新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的蔓延で、まだしばらく海外旅行に行くことは難しそうです。
こんなときにおすすめしたいステイホームの楽しみ方は、映画で世界旅行! いわゆるステイケーションの一つです。
単に物語の舞台であるだけでなく、異国情緒あふれる風景描写など、あたかもそこに滞在しているかのような旅気分を味わえる映画を選び、行先別にまとめてみました!
ステイケーションとは?
ステイ(stay)とバケーション(vacation)を合わせた造語、ステイケーション。
その言葉通り、自宅や近場にいながら、海外旅行など休暇気分を楽しむという意味です。
もともと新型コロナウイルスの流行とは無関係に欧米で造られた言葉でしたが、現在の状況によってにわかに注目を浴びるようになりました。
映画を観て海外旅行気分に浸るのは、まさにステイケーションの王道だと言えるでしょう!
海外旅行先として人気のある国、それぞれを舞台としたおすすめ映画を国別に紹介!
本記事では、『ローマの休日』などド定番映画はなるべく避けつつ、映画としてもじゅうぶん見ごたえのある作品を選んでみました!
行先は10の地域で、映画は合計16作品。
さっそく、出発しましょう!
タイ

バンコクのエネルギッシュな賑わい、そしてプーケットやパタヤ、サムイなどののどかで美しいビーチ・リゾートなど、一度ハマるとリピーターが続出するのがタイです。
食べ物のおいしさもトップクラスですね!
『ザ・ビーチ』(2000)
バンコクで出会った男から教えられた、伝説の楽園ビーチ。地図を片手にたどり着いたアメリカ人の若者リチャードが、そこで目にしたのは……。
主人公を演じたのはレオナルド・ディカプリオ。実際に撮影場所となったピピ島のビーチは、映画そのままの美しさです!
『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(2011)
ラスベガスを舞台に4人の男のハチャメチャなバッチェラー・パーティーを描いた一作目の続編であり、舞台をタイに移して再び結婚式にまつわるドタバタ劇が繰り広げられます。
バンコク観光の人気スポット、5つ星ホテル「ルブア」の屋上にある絶景ビューで知られる有名レストラン「シロッコ」も登場します!
台湾

今や日本人の海外旅行先としてトップ3に入る人気を誇るのが台湾です。
どこか懐かしい街並み、親日的で優しい人々、グルメにマッサージ……、週末旅行が可能な近さも魅力ですね!
『台北の朝、僕は恋をする』(2010)
パリに留学中の恋人を想いながら家業の麺屋を手伝う青年カイと、書店で働く少女スージー。台北の街に生きる若者たちの青春をみずみずしいタッチで描いた秀作です。
ある騒動をきっかけに、2人は、さまざまな屋台が並ぶ夜市など、夜の台北を駆け巡ります。
『花蓮の夏』(2006)
幼なじみの青年2人と、同じ高校に転校してきた孤独な少女。同性愛をからめた3人の甘酸っぱい三角関係を綴った青春ストーリーです。日本でも人気の高いジョセフ・チャンが主人公のひとりを演じています。
主な舞台になるのは、のどかで美しい田園風景が拡がる台湾東部の花蓮。まだ日本人にはなじみの薄い地域かもしれません。そして3人の大学進学によって、舞台は大都会の台北へと移ります。
アメリカ・ハワイ

今も昔も日本人が大好きなリゾートとして不動の人気を誇るハワイ。
ビーチ、ドライブ、グルメにショッピング……ハワイの魅力は、なんといっても朝から晩まで一日中楽しめることです! あの独特の解放感は他では味わえませんね!
『ファミリー・ツリー』(2011)
家族とともに、ハワイのオアフ島に暮らす弁護士のマット。ボート事故によって最愛の妻が昏睡状態となってしまったことをきっかけに、マットはある決断に至ります。
主人公を演じたのはジョージ・クルーニー。人生の転機を迎えた男と家族の絆を描く人間ドラマである同時に、オアフ島のビーチや山々など、素晴らしい自然そのものが物語の大切なテーマとなっています。
『50回目のファースト・キッス』(2004)
水族館の獣医師が、強い記憶障害のある女性に一途な恋を捧げる姿を描いたロマンティック・コメディです。ドリュー・バルモアとアダム・サンドラーが演じたオリジナル版のほか、長澤まさみと山田孝之による日本版リメイクもあります。
アダム・サンドラーの勤務先である水族館は、人気の「シーライフ・パーク」です。他にも、マカプウ・ビーチ、クアロア・ランチなど有名観光スポットが随所に登場します!
フランス

世界に誇る観光都市だけあって、パリを舞台にした映画は数知れず……。ここでは、パリの空気がそのまま感じられる2作品を選んでみました。
『ビフォア・サンセット』(2004)
一組の男女の出会いから9年後の再会、さらにその9年後の結婚生活を描いた「ビフォア」三部作の2作目です。シリーズ通じて、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが2人を演じています。
ウィーンでの出会いから9年が過ぎ、2人が偶然再会する場所がパリ。美しい秋のパリのあちらこちらを散策しながら、語り合います。ちなみに3作目の舞台はギリシャです。
『ポンヌフの恋人』(1991)
足を怪我した孤独な大道芸人アレックスと、失明寸前の女学生ミシェルが出会い、運命の恋を繰り広げます。
フランス革命200年祭の花火がセーヌ川の上空に打ち上がるシーン、2人がかけめぐるメトロ、雪が降りしきる夜のポンヌフ橋など、パリの持つもう一つの顔を美しく切り取った映画です。
イタリア

『ローマの休日』や『ベニスに死す』などに憧れてイタリアを訪ねる人も少なくないでしょう。今回紹介する行先は、あえてそんな有名観光都市ではなく、ヴェローナとトスカーナです。
『ジュリエットからの手紙』(2010)
1通の手紙がきっかけとなり、ロンドンに暮らすクレアが50年前の初恋の人を捜すためイタリアにやってきます。クレアをヴァネッサ・レッドグレイヴ、その手伝いをするアメリカ人女性をアマンダ・セイフライドが演じました。
舞台は、『ロミオとジュリエット』にまつわるイタリア北部の都市ヴェローナ。ローマやナポリなどとはまた違う、イタリアらしい町並みや自然を堪能できる映画です。
『トスカーナの休日』(2003)
離婚の痛手を背負う、サンフランシスコに暮らす女性作家が、傷心を癒すためイタリアのトスカーナ地方を旅します。美しい自然と人々の優しさに魅せられ、やがて新しい一歩を踏み出す姿を描きました。
ヒロインを演じたのはダイアン・レイン。ゆったりとした時間が流れるトスカーナの美しい風景に、あなたも魅了され、癒されることは間違いありません。
アメリカ・本土

ニューヨーク、ロスアンゼルス、ラスベガス、マイアミ……それぞれの都市を舞台にした映画を紹介するときりがありません。
そこであえて個人的に思い入れのある2作品を選んでみました。
『リービング・ラスベガス』(1995)
ラスベガスを舞台に、アルコール中毒の男ベンと高級娼婦サラのせつなくも苦しい愛を描いた秀作です。絶望と孤独に生きる2人をニコラス・ケイジとエリザベス・シューが演じました。
ラスベガスが舞台の映画というと、華やかなカジノものやハチャメチャなコメディが多いように思いますが、こちらは一味も二味も違う雰囲気。2人の生きざまの向こうに、ラスベガスの持つ、孤独でさみしい一面が映し出され、郷愁にも似た旅情を誘います。
『はじまりのうた』(2014)
恋に傷ついたシンガーソングライターの卵が、一人のプロデューサーに見出され、ニューヨークの街のあちらこちらでゲリラ的なレコーディングに挑みます。2人を演じたのはキーラ・ナイトレイとマーク・ラファロ。
ニューヨークが舞台の映画は無数にありますが、あえてこの映画を選んだ理由は観ていただければわかるはず。音楽をテーマに、恋とも友情ともつかぬ想いを抱えながらレコーディングを続ける姿とニューヨークの街並みがぴたりとマッチし、胸が躍ります。
インド

世界に誇る映画大国である上、『スラムドッグ$ミリオネア』の世界的大ヒットで一躍熱い注目が集まったインド。
おすすめとして選んだのは、少々地味ですが心温まる秀作映画です。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2012)
イギリスのシニア7人組が優雅な老後を過ごすためにやってきたインド。ところが、長旅の末にたどり着いたのは、訳ありのおんぼろホテルでした。
舞台となっているのはデリーの南西に位置するジャイプルです。別名「ピンクシティー」と呼ばれるなど、ピンク色に塗られた建物も印象的で、インドらしいエネルギッシュな雑踏とエキゾチックな街並みを映画でも存分に満喫できます。
韓国

韓流映画やドラマが量産され、日本にも続々と紹介されていますので、わざわざここで数作品を選ぶ必要はないかもしれません。
あまり韓流に詳しくない人に、まずおすすめする作品を一作だけ選ぶとしたら、迷わずこの作品です!
『猟奇的な彼女』(2001)
気が強く暴力的な女性と、不器用で気弱な男性のぎこちない愛をコミカルに描き、社会現象を巻き起こした大ヒット作です。
2人がデートし、あれこれ騒動を繰り広げるソウルの風景と日常をリアルに楽しめる作品でもあります。ロケ地となったスポットめぐりをする人も多くいるそうです。
アラブ首長国連邦(UAE)

ドバイやアブダビは、新興観光都市として世界的に注目されていますが、まだまだ日本ではなじみが薄く、憧れの場所にすぎないかもしれません。
そんな中東の雰囲気を楽しく鑑賞できる映画として、この作品はいかがでしょうか?
『セックス・アンド・ザ・シティー2』(2010)
ニューヨークに暮らす仲良し4人組の恋や仕事を描き、世界的なヒット作となった『セックス・アンド・ザ・シティー』。映画版の2作目は、UAEのアブダビが舞台です。
映画としては低評価に終わりましたが、超高級ホテル、砂漠ツアー、街の市場など、アブダビ観光のあらゆるものが詰まっており、旅情気分を味わう映画としては最高です。
スイス

スイスといえば、やはり壮大なるアルプスの大自然。そんなアルプスを舞台にした、比較的新しい作品をご紹介しましょう!
『グランドフィナーレ』(2015)
アルプス山麓にある長期滞在型ホテルでバカンスを過ごす初老の親友2人。それぞれに訪れた心の変化と葛藤を、ダイナミックな映像で描いた人間ドラマです。
2人を演じたのは名優マイケル・ケインとハーヴェイ・カイテル。実際に実在するホテルでロケが敢行され、またホテルを取り囲むアルプスの絶景も本作の大きな魅力となっています。
まとめ・番外編
以上、旅気分を味わえる映画を合計16作品をご紹介しました。
他にも、1本の映画でまとめて複数国を旅したいという方には次の作品などおすすめ。
ジュリア・ロバーツ主演の『食べて、祈って、恋をして』では、傷心の女性がイタリア、インド、インドネシアのバリ島を1年かけて旅してまわります。
クリント・イーストウッド監督の『ヒアアフター』は、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、プーケットを舞台に、不思議な糸にあやつられて引き寄せられる人々の運命の出会いを描いた作品です。
あるいは、まとめてシリーズ的に鑑賞したい方には、ウディ・アレン監督のヨーロッパ4部作などいかがでしょうか。『それでも恋するバルセロナ』、『恋のロンドン狂騒曲』、『ミッドナイト・イン・パリ』、『ローマでアモーレ』とシリーズ鑑賞すれば4都市をめぐることも可能です。
COVID‐19が終焉し、本当に海外旅行に行くことができるようになるまで、こうした映画を鑑賞して行きたい国、行きたい場所リストでも準備しておくのはいかがでしょうか?
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