『ノマドランド』あらすじ・キャスト・10の見どころとトリビア

ノマドランド 映画

世界中で数々の賞に輝いているフランシス・マクドーマンド主演の映画『ノマドランド』。

日本時間2021年4月26日に発表された、第93回アカデミー賞においても作品賞・監督賞・主演女優賞の最多3冠に輝きました。

ここでは、そんな映画『ノマドランド』について、あらすじと登場人物・キャスト、さらにぜひ知っておきたい見どころとトリビアを10個ご紹介します。

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世界中の映画祭を席捲している傑作『ノマドランド』

当代きっての実力派女優フランシス・マクドーマンドが製作、そして主演も務めた渾身の問題作が『ノマドランド』です。

「ノマド」とは遊牧民の意味。

現代のノマドとも言うべき車上生活者たちの姿を、アメリカ西部の美しい大自然を背景に描いた社会派ドラマです。

2020年の第77回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞、さらに権威ある第45回トロント国際映画祭でも同じく最高賞の観客賞を受賞するなど、現在、世界中の映画祭を席捲している傑作です。

『ノマドランド』のあらすじ【ネタバレあり】

ネバダ州にある企業町のエンパイア。リーマンショックによって工場が閉鎖され、そのあおりでファーンも住み慣れた家を失ってしまいます。最近夫を亡くしたばかりで独り者のファーンは、家財を処分して一台のバンを買い、その車で寝泊まりしながら各地の季節労働をこなす旅に出るのでした。

アマゾンの配送センターで一時的な仕事を得たファーンは、そこで出会ったリンダ・メイに誘われ、アリゾナに集まった車上生活者たちの集会を訪ねます。やがてそこで、主催者のボブらさまざまなノマドたちと交流を深めることに……。

以下、後半の展開、結末ネタバレ注意。

ガンを患う女性スワンキーとの出会い、また国立公園内の清掃の仕事で一人の男性デヴィッドと親しくなりますが、彼はやがて、訪ねてきた息子に説得され出ていくのでした。

故障したバンの修理費用を借りるため、カリフォルニアに暮らす姉を訪ねるファーン。

またデヴィッドと再会したファーンは、彼がもうノマドに戻る意思がないことに気づきます。そればかりか、ここで一緒に暮らさないかと誘われるのでした。

しかし、ファーンはノマドの生活に戻る決意をします。再びアマゾンの仕事につき、またボブらノマドの面々と再会し、死んだスワンキーを弔います。。

ファーンは、一人、ゴーストタウンとなったエンパイアを訪ね、再びバンを走らせるのでした。

主要登場人物とキャストの紹介

ファーン/フランシス・マクドーマンド

最近夫と死別したばかりの60代の白人女性がファーンです。代用教員をやっていましたが、不況のあおりを受け、思い切った決断を迫られます。

演じているフランシス・マクドーマンドは、1957年6月23日、イリノイ州ギブソン・シティ生まれ。イェール大学の演劇専門スクールに在学していた頃、ルームメイトだったホリー・ハンターに紹介され、1984年のコーエン兄弟監督作『ブラッド・シンプル』で映画デビューしました。

1988年の映画『ミシシッピー・バーニング』では、アカデミー助演女優賞に初ノミネートを果たします。その後、1996年の『ファーゴ』、2017年の『スリー・ビルボード』、そして本作により3度アカデミー主演女優賞に輝きました。

トニー賞とエミー賞も受賞した三冠王であり、アメリカを代表する実力派女優の一人です。プライベートでは、1984年にジョエル・コーエンと結婚し、1995年にはパラグアイから息子を養子に迎えています。

より詳しいプロフィールや、知られざる素顔、おすすめの出演作品などについては、下記の記事にまとめてあります。

デヴィッド/デヴィッド・ストラザーン

ファーンが国立公園で仕事を得、そこで親しくなるノマドの男性がデヴィッドです。ファーンと意気投合しますが、ある日、突然現れた息子に、もうすぐ生まれる孫に会ってほしいと説得され、家に連れ戻されます。

演じているデヴィッド・ストラザーンは、1949年1月26日生まれ、カリフォルニア州サンフランシスコ出身。学生時代からの知人ジョン・セイルズ監督の自主製作映画『セコーカス・セブン』で俳優デビューしました。

その後もセイルズ監督作品にたびたび出演しているほか、2005年の映画『グッドナイト&グッドラック』ではヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞するなど、インディーズ映画から大作映画まで幅広く活躍する実力派です。

その他キャスト

本職の俳優は、マクドーマンドとストラザーンのみで、その他は実際に車上生活を送っている人々がそのまま登場します。役名と本名が同じなのはそのためです。

リンダ:リンダ・メイ

ファンがアマゾン配送センターで最初に親しくなる中年女性がリンダ・メイです。

スワンキー:シャーリーン・スワンキー

パンクしたタイヤが縁で知り合う初老の女性がスワンキーです。ガンを患っていますが、残りの人生を病院ではなく、ノマドであることを選んだ女性です。

ボブ:ボブ・ウェルズ

ノマドたちが助け合うコミュニティーのような集会を主催しているのがボブです。つらい過去を背負うボブの言葉は、ファーンに強い影響を与えます。

メガホンをとったのは注目の中国人女性監督クロエ・ジャオ

監督を手掛けたクロエ・ジャオは、中国人女性であるという珍しさとは別に、今アメリカで最も注目されている映画監督の一人です。

1982年3月31日、北京生まれ。裕福な一家に育ち、15歳のときにロンドンのボーディング・スクールに留学、さらにロサンゼルスの高校からマウント・ホリヨーク大学で政治、ニューヨーク大学で映画を学びました。

いくつかの短編映画を手掛けたのち、2015年、初の長編監督作『Songs My Brothers Taught Me』を発表。サンダンスやカンヌなど名だたる映画祭で上映され、注目を集めます。

2017年の映画『ザ・ライダー』は、カンヌ国際映画祭で芸術映画賞、インディペンデント・スピリット賞で第一回ボニー賞を受賞するなど、非常に高い評価を得ました。マクドーマンドは『ザ・ライダー』を観て、本作の監督に起用を決めたと言います。

2021年には本作の他にも、秋公開予定のマーベルの新作『エターナルズ』が控えています。また、『ドラキュラ』のリブート作品の監督にも決定しています。

原作はジェシカ・ブルーダー著『ノマド:漂流する高齢労働者たち』

本作の原作は、ジャーナリストのジェシカ・ブルーダーが2017年に発表した著作『ノマド:漂流する高齢労働者たち』です。

2008年、世界を襲ったリーマンショックによって職と家を失い、自家用車で寝泊まりしながら、季節ごとの仕事を求めて全米各地を放浪する高齢の労働者たちの姿を追跡した社会派ノンフィクションであり、リンダ・メイやボブらは原作にも登場します。

フランシス・マクドーマンドと、『君の名前で僕を呼んで』などで知られるプロデューサーのピーター・スピアーズは、出版直後に本作の映画化権を獲得しました。



映画『ノマドランド』の見どころとトリビア10

1.フランシス・マクドーマンドの役作り

マクドーマンドは完全にファーンになり切るため、実際にバンで車上生活を行い、ノマドたちと日常生活を共にし、またアマゾンの配送センターで梱包作業に従事したりもしました。

車上生活は撮影期間の4-5カ月に及んだそうです。映画のために特別な演技をしてみせるのではなく、自身の生活をノマドたちの日常に完全に同化させる道を選んだのです。

2.マクドーマンドが映画スターであることを知らなかった!

ボブ・ウェルズらは、撮影の間もマクドーマンドがハリウッドを代表する映画スターであることを知りませんでした。

ファーンが自身の亡き夫のことをしみじみとボブに語るシーンは、終盤の見せ場になっていますが、それを事実だと信じこんでいたボブに、マクドーマンドがついに真実を告白。

夫が監督のジョエル・コーエンでまだ生きていると言ったことで、ようやく有名な女優であることを理解したのです。

3.撮影とロケ地は?

撮影は、ネバダ、アリゾナ、カリフォルニアなど5つの州、19の町を股にかけて行われ、期間はのべ4か月におよびました。

物語の背景となっているアメリカ西部の美しい大自然も、本作の大きな見どころの一つとなっています。

4.ネバダ州のエンパイアとは?

始まりの舞台となっているエンパイアは、ネバダ州ワショー郡に実在する地域です。

1948年以降、アメリカの石膏製品メーカーUSGの企業町でしたが、不況により2011年にプラントが閉鎖。750人ほどの従業員と家族は、5カ月間に限り会社所有の住宅に住むことを許されたものの、その後、退去を求められました。

町はゴーストタウンと化しましたが、2016年、Empire Mining Co.に売却され、現在は一部開発が進んでいます。

5.デヴィッドの息子を演じた俳優は?

デヴィッド・ストラザーン演じるデヴィッドを連れ戻しにやってくる息子を演じたのは、ストラザーンの実の息子テイ・ストラザーン(写真右から2人目)です。

2人いる息子のうちの一人であり、俳優ではなくミュージシャンです。「ドーズ」や「エドワード・シャープ&ザ・マグネティック・ゼロズ」などの人気バンドを渡り歩き、著名キーボードプレイヤーとして活動しています。

メリル・ストリープの娘で女優のグレイス・ガマ―と2019年に結婚しましたが、わずか1カ月余りで別居、2020年には正式に離婚しました。

6.高評価を得ているサウンドトラックにも注目!

本作を彩る静謐ながら心に響く音楽も高い評価を得ています。

使用されている楽曲には、イタリア人作曲家ルドヴィコ・エイナウディの作品、アイスランド人作曲家のオーラヴル・アルナルズの未発表曲などが含まれています。

7.クロエ・ジャオ監督の快挙

2021年4月26日に発表される第93回アカデミー賞のノミネートにおいて、クロエ・ジャオは、監督賞候補となった初のアジア女性監督となりました。受賞に至ればさらに快挙です。

監督賞候補にはもう一人別の女性監督エメラルド・フェネル、もう一人のアジア系監督リー・アイザック・チョンも名を連ねており、画期的な状況になっています!

さらに、クロエ・ジャオは、監督賞・脚色賞・作品賞・編集賞に同時にノミネートされた3人目の人物となりました。過去の二人は、なんと2007年の映画『ノーカントリー』を手掛けたコーエン兄弟です!

8.映画に対する中国からの反応

ゴールデングローブ賞に輝いた際には、中国国内のSNSはもとより、国をあげて中国人監督クロエ・ジャオの受賞を祝福するムードが漂っていましたが、一夜にして一転します。

ジャオ監督が、2013年に行われたインタビューの中で「中国はあらゆるところに嘘が蔓延している場所」と批判してたことが判明。2021年3月5日には、中国政府当局によって、映画『ノマドランド』に関するSNS上の言及がすべて遮断されるという事態に至りました。

現在のところ、中国本土でも予定通り4月25日に公開されることに変更はないようですが、大規模なロードショー公開には至らないと言われています。

9.ファーンが働く「ウォール・ドラッグ」とは?

デイヴィッドに誘われ、ファーンも一緒に働くことになる「ウォール・ドラッグ」は、サウスダコタに実在する巨大ドラッグストアです。

ウォールというのは町の名前で、日用品から衣類、土産物からフードまで揃う、人気の観光スポットとして知られています。

映画に登場する恐竜のオブジェも店のシンボルとして実在します。

10.ファーンが通り過ぎる映画館で上映されている作品の秘密

ファーンが一人散策する寂れた町の映画館で上映されているのは、なぜかマーベルの『アベンジャーズ』。

監督クロエ・ジャオの次回作はマーベルの新作『エターナル』ですから、さりげなくマーベル繋がりが示唆されているのでしょう。

映画『ノマドランド』の評価は?

本作に対する評価は、大絶賛という言葉を使っても言い過ぎではありません。

先に述べたヴェネツィア映画祭やトロント映画祭以外にも、全米各地の名だたる映画祭をほぼ独占。ゴールデングローブ賞で作品賞と監督賞、アカデミー賞においても作品賞・監督賞・主演女優賞の3冠に輝いています。

フランシス・マクドーマンドの演技については、これまでのベストという声が聞かれるほどの出来でありながら、すでに2度主演女優賞を受賞しているという点で、他の候補者の方が若干有利と見る向きもありました。が、ふたを開けてみると、見事3度目の栄冠に!

4度受賞しているキャサリン・ヘプバーンに次ぐ記録です。

映画『ノマドランド』の日本公開は2021年3月26日、全国主要映画館で!

日本では、3月26日(金)に全国の主要映画館でロードショー公開されました。

通常であれば、アカデミー賞授賞式が2月に執り行われるはずでした。もしかして作品賞受賞をひっさげての公開となったはずですが、今年は新型コロナウイルスの影響で授賞式が4月に延期されたため、ノミネートの段階での公開になりました。

さっそく、自分の目で鑑賞してみてはいかがでしょうか?

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