ドラマ『ゲゲゲの女房』あらすじ/キャスト/原作/その後と現在

ゲゲゲの女房 ドラマ

国民的漫画家・水木しげるの妻・武良布枝氏の同名自伝エッセイをもとにした、2010年放送のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)第82作目の作品が『ゲゲゲの女房』です。

松下奈緒と向井理が演じた夫婦の物語は、多くの視聴者の共感と感動をよび、好評を博しました。

本記事では、同ドラマのあらすじやキャストをおさらいしたあと、原作の自伝とその後を綴った2作目の自伝を中心に、モデルとなった人物のその後と現在についてご紹介します。また最後に、新アニメ配信、映画新作公開、ドラマ再放送と続く、話題盛りだくさんの2023年秋以降の展開についても触れたいと思います。

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水木しげる・武良布枝夫妻の半生を、妻の視点を軸に描いた朝ドラ82作目『ゲゲゲの女房』は、2010年3月29日から9月25日まで全156回が放送され、初回から話数を増すごと右肩あがりに視聴率を増していった秀作ドラマです。最終回が番組最高の23.6%、平均視聴率でも18.6%を記録するなど、好評のうちに幕を下ろしています。

当時、一時低迷期に陥っていた朝ドラの、復活のきっかけとなった作品とも言われています。

ヒロインを朝ドラ初抜擢となった松下奈緒、水木しげる役を向井理が演じ、脚本を、後に大河ドラマ『八重の桜』を手掛ける山本むつみが担当、そして主題歌はいきものがかりの「ありがとう」でした。

■ドラマあらすじ

島根県安来市で酒屋を営む飯田家の三女として生まれた布美枝は、内気な少女として成長。29歳のとき、鳥取県境港市出身で今は東京の調布に暮らす39歳の貸本漫画家・村井茂と結婚します。

戦地で左腕を失くしつつも、マイペースで大らかな茂と、お見合いから5日後のスピード婚でした。

調布で貧しく苦しい生活を送りつつも、ひたむきに漫画を描き続ける茂を、布美枝は2人の娘を育てながら朗らかに懸命に支えづけます。茂は、ついに認められて商業誌デビューを果たすと、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」など数々の人気作品を生み出していくのでした。

ドラマは、布美枝少女時代の1939年(昭和14年)に始まり、さまざまな苦難や喜びを乗り越えてたどり着いた1986年(昭和61年)の2人の姿までを描きます。

■主要キャストとモデルとなっている実在人物

※キャストは成人時の配役です。また親族には全員モデルがいます。

●主人公一家
村井(飯田)布美枝/松下奈緒
村井茂/向井理
長女・藍子/青谷優衣
次女・喜子/荒井萌

●布美枝の実家(飯田家)
祖母・登志/野際陽子
父・源兵衛/大杉漣
母・ミヤコ/古手川祐子
長姉・暁子/飯沼千恵子
次姉・ユキエ/星野真里
兄・哲也/大下源一郎
兄嫁・邦子/桂亜沙美
弟・貴司/星野源
妹・いずみ/朝倉えりか
叔母・宇野輝子/有森也実

●茂の実家(村井家)
父・修平/風間杜夫
母・絹代/竹下景子
兄・雄一/大倉孝二
兄嫁・佐知子/愛華みれ
弟・光男/永岡佑

●その他、東京の人々
田中美智子/松坂慶子:貸本屋「こみち書房」店主
深沢洋一/村上弘明:出版社「三海社」社長→『ガロ』初代編集長・長井勝一がモデル
浦木克夫/杉浦太陽:茂の幼馴染み
戌井慎二/梶原善:貸本漫画家仲間→「東考社」の桜井昌一がモデル
富田盛夫/うじきつよし:出版社「富田書房」社長→「兎月書房」の清水袈裟人がモデル
倉田圭一/窪田正孝:茂のアシスタント→漫画家の池上遼一がモデル
小峰章/斎藤工:茂のアシスタント→漫画家のつげ義春がモデル
菅井伸/柄本佑:茂のアシスタント
相沢幹夫/中林大樹:茂のアシスタント→村澤昌夫がモデル

■原作

妻である武良布枝氏の自伝エッセイ『ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければすべてよし‼』は、2008年3月に刊行。2010年には、本ドラマのほか、吹石一恵と宮藤官九郎主演の映画版が公開されたこともあり、ベストセラーとなりました。

10年後の2018年9月には、事実上の続編『「その後」のゲゲゲの女房 あるがままに。すべてに感謝‼』が刊行され、ドラマ後の出来事、また水木しげるの死去(2015年)のことなどが、詳しく綴られています。

ドラマ化うんぬんとは別に、武良布枝氏の人柄がにじみ出る両著作とも、おすすめです。



ドラマは、原作にかなり忠実に作られていることがわかります。

布美枝が6人きょうだいの三女であること、茂が男3人きょうだいの次男であることは、事実通りです。そして2人がお見合いから5日後に結婚したというエピソードも、実は事実に即したものなのです。

ドラマに登場する戌井慎二のモデルある桜井昌一は、水木しげるの漫画にしばしば登場する「眼鏡出っ歯」や「サラリーマン山田」のモデルであること、またアシスタントとなったつげ義春(『ゲンセンカン主人』など)、池上遼一(「男組」など)、矢口高雄(「釣りキチ三平」など)らにまつわるエピソードも、ファン必読の面白さです。

「ゲゲゲの」の由来については、水木しげるの次の言葉が引用されています。

「オレが小さいころ、シゲルといえず、自分のことをゲゲルといっていたから、『ゲゲ』とガキ大将仲間から呼ばれていた。だからゲゲゲの鬼太郎でもいいんだ」

引用:武良布枝著『ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければすべてよし‼』実業之日本社

原作もドラマ同様、しみじみとした2人のやりとりで終わります。

「終わりよければすべてよし。……でもお父ちゃん、終わりはまだまだよ。あの子が成人するまで、長生きしないと」
あの子とは、長女・尚子の息子で私たちのたったひとりの孫のことです。
「100まで生きればいいのか。それはできるだろう」
「いえ、もっと。あの子が結婚して、子どもをもうけるまで」
「そりゃ、大変だな」
「でも、お父ちゃんならできますよ」

引用:武良布枝著『ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければすべてよし‼』実業之日本社

残念ながら100歳に届かなかった、水木しげるの他界を思うと、胸が苦しくなる2人の会話です。

夫の強い「生き抜く力」を心から尊敬し、信じ続ける妻の姿や言葉はとても感動的であり、非常に後味のよい読後感に浸ることができるでしょう。

自伝『ゲゲゲの女房』の10年後、2018年9月に刊行されたのが事実上の続編ともいえる『「その後」のゲゲゲの女房』です。

ドラマ放送後の反響、そして2015年に訪れた水木しげるの死、そして生前の思い出やエピソードなどが素直に綴られており、胸に迫ります。

水木しげるは、2015年11月11日、自宅で転倒して頭部打撲。硬膜下血腫の緊急手術を受け、一時回復しますが、11月30日午前7時18分、多臓器不全により、東京都三鷹市の杏林大学医学部付属病院で、93歳で死去しました。

著作にはその経緯や様子が詳しく綴られています。

水木を一刻も早く、我が家に連れて帰りたいと思っていました。玄関から入ったときの我が家の匂いを、水木の好きだった応接間や寝室の窓辺から吹く風を、亡骸になっても感じさせてあげたいと思っていたのです。

引用:武良布枝著『「その後」のゲゲゲの女房 あるがままに。すべてに感謝‼』辰巳出版刊

葬儀には向井理と松下奈緒も駆け付けてくれたこと、そして生前、近所の覺證寺に墓所を得て、墓石のデザインに携わった経緯なども詳しく紹介されています。

布枝氏も、2015年の夏、庭で転んで大腿骨を骨折し、以来足を悪くされますが、そんな状況下で夫の死と向き合う姿には、勇気と力を与えられます。

(前略)水木に
「お母ちゃんは、生まれてきたから、生きている」
と言われるくらい、今までの私は水木の背中だけを見つめ、自分自身のこれからについては考えずに生きてきました。
ですから、終わりに向かって歩いていくのではなく、これからの人生もあるがままを受け入れて、いろいろなことに感謝して生きていきたいと思っています。

引用:武良布枝著『「その後」のゲゲゲの女房 あるがままに。すべてに感謝‼』辰巳出版刊

この思いが、そのまま2作目のサブタイトルになっているのです。

『「その後」のゲゲゲの女房』が刊行された2018年から数年が過ぎた2023年現在、状況にさらなる変化があります。ドラマにも登場した親族何人かのその後を、判明した範囲で簡単にご紹介します。

境港市にある水木プロ中国支部を任されていた水木しげるの兄・宗平氏は、2017年(平成29年)11月22日に死去されていますが、水木プロのゼネラルマネジャーを務めていた弟の幸夫氏も、2021年(令和3年)4月8日に死去されました。非常に仲良しの3兄弟だったようです。

布枝氏の兄・藤兵衛氏も、『鶴瓶の家族に乾杯』や『NHKのど自慢』に出演するなど人気者でしたが、2018年2月2日に亡くなられています。

現在、水木しげるの長女・原口(水木)尚子氏が、水木プロの取締役を務め、次女の悦子氏も同プロで働きつつ、『お父ちゃんと私ー父・水木しげるとのゲゲゲな日常』など複数の著作を発表しています。

水木しげるのお孫さんについての詳しい情報は公表されていません。母・尚子氏のSNSに、2020年3月時点で「高校生である息子」との記述がありますから、現在は二十歳前後のお歳かと推測されます。

そして、武良布枝氏は、2人の娘さんに支えられながら、穏やかな日常を過ごされているようです。2023年11月19日には、娘の尚子氏と映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を劇場で鑑賞されたようです。これからもお元気で過ごしていただきたいですね。

ちなみに、ドラマのキャストの中では、布美枝の祖母とナレーションも担当していた野際陽子が2017年6月13日に81歳で死去、同じく布美枝の父を演じた大杉漣も、2018年2月21日に66歳で死去しています。



お二人の人柄があってのことでしょうが、故郷である鳥取県境港市と東京都調布市では、さまざまな企画やイベントで現在も盛り上がっています。

2008年に水木しげるが名誉市民に選ばれていた調布市では、命日の11月30日を「ゲゲゲ忌」とし、ゆかりの地を紹介する聖地巡礼マップが発行されたり、その他、さまざまな企画が続けられています。墓所がある覚證寺には、現在も多くのファンの方が献花などにやってくるようです。

境港市には、妖怪のオブジェが並ぶ「水木しげるロード」が1993年からあり、多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。

その他、2023年の秋には、ファン必見の新作が相次いで公開・配信されました。

水木しげるが1963年(昭和38年)に描き始めた『悪魔くん』。1989年4月から1990年3月まで、テレビアニメとして全42話が放送されましたが、代表作の一つだと言っても過言ではありません。

そして、2023年11月9日より、Netflixにて新作『悪魔くん』が、全世界独占配信!テレビアニメ版から30数年後が舞台となっており、悪魔に育てられた天才少年・埋れ木一郎が、相棒のメフィスト3世と共に、事件解決に挑む姿を描く12エピソードから構成されています。

水木しげるが、『悪魔くん』に込めた思いについては、上記自伝の中で以下のように綴られています。

救世主であるはずの悪魔くんが、これでもかというほど、後から後から苦い思いをなめさせられる受難の物語の中に、「売れないマンガ家」というレッテルをはられ、心血を注いだ作品はまったく認められず、暮らしも立ち行かなかった時代の水木の忸怩たる思いがこもっている

引用:武良布枝著『ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければすべてよし‼』実業之日本社

2023年11月17日には、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が公開され、大きな反響を呼んでいます。

昭和31年の哭倉村を舞台に、ある一族に起こった残酷な殺人事件、そして鬼太郎誕生につながる目玉おやじと水木しげるの姿を描くという斬新な物語が展開します。

水木しげる生誕100年記念作品として製作されました。大人が楽しめる作品として話題です。

水木作品の原画やゆかりの品、個人収集した妖怪などに関するコレクションを展示する施設として、2003年、境港市に開館した「水木しげる記念館」ですが、建て替えのため2023年3月より一時休館。

2024年4月に、新しくリニューアルオープンする予定で、楽しみです。

そして、2023年12月11日からは、BS12にて、朝ドラ『ゲゲゲの女房』の再放送がスタートします。

毎週月曜日、19:00から20:50まで6話を連続放送する形であり、ドラマを再度見直したい方、初めて見る方は、要チェックです。

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