英国王室を描いた映画/ドラマ全15作品を年表でわかりやすく紹介

英国王室 ドラマ

2018年には『女王陛下のお気に入り』、そして『ふたりの女王:メアリーとエリザベス』という2作品がほぼ同時に公開されるなど、一つの人気定番ジャンルと言ってもいい、英国王室を描いた映画やドラマたち。

しかし、たくさんの作品が存在する上、また同一人物を主人公にしていても、作品によって描く時期も内容も異なるため、英国史に多少でも明るくないと、前後関係などわかりづらいのも事実です。

そこで本記事では、ひと目でわかるような年表で時間関係を表した上で、おのおのの作品を簡単に紹介したいと思います。

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英国王室を描く映画・ドラマを年表形式で紹介!

2022年9月8日には、イギリス史上最高齢かつ最長在位の君主であったエリザベス2世が崩御し、世界中で大きなニュースとなりましたが、ここでは、映画などで頻繁に描かれる、16世紀から現代に至る英国王室史を大きく4つの時代に分けています。

それぞれの時代で取り上げた映画・ドラマは全15作品。現代から過去にさかのぼっていく形をとりました。

【ウィンザー朝】20世紀~:ジョージ5世~エリザベス2世の時代

①『英国のスピーチ』(2010)

幼少時より吃音障害に悩んできた、ジョージ5世の息子ヨーク公アルバート王子。妻であるエリザベス妃の助言で専門家の指導を受けて見事に克服し、国民に愛される国王ジョージ6世となる姿を描きます。

エリザベス2世の父にあたる主人公ジョージ6世をコリン・ファース、妻のエリザベスをエレナ・ボナム=カーター、風変りな言語療法士のライオネルをジェフリー・ラッシュが演じました。

米アカデミー賞では、作品賞、コリン・ファースが主演男優賞、トム・フーパーが監督賞、そして脚本賞の4冠に輝いています。

②『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(2015)

1945年5月8日、ドイツとの戦争が終わった祝福の夜、お忍びでバッキンガム宮殿から街に飛び出したエリザベスと妹マーガレットが繰り広げる一夜の冒険を描きます。

19歳のエリザベス王女をサラ・ガドン、マーガレット王女をベル・パウリー、父親の国王ジョージ6世をルパート・エヴェレットが演じました。

ジョージ6世から非公式に許可を得て、街で自由に国民たちと戦勝を祝ったという実話に着想を得た物語です。

③『ザ・クラウン』(2016-2023)

Netflixドラマ史上最大の製作費が投じられ、ゴールデングローブ賞やプライムタイム・エミー賞などさまざまな賞に輝いた大ヒットドラマシリーズが『ザ・クラウン』です。

エリザベス王女とエディンバラ公フィリップの結婚に始まる2016年のシーズン1から、2023年秋には、完結となるシーズン6が配信されました。

全キャストはリレー形式で変わり、シーズン1・2の若きエリザベス2世をクレア・フォイ、シーズン3・4の中年期をオリヴィア・コールマンが、続いてシーズン5・6の後期をイメルダ・スタウントンが演じています。

他にもチャーチル首相、マーガレット王女、チャールズ皇太子、ダイアナ妃、サッチャー首相などなじみ深い人物が多数登場し、さながらイギリス現代史総括の様相を呈しています。

④『ダイアナ』(2013)

1997年8月31日パリ、謎に満ちた悲劇の交通事故により36歳で他界したダイアナ元妃の、最後の2年間を描きます。

20歳の若さでチャールズ皇太子と結婚し、2人の王子をもうけるものの、さまざまな経緯を経て1996年に離婚。新たな出会いと使命を見つけるも、やがて悲運の日を迎えます。

ダイアナを演じたのはナオミ・ワッツ。恋人と噂されたドディ・アルファイド、ウィリアム王子やヘンリー王子も登場します。

⑤『クィーン』(2006)

ダイアナ元皇太子妃の急死で揺れ動く、エリザベス2世と王室の内実を丹念に描いたスティーブン・フリアーズ監督作品です。

事故から国葬が執り行なわれるまでの数日間が描かれ、以前から不仲が取りざたされていたエリザベス2世の対応と国民からの批判、両者の和解に走る首相トニー・ブレアの姿が軸となっています。

悩み苦しむエリザベス2世を演じたヘレン・ミレンは、ヴェネチア国際映画祭やアカデミー賞など、各国映画祭の主演女優賞を総なめしました。

参考

上記の映画やドラマにもたびたび登場するチャーチルとサッチャーという政治側の人間を主人公にした映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)に関しても、参考まで年表に追加しています。



【ハノーヴァー朝】19世紀:ヴィクトリア女王の時代

英国王室19世紀

⑥『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(2009)

原題は「The Young Victoria」。 18歳の若さで即位し、やがてイングランドの繁栄時代を築き上げる若きヴィクトリア女王の闘いと愛の日々を描きます。

激しい権力争いとさまざまな困難を乗り越えつつ、ひたむきな愛をも貫きとおすヴィクトリア女王をエミリー・ブラント、激しい恋に落ちて結婚するアルバート公をルパート・フレンドが演じています。

アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しました。

⑦『Queen Victoria 至上の恋』(1997)

夫アルバート公に先立たれ、傷心と悲しみに暮れるヴィクトリア女王のため、呼び寄せられたのはアルバート公の元使用人でスコットランド人のジョン・ブラウン。2人の秘められた恋とそのことがもたらした国を巻き込む騒動を描きます。

原題は「Mrs. Brown」。もともとBBCのテレビ映画として製作されたものの、劇場公開されて大ヒットしました。

ヴィクトリア女王を演じたのは、イギリスを代表する大女優のジュディ・デンチ。英国アカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞に輝きました。ブラウンにはイギリスで活躍する人気コメディアンのビリー・コノリーが扮しています。

⑧『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(2017)

ヴィクトリア女王在位50周年を迎えた1887年。英国領インドから記念硬貨の贈呈役としてやってきたアブドゥルと、心を閉ざした女王が育んだ深い絆と人種を超えた心の交流を描いた作品が『ヴィクトリア女王 最期の秘密』です。

原題は「Victoria & Abdul」。『クィーン』を監督したスティーブン・フリアーズがメガホンをとり、ヴィクトリア女王には、『Queen Victoria 至上の恋』に続き再びジュディ・デンチが起用されました。本作でも再びゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされています。

アブドゥルを演じているのは『きっと、うまくいく』で世界的に注目されたアリ・ファザルです。

⑨『女王ヴィクトリア 愛に生きる』(2016-2019)

イギリスのテレビ局ITVが製作したヴィクトリア女王の半生を描いた大型ドラマシリーズです。2016年にシーズン1、2017年にシーズン2、2019年にシーズン3のそれぞれ全8話が放映されました。

物語は、18歳での女王即位に始まり、シーズン3の終わりでも1851年開催のロンドン万国博覧会と、大きく時間は進んでいません。待望のシーズン4については、公式の発表はなく、一部では3で完結とのうわさもあります。

3つのシーズンを通し、ヴィクトリア女王を演じているのはジェナ・コールマン、夫となるアルバート公役はトム・ヒューズ。

日本においても、NHKやAXN、またHuluやU-Nextなどで一部シーズンが放映・配信され、好評を博しています。



【スチュアート朝】18世紀:アン女王の時代

⑩『女王陛下のお気に入り』(2018)

18世紀初頭のイングランドを舞台に、気まぐれなアン女王の寵愛をめぐる2人の女性の対立を描いたスリリングな宮廷劇が『女王陛下のお気に入り』です。

ヴェネチア映画祭で審査員グランプリと女王を演じたオリビア・コールマンが女優賞を受賞。また米アカデミー賞でも、最多ノミネートのすえ、同じく主演女優賞に輝きました。

女王の幼なじみであり、宮廷で絶大な権力を持っていたレディ・サラをレイチェル・ワイズ、女王の侍女に迎えられたサラの従妹で没落貴族の娘アビゲイルをエマ・ストーンが演じています。



【テューダー朝】16世紀:ヘンリー8世~エリザベス1世の時代

英国王室16世紀

⑪『ブーリン家の姉妹』(2008)

男子の世継ぎを願うヘンリー8世の愛人の座をめぐり、新興貴族ブーリン家の長女アンと次女メアリーが骨肉の争いを繰り広げる姿を描きます。

アン役のナタリー・ポートマン、メアリー役のスカーレット・ヨハンソンという豪華二大女優の競演が見どころ。また、ヘンリー8世を演じているのはエリック・バナです。

やがて処刑される運命のアンが産む女の子が、のちのエリザベス1世です。

⑫『1000日のアン』(1969)

ブロードウェイで上演された戯曲をもとに、アン・ブーリンの生きざまと悲劇を軸に描いた作品が『1000日のアン』です。

ヘンリー8世を名優リチャード・バートン、アン・ブーリンをジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが演じ、アカデミー賞では主要10部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞しました。

メアリーの方が姉で、アンが妹という説に基づいた設定です。

⑬『エリザベス』(1998)

ヘンリー8世と愛人アン・ブーリンの間に生まれたエリザベス。私生児として扱われた上、プロテスタントだったことから一時反逆罪に問われながらも、やがて25歳で女王の座に。葛藤と戸惑いを抱えつつも、敵対側を処刑し、ついに「ヴァージン・クイーン」として国と結婚する覚悟を持つに至るまでを描きます。

エリザベスを演じたのはケイト・ブランシェット。アカデミー賞こそ逃したものの、ゴールデングローブ賞や英国アカデミー賞など映画祭の主演女優賞を席捲しました。

⑭『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007)

プロテスタントの女王として君臨するエリザベスが、さまざまな陰謀や策略、そしてイングランド制圧をもくろむカソリック国スペインと闘いに勝利し、世に知る「黄金時代」を築く姿を描きます。

シェカール・カプール監督とケイト・ブランシェットが再びタッグを組んだ、『エリザベス』の事実上の続編です。

王位への陰謀をめぐらすスコットランド女王メアリー・スチュアートをサマンサ・モートン。また、エリザベスが一人の女として男を愛する姿も描かれ、相手役のローリー卿をクライヴ・オーウェンが演じました。

⑮『ふたりの女王:メアリーとエリザベス』(2018)

夫であるフランス王の崩御に伴い、スコットランドに帰国し王位についたメアリー・スチュアートと、スコットランドにも力を及ぼすイングランド女王エリザベス1世。2人の愛憎入り混じる対決と、やがて迎える波乱の運命を描いた映画が『ふたりの女王:メアリーとエリザベス』です。

女性監督ジョージー・ルークのデビュー作であり、史実を無視した大胆な脚色が賛否両論をよびました。

メアリーをシアーシャ・ローナン、エリザベスをマーゴット・ロビーと、注目の若手人気女優が演じています。



ハマると病みつきになる?!英国王室を描いた作品たち

中には、エリザベス1世はエリザベス2世の母親といった大いなる勘違いをしている人すらいますが、英国史に詳しくなければ、無理もありません。(エリザベス1世が生きた16世紀は、家康や秀吉の時代です!)

一度ハマると病みつきになると言われる英国王室モノですが、各作品の時系列な前後関係がクリアになれば、もっと楽しく、わかりやすく鑑賞できるはずです!

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