『どうする家康』が低視聴率!不評・つまらない5つの理由

どうする家康・つまらない ドラマ

2023年1月8日に第1話が放送された、NHK大河ドラマ第62作『どうする家康』。

『リーガル・ハイ』や『コンフィデンスマンJP』をヒットさせた古沢良太が原案・脚本を担当し、主人公の徳川家康を嵐の松本潤が演じるという、大きな話題と期待の中でスタートしました。

ところが、放送回数を重ねるたびに、盛り上がりを見せるどころか、視聴者から「つまらない」「ひどい」などといった批判・落胆の声が高まる一方で、実際、視聴率も記録的な低迷。

本記事では、その理由や残念ポイントを、個人的な独断と偏見で考察してみました。

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大河ドラマ『どうする家康』が残念な低視聴率!

『どうする家康』は、1月8日に放送された初回視聴率が15.4%。これは2018年の『西郷どん』と並ぶ歴代ワースト記録であり、つまり初回から実は視聴者の興味をひくドラマではなかったということでしょう。

徳川家康という日本史で最も人気の高い武将の一人が主人公であるにも関わらず、かなり異例です。ちなみに、大河ドラマでは、1983年の『徳川家康』、2000年の『葵 徳川三代』に続き3度目の主人公ですが、前者の全話平均視聴率は31.2%、後者は18.5%でした。

そして、その初回15.4%が最高視聴率となり、以後の各回視聴率は、どんどん下落。第10話以降は、おおむね10~11%台ギリギリを推移しているのが現状です。ワールドベースボールクラシックやラグビーワールドカップの中継と重なった際には、それぞれ7.2%、7.4%と惨敗。しかし、そうでなくても第30話は一桁台を記録しました。

終盤には多少の盛り返しが期待されましたが、最終回の視聴率も12.3%どまり。平均視聴率は11.2%に終わりました。

大河ドラマのワースト記録となっているのは東京五輪に合わせた異例の近現代もの『いだてん~東京オリムピック噺~』であり、『どうする家康』がワースト2位です。

※参考までに、直近の過去15作品の平均視聴率は、以下の通りです。

作順放送年タイトル主演平均視聴率
472008篤姫宮﨑あおい24.5
482009天地人妻夫木聡21.2
492010龍馬伝福山雅治18.7
502011江ー姫たちの戦国上野樹里17.7
512012平清盛松山ケンイチ12.0
522013八重の桜綾瀬はるか14.6
532014軍師官兵衛岡田准一15.8
542015花燃ゆ井上真央12.0
552016真田丸堺雅人16.6
562017おんな城主 直虎柴咲コウ12.8
572018西郷どん鈴木亮平12.7
582019いだてん~東京オリムピック噺~中村勘九郎・阿部サダヲ8.2
592020麒麟がくる長谷川博己14.4
602021青天を衝け吉沢亮14.1
612022鎌倉殿の13人小栗旬12.7
622023どうする家康松本潤11.2

ここ20年あまりの中で、最も高視聴率を記録し、名作と誉れ高い『篤姫』については、以下の記事で詳しく紹介しています。



つまらない・ひどいと考える5つの観点を考察

あくまでも個人的な独断と偏見で、辛辣に考察したものです。したがって、本ドラマを面白いと思って視聴している方にとっては、同意しかねるものでしょう。

①徳川家康役・松本潤のミスキャスト

まずなんと言っても、松本潤演じる主人公・徳川家康の魅力の無さは、ドラマにとって致命的でしょう。どうしても松本潤が放つ存在感や演技では、どうも影が薄く、そもそも徳川家康に見えないのです。

これは、松本潤が悪いというより、彼を家康役に抜擢したキャスティングの失敗に他なりません。

はからずも、放送と同じタイミングで社会問題化した、故・ジャニー喜多川の性加害とそれによる旧ジャニーズ事務所の消滅問題。それらと、決して無関係ではないでしょう。

時代劇経験がなかったばかりか、俳優としてもまださしたる実績すらなかった松本潤を、いきなり大河ドラマの主演に選んだのは、普通に考えても、NHKとジャニーズ事務所の密接な関係が背景の一つにあったことは疑いようもありません。

振り返ると、今回は主人公の幼少期を子役に演じさせることをせず、松本潤本人に13歳を演じさせたのも、かなりの無理がありました。

こうしたミスキャストは、なにより、それなりに頑張っている松本潤本人にとって悲劇でした。

②古沢良太の脚本が面白くない

キャスティングの失敗と合わせ、ドラマがつまらない最大の理由の一つだと言えるのが、古沢良太による脚本の問題ではないでしょうか?

主人公の徳川家康はもちろん、織田信長、豊臣秀吉ら、魅力的な武将や女性たちが多数活躍する戦国時代が舞台であり、さまざまな出来事、戦乱が盛りだくさんの物語であるにも関わらず、各話のエピソードがどうにもスカスカ。後述するように、余計なことばかりを盛り込んで、重要な事件や出来事はあっさりと通り過ぎてしまっているのは、歴史好きからすると、大変に物足りないものです。

もしかしてこの脚本家は、本当は、日本史そのものにあまりに興味がないのでしょうか?

同じ古沢良太が脚本を手掛けた大作時代劇映画『レジェンド&バタフライ』が、本ドラマのスタートと同月の1月27日に公開されたものの、興行的にはお世辞にも成功とは言えず、駄作と酷評されたことと、無関係とは言えないでしょう。

『レジェンド&バタフライ』の主人公は、木村拓哉演じる織田信長。ヒロインとなる正室の濃姫を綾瀬はるかが演じたほか、斎藤工演じる徳川家康、音尾琢真演じる豊臣秀吉も登場し、完全に時代が被っているのです。

この映画に対する批判には、例えば、以下のような声がありました。

・脚本が面白くない
・時代ものというより恋愛ドラマみたい
・戦のシーンが少なくてつまらない
・コメディ部分が面白くない

これらの指摘は、同じ旧ジャニーズ事務所所属タレントの主演であることを抜きにしても、そのまま『どうする家康』にも当てはまる気がします。

多くのヒット作を手掛けている脚本家ですから、間違いなく力量と才能のある方なのでしょう。しかし、少なくともこの2作品に限っては、やろうとしていることと完成度・感動度がまったく嚙み合っていないのです。

③時代考証がめちゃくちゃで意味不明な展開

おそらく松本潤を起用した理由の一つでもある、若者層を取り込むためか、セリフに現代語が多用され、当時の所作や常識の軽視、また史実とは異なる創作を盛り込んでいること自体は、一つのドラマ作りの方向性としては理解できるものです。ただし、それが成功しているかというと、決してそうとは言えません。

すでに多くの人が指摘していますが、有村架純演じる瀬名の描き方は、その典型的な例でした。瀬名の死の背景については、武田家との密通説、家康との不仲説、信康の正室・五徳との不仲説など諸説ある考証とはさらに大きく異なる、薄っぺらで幼稚な美談に仕立てられ、さすがに視聴者を興ざめさせてしまいました。

またNHKのお気に入りでやたら重用されている古川琴音が演じた千代ですが、道化回し的存在として、頻繁に登場する点は違和感がありました。古川琴音は若手演技派のようですが、本時代劇については、セリフの棒読みぶりが気になりました。

また、第10話において、唐突に盛り込まれたLGBTQネタ。お葉こと側室の西郡局がレズビアンであったという創作には、ただ唖然とさせられました。

第14話では、いきなり架空の女性・阿月を登場させ、まるで「走れメロス」のような物語になっていたのもまったく意味不明でした。

こうしたサイドストーリーも物語を重厚にする上では必要な要素です。しかし、仮に創作であったとしても、それは大黒柱がきちんと描かれていることが大前提であり、かつしっかりとした伏線を事前に張って辻褄を合わせておくことが基本でしょう。突然、登場し、その人物の話で一話まるまる割いてしまうという意図は理解できません。

④コメディセンスのなさ

前作『鎌倉殿の13人』において見どころの一つであった、三谷幸喜ならではの抜群のコメディセンスとどうしても比べてしまうのですが、本作においてはそのコメディ部分が少しも笑えず、むしろイタイのです。

服部半蔵ら、忍びの者たちが遠吠えして活躍するシーンは、突然、まるで必殺仕事人や戦隊ヒーローもののようなノリでした。

そして、はたしてあの「えびすくい」の踊りは、何話にもまたがって描かれるほど面白いものでしょうか?

⑤ロケ撮影が少なく、CG映像が安っぽい

『鎌倉殿の13人』から新たに導入されたインカメラVFXという特殊技術による合成映像が、本作でも多用されており、極端にロケが少なくなっているのは明らかでしょう。

いくら映像的に違和感がなく、「楽に」撮影が進むと言っても、それを多用すればするほど、ロケの持つなまなましいリアリティや迫力に欠けるのです。もっと端的に言ってしまうと、安っぽい。

そのため、山田裕貴演じる本多忠勝と家康が戦う海岸のシーンや、家康が信長をもてなす富士山のふもとのシーンが今も印象に残っているのは、ロケだったことが大きな要因の一つでしょう。

どうしても現実に撮影が難しいシーンでの利用には適切でしょうが、やはりロケでの迫力ある映像が少ないのは、明らかにドラマの魅力を半減させるということを認識すべきでしょう。

もしかして、NHK側の撮影経費削減の意図もあるのでしょうか?



『どうする家康』の不評ぶりを真剣を考えてみると…

既述のとおり、NHKの大きな狙いとして、大河ドラマをこれまで観たことのない若者層に視聴してもらいたいという意図があるのは確かでしょう。

しかし、結局、若者にアピールするだけの魅力を持てず、逆に大河ドラマの従来の視聴者であり、王道の時代劇を求めている中高年からもそっぽを向かれ、両方を失ってしまうという事態に陥っているのではないでしょうか?

2023年、旧ジャニーズ事務所の問題が露呈させた芸能界の闇、そして癒着するメディアの在り方そのものに向けられた厳しい批判。

そんな中で、ジャニーズのタレントを主演に起用した本ドラマの失敗は、大きな節目、時代の転換点となるかもしれず、むしろそうであるべきではないかと思います。

次作『光る君へ』についても、以下の通り同様の考察をしています。

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