの大統領選を追った1993年公開のドキュメンタリー映画『クリントンを大統領にした男(The War Room)』は、いきなりアカデミー賞にノミネートされました。
2001年には、ある高校の14人の生徒の日常を追ったリアリティ番組『アメリカン・ハイ』(日本未公開)が大きな話題をよび、エミー賞を受賞。
他にも、30日の期間限定で、毎回決まったテーマに挑戦する実験型のドキュメンタリー『モーガン・スパーロックの30デイズ』や、Vogue誌編集の舞台裏を追った『ファッションが教えてくれること』など、数々の話題作を発表し続けています。
『親愛なる…』に登場する10人
※2022年3月現在の情報です。
1.スパイク・リー(Spike Lee)
アメリカ映画界を代表する巨匠の一人、スパイク・リーは、1957年3月20日ジョージア州アトランタ生まれ。ニューヨーク大学卒業後、1986年に発表した初の長編商業映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』がいきなり高い評価を得て、注目の映画監督となりました。
以後、『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『マルコムX』など、黒人の人種問題を背景にした数々の問題作、話題作を発表し続けているほか、複数の大学で教壇に立つなど、若手の育成にも力を入れています。
2015年にはアカデミー賞名誉賞を受賞。人種差別団体に潜入する黒人刑事を描いた2018年の映画『ブラック・クランズマン』は、カンヌ国際映画祭でグランプリに輝きました。
2. リン=マニュエル・ミランダ(Lin-Manuel Miranda)
俳優、歌手、作詞・作曲家、作家などさまざまな顔を持つリン=マニュエル・ミランダは、アメリカのショービジネス界では知らぬ人がいない才能です。これまで、ピューリッツァー賞、グラミー賞、エミー賞、トニー賞などさまざまな分野の賞を複数回受賞し、2016年にはタイム誌によって、世界で最も影響力のある100人に選ばれました。
1980年1月16日生まれで、ニューヨークのプエルトリコ系移民出身。学生時代に執筆したミュージカル『イン・ザ・ハイツ』が、自身の作詞・作曲・主演で2008年にブロードウェイで初演されるや、さまざまな賞を受賞します。
その後の活躍は目覚ましいばかり。やはり脚本・作曲・作詞・主演を務めたブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』は、社会現象を巻き起こすほどの大ヒット作となりました。
日本でも記憶に新しいところでは、『モアナと伝説の海』の全曲を手掛けたほか、映画『メリー・ポピンズ リターンズ』では俳優としてジャックを演じました。活動の幅広さは、留まるところを知りません。
3. スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)
デビューした1960年代から今日に至るまで、アメリカ音楽業界のトップに君臨し続ける大スター、スティーヴィー・ワンダーについては、あえて説明するまでもないでしょう。
1950年5月13日、ミシガン州サギノー生まれ。1963年にリリースしたアルバム、シングルともにビルボード1位を獲得したときにはまだ13歳であり、現在に至っても史上最年少の記録となっています。
1972年に発表した「迷信」でグラミー賞最優秀男性R&Bボーカル賞などに輝いて以来、同賞は25回受賞しています。
2020年4月には、レディー・ガガがイニシアティブをとった新型コロナウイルスのためのチャリティー・自宅ライブ「One World: Together at Home」に出演しました。
4. オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)
アメリカで絶大なる人気を誇る女性司会者、オプラ・ウィンフリー。単なるジャーナリズムやショービジネスにとどまらず、その影響力の大きさからも、世界で最も有名な女性の一人であることは言うまでもありません。
1954年1月29日ミシシッピ州生まれ。高校生の頃からラジオに出演し、19歳にしてローカルニュース局のアンカーを務めていました。1986年に始まった『オプラ・ウィンフリー・ショー』は高視聴率を誇り、全米を代表する人気番組に……。
番組は2011年に終了しましたが、同年には、ケーブルテレビ局「オプラ・ウィンフリー・ネットワーク」を開局。また女優としても活躍しており、デビュー作となった1985年の映画『カラーパープル』でいきなりアカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。
民主党支持者としても有名で、政治的にも強い影響力を誇るオピニオンリーダー的存在です。
5. グロリア・スタイネム(Gloria Steinem)
グロリア・スタイネムは、アメリカでは有名なフェミニズムの活動家です。フェミニズム運動が盛り上がった1960年代から70年代にかけて、運動のリーダー的存在であり、スポークスマンとしてさまざまなメディアにも登場しました。
1934年3月25日オハイオ州トレド生まれ。スミス大学在学中から政治活動に取り組み、卒業後はフリーランスのジャーナリストとして活動していました。スタイネムが執筆した「プレイボーイクラブ潜入記」は一大センセーションを巻き起こしています。
「ニューヨーク」誌のコラムニストを務めたほか、1972年には雑誌「ミズ」を共同創刊。80代となった今も、精力的に活動・執筆を継続中です。2020年には、自伝を原作にした映画『グロリアス 世界を動かした女たち』が公開され、ジュリアン・ムーアがスタイネムを演じました。
ちなみに、66歳だった2000年に俳優クリスチャン・ベールの父である環境・動物愛護活動家デヴィッド・ベールと結婚しましたが、ベールの死去により結婚生活は3年で終わりました。
6. ビッグバード(Big Bird)
なんと、10人の一人に『セサミストリート』に登場するビッグバードが選ばれました。
身長2メートル50センチの黄色い鳥であるビッグバードは、番組がスタートした当時から登場している人気キャラクターです。
公式ホームページによると年齢は6歳半の男の子。何か問題や事件が起こったときには、まっさきに駆け付けます。みんなで解決できるよう優しく寄り添う、好奇心旺盛で無邪気な頑張り屋さんです。
2020年5月17日には、日本でも16年ぶりに『セサミストリート エルモのおうちで遊ぼう』が放送され、ビッグバード含む懐かしいキャラクターがテレビ会議の形で登場しました。
7. ジェーン・グドール(Jane Goodall)
ジェーン・グドールは、チンパンジーの研究で世界的に有名なイギリスの動物行動学者です。
1934年4月3日、ロンドン生まれ。著名な人類学者ルイス・リーキーとの出会いをきっかけに、チンパンジー研究に取り組むことになります。
タンザニアのジャングルで調査を続け、研究成果もあげましたが、正式な専門教育を受けていなかったという理由で学会から冷ややかな目が向けられることもありました。その後、ケンブリッジ大学に入学し、博士号を取得しています。
現在も、世界各国の大学で客員教授など歴任しながら、研究や講演活動を続けています。2002年には国連平和大使に任命され、その翌年にはエリザベス2世より「デーム」の称号と勲章を授与されました。
8. アリー・レイズマン(Aly Raisman)
2012年のロンドン・オリンピックと2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの2大会連続で、金メダルを獲得したアメリカの体操選手がアリー(アレクサンドラ)・レイズマンです。
1994年5月25日、マサチューセッツ州ニーダム生まれのレイズマンは、2歳で体操を始めました。早くからその才能が注目され、まもなく全米を代表する選手となります。
チームのキャプテンを務めたロンドンでは団体と種目別床で金、リオでも再び団体で金、種目別床と個人総合で銀メダルを獲得しました。大会後、現役を引退しています。
2018年には、体操連盟の元チームドクターが女子選手に性的虐待を行っていたことを告発。先頭に立って体操連盟を批判し、改革を促す運動を行いました。その勇気ある行動に対し、同年にはアーサー・アッシュ・カレッジ賞を授与されています。
9. ヤラ・シャヒディ(Yara Shahidi)
ヤラ・シャヒディは幼いときから人気子役として活躍している若手女優です。2000年2月10日ミネソタ州ミネアポリス生まれのシャヒディは、6歳でCMモデルとしてキャリアをスタートさせました。
2007年にテレビドラマデビュー、2009年にはエディ・マーフィの娘役で映画デビューも果たし、一躍注目される存在になります。なんと言っても有名なのが、2014年から2022年まで続いた超人気コメディドラマ『ブラッキッシュ』のゾーイ役です。
女優活動とは別に、2017年、ティーンエージャー向けに、選挙の重要性や政治を考えるプラットフォーム「Eighteen x 18」を立ち上げました。
彼女の活動がミシェル・オバマの目に留まり、ハーバード大学入学の推薦状を書いてくれたエピソードは有名です。
10. ミスティ・コープランド(Misty Copeland)
ミスティ・ダニエル・コープランドは、今も現役で舞台に立つ著名バレエダンサーです。1982年9月10日、ミズーリ州カンザスシティ生まれ。貧しい母子家庭に育ちましたが、13歳のときに始めたバレエで才能を開花。2000年に、名門アメリカン・バレエ・シアターに入団しました。
2007年にソリスト、2015年に黒人女性では初となるプリンシパルに昇格しました。ダンサーとしてのキャリア以外にも、乗り越えてきた数々の苦難を綴った2冊の自伝を発表し、2015年にはその半生を追ったドキュメンタリー映画『ア・バレリーナ・テイル』(日本未公開)が公開されています。
同じく2015年にはタイム誌により、世界で最も影響力のある100人に選ばれました。クラシック・バレエ以外にも、ブロードウェイやミュージックビデオ出演、CMモデルなど、その活動は多岐に及んでいます。
AppleTV+の『親愛なる…』をおすすめしたいのは?
こうして10人のプロフィールを眺めてみると、みな挫折を経験し、それを乗り越えエネルギッシュに生きている人ばかりです。
今、心が折れている人、人生に悩んでいる人など、10人の中から気になった人を選んで一話でもじっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか?
きっと勇気と力をもらえるはずです。
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