『ちむどんどん』ひどい/つまらない12の理由を考察・視聴率は?

ちむどんどんがひどい ドラマ

2022年上期のNHK朝ドラ第106作目として放送された『ちむどんどん』が大炎上しました。

沖縄本土復帰50年の記念すべき作品として位置付けられ、自然豊かな島北部に生まれ育った4きょうだいの奮闘を、次女をヒロインに据えて描くドラマでしたが、物語が進むにつれ、「つまらない」「ひどすぎる」「離脱決定」という視聴者の声が殺到していったのです。

下記の記事は、2022年6月、ドラマ中盤の時点で、その理由と考えられる12のポイントを考察し、さらに今後の展望・要望までを記したものです。ドラマが終わってみても、どうやらこの考察を修正する必要はなさそうです。

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朝ドラ『ちむどんどん』がひどいと大炎上!視聴率も低迷!

沖縄の本土復帰50年を記念し、2001年前期の『ちゅらさん』、2012年後期の『純と愛』に続き、朝ドラ3作目となる待望の沖縄ものとして鳴り物入りでスタートした『ちむどんどん』。

脚本を手掛けている羽原大介も、2014年後期の『マッサン』に続く朝ドラ2度目の抜擢でした。

ところが、いざスタートしてみると、ハチャメチャな展開と共感できない登場人物たちの描き方に対して批判や落胆の声が殺到し、Twitterのハッシュタグ「ちむどんどん反省会」が毎朝トレンド入りする始末……。

実際、視聴率も振るわず、毎回15%台前後を行ったり来たり。まさかの朝ドラ史上最低記録更新も危ぶまれる事態なのです。

『ちむどんどん』がつまらない12の理由を考察

独断と偏見による暴言ではありますが、『ちむどんどん』がつまらない理由を12のポイントから考察してみました。

①なぜか好きになれないヒロインの比嘉暢子

朝ドラの典型的なヒロイン像として、「前向き」「真っ正直」「純粋」「ひたむき」「頑張り屋」などのキーワードが浮かぶかと思います。その意味では、暢子もまさに王道ヒロインではあるのですが、なぜかまったく好きになれないのです。

例えば『ちゅらさん』の国仲涼子、『あまちゃん』の能年玲奈などを思い出してみてください。彼女たちに比べ、暢子を演じている黒島結菜が、格別演技が下手とか、魅力がないというわけでもないでしょう。それなのに、なぜこんなにも愛されないのでしょうか。

暢子に決定的に欠如していると思うのは、責任感のなさです。また、周囲や目上の人に対する最低限の常識やマナーなどにも欠ける点も、視聴者の反感を招きやすいと言えるかもしれません

例えば、レストラン・オーナーの房子に、新入りバイトの分際でいきなり口ごたえしたり、まさかの料理対決を挑んだりというのは、完全にやりすぎです。大迷惑なイタイ女です。

素直ではなく図々しい、元気というより幼稚、ひたむきというより無計画、前向きというより人騒がせ……。魅力となるべきポイントが、すべて裏目に感じられてしまうのです。本人にはそのつもりはないのになぜか周りから嫌われる、よくいるそんなタイプの女性になってしまいました。

②愛情と過保護の区別ができない悪母

仲間由紀恵の優し気な雰囲気に救われているものの、そうでなければこの母親はほとんど周囲や社会にとって害悪レベルです。

長男の借金やしでかしたいざこざを一切怒ったり叱ったりすることなく、どんどんお金をつぎ込んでいく。それは愛情でも優しさでもなんでもなく、ただの行き過ぎた過保護。裕福な一家ならまだしも、長男に貢ぐお金も借金で用立てたものであり、それはつまり他人のお金なのですよ、お母さん!

過保護という言葉ではまだ甘すぎるかもしれません。正直言って、このようなタイプの母親が、子育てを誤り、一歩間違えれば犯罪者の子どもをうむと言っても過言ではないでしょう。朝ドラ史上屈指のダメ親です。

③兄が救いようのないほどのバカでイライラする

同じ相手に二度も詐欺にあうなんて、これはもしかして知的障害があるのではないか、つまりあまり声高に非難してはいけないのではないか、と思ってしまうほどの長男・賢秀の大バカぶり。

それにしても、金銭に関するこのルーズさは、いったいどこからきたのでしょう。貧しい一家に育ったならば、普通もっと堅実になるものではないでしょうか。沖縄県人特有のおおらかさと擁護する声にはまったく同意できません。

家族からですら、お金をむしり取っていく悪党キャラは、どんなドラマでも登場するタイプですが、なぜか賢秀は、竜星涼の少々過剰過ぎる演技もあって、妙にイラつかせるのです。

それは一つに、これまでしでかしてきた数々悪事に対し、ほとんど反省などしたことがないに等しいことも大きな要因ではないでしょうか。

名前の「賢秀」とは、まるで真逆です。視聴者は、賢秀に一度とんでもない天罰が下ることを待っているように思います。

④三女の歌子がうじうじして弱すぎ

ほかのきょうだいとは正反対に、病弱ゆえに控えめ、自己主張できない、極端なぐらい奥手な性格の三女・歌子。片桐はいり演じる音楽教師に見初められるも、人前で歌うことすらいやで逃げ回る程度なら、まだ同情できるものでした。

ところが、単なる控えめな性格に終わらず、次第に屈折した弱さを呈し始めます。つまり、いじけて、すねる。いつまでも子供じみていてなかなか大人になりきれないのも、やはり母親の過保護の弊害なのでしょうか。

精密検査を受けるため、母親とはるばる上京した後になって、病院は嫌だ、沖縄に帰りたいとすねるのはまるで甘やかされた子どもです。

そもそも、音楽教師が目をつけ、オーディションで評価されるほどの抜きんでた歌唱力でしょうか?

⑤比嘉家の金銭事情が謎過ぎる

父親の急逝後に、一家が直面する多額の借金問題は、ドラマ最初の頃の大きなテーマでした。

ところが、いつの間にか長女の良子が那覇の大学を卒業しているなど、視聴者から「そのお金はどうした」と指摘や文句が殺到したのです。無職の賢秀も、なぜか何度も沖縄と本土を行き来しており、当時の往来には相当のお金がかかっていたはずなのに、そのお金の出どころも不可解です。

お金問題に関しては、他にもさまざまな疑問や指摘が、Twitterやブログなどに多くあがっていますからここではあえて割愛しますが、かなりいい加減に描かれていることは間違いありません。



⑥ご都合主義でその場しのぎのストーリー展開

どんなドラマにもご都合主義はつきものです。さまざまな偶然が重なるのは、決して珍しいことではありません。しかし、『ちむどんどん』の場合は少々度が過ぎています。

エピソードや事件が重なることで、物語が動いていくのではなく、物語を動かすためだけにエピソードを作っていると言っても言い過ぎではない気がしてきます

例えば、賢秀がボクシングでファイトマネーを得て、そのお金で比嘉家の借金を返済し、暢子が上京できるようになるというのは、その典型例です。実は一戦限りのまぐれで、すぐにジムから逃げ出した、とはあまりにひどい。

また上京して行き場のない暢子が、たまたま通りがかったのが、片岡鶴太郎演じる、実は深い縁のある平良三郎の家。新聞社で働くことになると、そこにいるのが青柳和彦。和彦がなぜか暢子と同じ下宿先に……、というくだりの展開は、ご都合主義祭りでした。

そもそもレストランから新聞社に出されるという展開も、和彦に再会させるための舞台づくりだったではないでしょうか。常識を学ばせるという目的には無理があります。

⑦人間関係が中途半端にあいまい

「アッラ・フォンターナ」のオーナーである房子と比嘉家の関係が今ひとつ不可解であることで、一時、さまざまな憶測を交えた大炎上状態になりました。

興味深い謎とき、というのは程遠い展開。唐突にあいまいなセリフを入れたりするだけで、しかもそれに関わる人々の反応などをきっちり描かないために、ただただ中途半端でわかりづらく、イライラするのです。

こうした人間関係の謎が次第に明らかになっていくという展開で、重要になるのは、しっかり伏線をはることと、それを回収することです。

これまでのご都合主義な展開を見る限り、どうやらどういった深い意味合いは期待できそうもありません。

⑧セリフに深みがなくて陳腐

ドラマは折り返しですが、これまで、心に残るようなセリフが一つでもあったでしょうか?重要な場面のセリフでもなぜかとても薄っぺらいのは、残念ながら脚本家の人間洞察の浅さを疑わざるを得ません。

最近の展開から一例をあげると、病院で診察を受けるために上京し精神的にどん底に落ちた歌子に母親がかける言葉がこれです。

「生きることを怖がらないで。お母ちゃんがずっとついている。ずっとそばについているからね」

この言葉で、それまで散々いじけて周囲に迷惑をかけていた歌子が、あっさり立ち直る展開には、思わず笑ってしまいました。あまりに陳腐で薄っぺらくはないでしょうか。プロの脚本家であれば、きらりと光る一言を言わせる腕の見せ所だったはずです。

⑨料理が軸のドラマなのに、料理をなめすぎ

『ちむどんどん』のテーマは「食」です。暢子が料理に目覚め、料理人として成長していく姿が柱になっていますが、第一に、料理にそこまでのめり込むきっかけが弱いため、熱意が視聴者に伝わりません。

銀座の一流レストラン「アッラ・フォンターナ」で、暢子がさして苦労らしい苦労もせず、その腕前を認められていくのもあまりに安易でしょう。

その腕前を証明するため、次なる看板料理を提案することになりますが、暢子の作った「イカ墨のパスタ」の不味そうなことといったら……。

銀座の一流レストランに数年勤め、しかも「ストーブ前」という重要なポストをまかされるかもしれないコックの作るとっておきの料理がこれでいいのでしょうか?

⑩せっかくの時代設定なのに、その空気感ゼロ

『ちむどんどん』は、2022年が沖縄の本土復帰50年となることから、それを記念し企画されたドラマです。しかし、時代の大きな変化が、物語の展開にうまく映し出されていると言えるでしょうか?

残念ながら、そうした昭和の濃い空気を、ドラマの中に見出すことはできません。物語がスタートした1964年にヒロインの比嘉暢子は10歳。つまり1950年代の半ばに生まれた女性なのですが、黒島結菜演じる暢子のまとう雰囲気は、まるで現代の若い女性そのものです。

沖縄にとって大きな転換点となる本土復帰も、なにやらあっさりと通り過ぎてしまいました。

時代考証や徹底的なリサーチがされておらず、かなり安易に作られているのは残念です。

⑪朝ドラの名作『ちゅらさん』と比較してしまう

沖縄を舞台にした2001年放送の朝ドラの名作『ちゅらさん』とどうしても見比べてしまうのは致し方ないでしょう。

国仲涼子が演じたヒロインの愛すべきひたむきさ、両親を演じた堺正章と田中好子のあたたかさなど、残念ながら本ドラマには見当たりません。また、平良とみが演じ、国民的人気者となった沖縄の「おばぁ」的存在が、本ドラマにも欲しいところでした。

藤木勇人が『ちゅらさん』と同じ沖縄料理屋「ゆがふ」の経営者役でサプライズ登場し、ファンを喜ばせましたが、それゆえ両作品を見比べ、その出来の差を残念に思う人も多いようです。

⑫羽原大介の脚本があまりにひどい!

最後に指摘したいのは、羽原大介による今回の脚本があまりに稚拙でひどすぎるということです。展開がハチャメチャ、辻褄が合わない、伏線なしで行き当たりばったりであることなどは、もうほとんど下手なアマチュアレベルです。

つまり、上記に指摘した11のポイントは、ここにすべての原因があると言っても過言ではないでしょう。

そういえば、前作の『マッサン』も、私は途中離脱しています。映画には『フラガール』や『EDEN』など秀作もありますから、出来不出来の差が激しい脚本家なのかもしれません。

ただ、本作の脚本のまずさは致命的です。なにかわけあって、手抜きしているのでしょうか?あるいは、まだ稚拙な弟子にでも書かせていると弁解するのでしょうか?ほめるべき点が一つも見当たらず、今回ばかりは擁護の余地はありません。



『ちむどんどん』、今後はこんな展開を希望!

①兄が手痛い目にあい、大きな挫折を味わう

上記でも述べましたが、賢秀にはやはり一度手痛い天罰が下って欲しいと思います。

こうなったら、無知ゆえに犯罪に手を染めてしまい、逮捕されて服役という展開でもいいと個人的には思っているぐらいですが、さすがにそうはならないでしょう。

おそらくですが、養豚場で生きがいを見出し、その一人娘と恋仲になるという展開が予想されますが、それではなかなか視聴者の不満は解消されないのではないでしょうか。

②母親に子育て失敗を懺悔させる

母親の優子を、まるで菩薩のような優しくおおらかな女性として描こうとしているのはわかりますが、それが説得力を持つのは、その裏にある底知れぬ闇や人間の業が描かれてこそです。

やはり優子には、自分が賢秀をはじめとする子育てに失敗したことに対し、一度深い懺悔と後悔をしてほしいと思います。

心優しい善人であればすべてオッケーではなく、人間が生きていく上で避けて通れないどろどろとした闇深さを少しぐらい匂わせてほしいと感じますが、それでは朝ドラらしくなくなるのでしょうか?

③秀逸な音楽をもっとドラマに活かす

『ちむどんどん』の良いところの一つは、音楽の秀逸さです。主題歌となっている三浦大知の「燦燦」、エミ・エヴァンスの歌うピュアな劇中歌も素晴らしく、物語を盛り上げてくれています。

物語の展開にあまり期待がもてない以上、これら楽曲をもっと効果的に使用し、演出で盛り上げる可能性を期待します。

また、沖縄の美しい自然などロケ地が魅力となっていることも確かです。もっと多くの美しい風景をみたいと思います。

【ドラマ終了後の追記と感想】『ちむどんどん』はまさかの炎上商法だったのか?!

終盤も当然、この記事で期待していたような展開があるはずもなく、最後まで不評の嵐がやむことはありませんでした。

ここまで炎上した朝ドラも、近年なかなかなかったのではないでしょうか?

俳優陣の演技は決して悪いわけではなく、やはり、脚本がひどすぎるということに集約されそうで、まさかの炎上商法だったかと勘繰りたくもあります。

関東平均視聴率は15・8%となり、2010年以降の朝ドラで最低記録となりましたが、炎上ぶりに比して極端な落ち込みではなかったのは、炎上ゆえの興味深さで観ていた人も少なくなかったということでしょう。

だからと言って、本ドラマがひどすぎたという事実が変わることはありません。主演の黒島結菜らキャスト陣は、このドラマのことをすっかり忘れ、黒歴史とならないことを望みます。

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