【芋たこなんきん】あらすじ/相関図、田辺聖子と夫/川野純夫の実話

芋たこなんきん・田辺聖子 ドラマ

2006年下期のNHK連続テレビ小説として放送された、第75作目『芋たこなんきん』。

好評を博したにもかかわらず、DVD化は実現しておらず、2022年3月28日から9月17日まで放送されたBSプレミアムでの再放送は大きな注目を集めました。

本記事では、そんなドラマ『芋たこなんきん』のあらすじや相関図など概要についておさらいし、物語のモデルとなっている作家・田辺聖子と夫・川野純夫にまつわる実話についてご紹介したいと思います。

スポンサーリンク

朝ドラ『芋たこなんきん』について

2006年10月2日から2007年3月31日まで、全151回に渡って放送されたNHK連続テレビ小説の第75作目が『芋たこなんきん』です。

ヒロインの花岡町子、その夫となる徳永健次郎のモデルとなっているのが田辺聖子と川野純夫。脚本は長川千佳子(おさがわちかこ)が担当していますが、田辺の名は原案にもクレジットされており、つまり自伝的色彩の濃いホームドラマです。

時系列ではなく、藤山直美演じる花岡町子の現在に、少女時代などの過去を織り交ぜていくという朝ドラには珍しい構成をとっており、また昭和当時の大阪の街を再現するため、ロケではなくCGが多用されたことも当時大きな話題になりました。

待望の再放送は、2022年3月28日から9月17日まで、BSプレミアム/BS4Kにて、毎週月曜から土曜日の朝7:15から7:30に放送されました。

『芋たこなんきん』のあらすじとキャスト・相関図

■あらすじ

主な舞台は大阪・天満の商店街。花岡写真館の長女として生まれ、今は金物問屋で働きつつ、小説家になる夢に向かって文筆活動に精を出す、37歳の花岡町子が、開業医の徳永健次郎と出会います。

やがて二人は結婚しますが、「かもかのオッチャン」こと健次郎は、バツイチですでに5人の子持ち。三世代が暮らす大家族の中で、夫や子供たちのため、また自身の執筆活動のため、パワフルに奮闘する姿を描きます。

■主要キャストと人物相関図

花岡家(町子からみた間柄)

ヒロイン:花岡町子/藤山直美(37歳~)
父:徳一/城島茂(TOKIO)
母:和代/鈴木杏樹(33歳~)、香川京子(60歳~)
妹:孝子/メイサツキ(34歳~)
弟:信夫/西興一朗
祖父:常太郎/岸部一徳
祖母:イト/宮田圭子
曾祖母:ウメ/淡島千景
叔父:茂/西川忠志
叔母:文代/増田未亜
叔母:昌江/尾野真千子

徳永家(健次郎からみた間柄)

町子の夫:徳永健次郎/國村隼(41歳~)
父:喜八郎/小島慶四郎
母:イシ/岩本多代
兄:昭一/火野正平
妹:晴子/田畑智子
長女:由利子/邑野みあ(17歳~)
長男:清志
次男:登
三男:隆
次女:亜紀
前妻:澄子
長女の夫:清二/中村靖日
妹の夫:東條祥吾/山口智充

その他、町子に関わる人物

秘書:矢木沢純子/いしだあゆみ
友人:神田みすず/友近
幼馴染:野村寛司/平田満
先輩作家:千葉龍太郎/筒井康隆
先輩作家:池内幸三/板尾創路
先輩作家:加藤舞子/岡田茉莉子



田辺聖子の生涯について

■生い立ち、文学少女から人気作家へ

田辺聖子は、1928年3月27日、大阪府大阪市上福島で祖父の代から続く写真館に生まれました。幼少期から文学少女として、古典から少女小説まで愛読する一方、金物問屋で働きながら、同人誌に参加したりして執筆を続けていました。

1956年に『虹』で大阪市民文芸賞を受賞し、プロの作家としての道を進み始めます。1964年、35歳のときに『感傷旅行』で芥川賞を受賞し、人気若手女流作家の地位を確立しました。

■私生活と結婚

1964年、文学仲間として親しくしていた作家の川野彰子が若くして他界。田辺聖子が追悼文を寄せたり、葬儀に参列したりしたことが縁で、彰子の夫だった川野純夫と知り合いました。2人は、1966年に結婚。純夫が2002年に他界するまで36年間、おしどり夫婦として添い遂げました。

1976年から伊丹市に暮らし、名誉市民にも任命されています。

■作家としての活躍、晩年と死因

純文学から次第に大衆小説へと移行しますが、エッセイや恋愛小説、評伝、歴史小説などジャンルを問わないさまざまな作品を発表し、国民的人気を誇る女流作家となりました。1995年に紫綬褒章、2000年に文化功労者、2008年には文化勲章を授与されています。

本ドラマ『芋たこなんきん』が放送された2007年には、母校である大阪樟蔭女子大学小阪キャンパス図書館内に「田辺聖子文学館」が開館しています。また、ドラマの最終回には、ひょんなシーンでカメオ出演しました。

2019年6月6日、総胆管結石による胆管炎により、91歳で死去しました。

■田辺聖子のおすすめ作品

①『ジョゼと虎と魚たち』

日本と韓国で二度の映画化、さらにアニメ化もされた短編小説『ジョゼと虎と魚たち』は、田辺聖子の作品の中でも最も人気の高い一編でしょう。

同じ短編集に収められた『恋の棺』『雪の降るまで』も名編の誉れ高く、田辺聖子の熱烈な愛読者だった山田詠美によって、アンソロジー作品集に選ばれたこともあります。

②『人生は、だましだまし』

エッセイはどれも読み始めると止まらない面白さがありますが、『人生は、だましだまし』などは、読むたびに元気の出る作品です。

「カモカのおっちゃん」シリーズとしては、手始めに『おせいカモカの対談集』などいかがでしょうか?

③『楽天少女通りますー私の履歴書』←『楽天乙女』

劇中、町子が戦時中の生活を綴った小説『楽天乙女』として登場するのは、『楽天少女通りますー私の履歴書』がモデルになっていると思われます。

健次郎や矢木沢を感動させ、泣かせましたね。

田辺聖子の夫「かもかのおっちゃん」こと川野純夫と彼の前妻・川野彰子について

田辺聖子の夫となる川野純夫は1924年、鹿児島県奄美大島の生まれ。医学部を卒業後、神戸市兵庫区で皮膚科の開業医となりました。同郷出身の川野彰子と1953年に結婚し、4人の子どもをもうけますが、1964年に彰子が若くして急死。その後、田辺と知り合った経緯は既述のとおりです。

純夫は1976年に脳梗塞で倒れ、車椅子が必要な生活を余儀なくされますが、田辺は変わらぬおしどり夫婦として介護を続けました。2002年1月14日、舌癌により、77歳で他界しています。

「カモカのおっちゃん」とは、当初、架空の人物でしたが、イラストを担当していた高橋孟が純夫をモデルに描いたこともあって、やがて純夫自身の愛称となった経緯があります。

一方、前妻の川野彰子は、1928年、鹿児島県徳之島出身。立命館大学在学中から小説を書き始め、『色模様』と『廓育ち』で2度、直木賞候補になりました。『廓育ち』は三田佳子主演で映画化もされています。

2度目の候補となった同じ回の芥川賞を受賞したのが田辺聖子であり、それが縁で仲の良い文学仲間となりました。しかし、知り合ってから1年もたたない1964年9月11日に急死しています。



幻の朝ドラ『芋たこなんきん』

『芋たこなんきん』のDVD化が実現していない理由については諸説あり、一説には、重要な出演者の1人が許可しないためとも言われていますが、真偽のほどはわかっていません。

そのため、今回の再放送は、本ドラマファンにとっては待ちに待ったものでした。

本ドラマが気に入った方は、ぜひ田辺聖子の著作も手に取ることをおすすめしたいと思います。

BSプレミアムの再放送枠で『芋たこなんきん』の次に放送の朝ドラ『本日も青天なり』については、下記の記事をご覧ください。

コメント

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました