【光る君へ】低視聴率を考察:良い点3つ・つまらない点5つ

光る君へ 考察 ドラマ

2024年1月7日から放送が始まったNHK大河ドラマ第63作『光る君へ』。

前作『どうする家康』は記録的な低視聴率にあえぎ、不評の嵐でしたが、続く『光る君へ』はそれをはるかに下回る視聴率が続いています。

第6話までを視聴した段階で、ドラマの良い点悪い点をそれぞれ考察したいと思います。あくまでも個人的な意見です。

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NHK大河ドラマ第63作『光る君へ』が記録的な低視聴率!

平安時代中期の貴族社会を舞台に、権力争いと愛憎渦巻く人間模様を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』。

主人公の紫式部を吉高由里子、そして物語上、その相手役存在として位置付けられる藤原道長を柄本佑が演じます。

戦国や江戸時代、幕末などに比して、馴染みの薄い平安時代が舞台であって、放送が始まる前から不人気を危惧する声が多くきかれました。そして実際に蓋を開けると、予想通り、第1回から記録的な低視聴率が続いています。

直近3作品の視聴率の比較は以下の通り。

鎌倉殿の13人どうする家康 光る君へ
第1回17.315.412.7
第2回14.715.312.0
第3回16.214.812.4
第4回15.413.911.3
第5回13.412.911.7
第6回13.713.311.0
全話平均12.711.2?

これだけでも、いかに『光る君へ』が惨憺たる状況か、一目でわかるでしょう。

ちなみに、『どうする家康』を考察した記事については、以下をご覧ください。

同じように、まだスタートしたばかりとはいえ、『光る君へ』に関しても、個人的な独断と偏見で、良い点を3つ、つまらない点を5つに分け、考察してみました。



良い点3つ

『どうする家康』では、肝心のドラマ部分がスカスカなのに、オープニングのタイトルバックだけはやたら凝った、意味不明なグラフィックで仕上がっており、そのギャップにはかなりの違和感がありました。

この点、ここ最近の大河ドラマにしばしば当てはまることが多いように思います。おそらく、芸大出身者が多いと推測されるNHKのデザインチームが、さしてドラマ自体に興味もなく、そしてドラマの内容などお構いなしに、自分たちのセンスやデザインをこれみよがしに表現する場になっていないでしょうか?

断言できるのは、かっこいいタイトルバックも、面白いドラマ部分があってはじめて成立するもの。そうでなければ、ただのナルシシズムにあふれた自己満足に過ぎません。 

その点、『光る君へ』は好感のもてる仕上がりではないでしょうか? 意味不明に凝り過ぎたデザインはなく、吉高由里子演じる紫式部の姿を軸にしたシンプルな映像、そして反田恭平の奏でる素晴らしいピアノの音楽が、これから始まる物語をそこはかとなく予感させる、上質な仕上がりになっていると思います。

旧ジャニーズ事務所との癒着によってキャスティングが行われ、見事に視聴者からそっぽを向かれた前作『どうする家康』。失敗の大きな理由の一つが、さして演技経験のないアイドルの松本潤を、主人公の徳川家康役に据えたことでした。

今回、旧ジャニーズ事務所出身のキャストはゼロであり、それはドラマ全般の演技の質を底上げするものとなるでしょう。とりわけ、紫式部と並ぶもう一人の主人公ともいえる藤原道長役として、実力派俳優の柄本佑をキャスティングしたことは、英断だったのではないでしょうか?(ただし、柄本佑が最適だったのかについては下で考察)

話題性やファンを期待し、アイドルをキャスティングするのもありですが、言うまでもなく最も重要なのは適材適所

旧ジャニーズ事務所の問題が露呈していなければ、おそらく藤原道長役には、同事務所出身のアイドルが選ばれていた可能性があるのでは…?

『光る君へ』は、紫式部という女性が主人公であるばかりか、脚本が大石静、制作統括が内田ゆき、チーフ演出が中島由貴と、言わばドラマ制作の三役ともいえる立場をはじめて全員女性が占めています。女性ならではの視点を強調したドラマ作りをしている点は評価すべきでしょう。

上述したタイトルバックも、この女性らしさが強く感じられ、成功している一例です。

NHK側の2人の力量については、現時点では未知数ですが、脚本を担当する大石静は、長年に渡り数々のヒット作を手掛けてきた大御所脚本家の一人であり、大いに期待が持てます。過去に数作のヒット作を生んだ程度の脚本家ではなく、大河ドラマは、やはり大御所の実力派脚本家を起用すべきだと考えます。

つまらない点5つ

『どうする家康』の考察記事でも指摘した点ですが、ロケ撮影の少なさは、『光る君へ』でも同様です。

第一回では、幼いまひろと母ちやはのお参りの場面など、美しいロケ撮影のシーンが多く挿入されていましたが、それ以降は、回を増すごとにロケ映像が激減。今や、撮影は、テレビ局内のスタジオか、岩手県奥州市にある「歴史公園えさし藤原の郷」と茨城県つくばみらい市にある「ワープステーション江戸」というオープンセットばかり。同じ広場が何度も何度も出てきて、非常に安っぽく、リアリティもありません。

平安時代を描くのはなかなかに難しいものがあるのは推測されますが、ロケのリアルで迫力ある映像によって、ドラマの魅力が増すのは明らかです。上記2か所のオープンセットだけで、撮影を安易に済ませてしまうのは、明らかな手抜きと経費節約だと見られて致し方ないでしょう。

ちなみに、「歴史公園えさし藤原の郷」は、1993年に放送されたNHK大河ドラマ第32作目『炎立つ』の撮影のためつくられたオープンセットです。

ここ最近の大河ドラマにおいて、常に問題視されるセリフの中の現代言葉の多用『光る君へ』も例外ではなく、ときおり信じられないような安っぽい現代言葉が登場人物たちの口から飛び出し、そのたびに興ざめしてしまいます。

おそらくNHK側の意図として、平安言葉だとわかりづらいこと、若い視聴者にアピールしたいがためだと思われますが、果たしてそうでしょうか?

どうしても意味がわからない言葉だけを別の言葉に置き換えればいいのです。そうした配慮がそれほどなされていない昔の大河ドラマを観ても、決して理解しづらいと感じたことはありません。

可能な限り当時の言葉を使用することで、視聴者はその世界観に没入していくことができるのです。

高視聴率を誇った時代の大河ドラマと、ここ最近の低迷する大河ドラマを比べ、明らかに違うのはキャストたちの年齢です。それは実年齢そのものでなくても、キャリアの長さと言い換えてもいいかもしれません。

主人公に、期待の若手を抜擢することは過去にもありました。例えば、現在BSで再放送中の『篤姫』における宮﨑あおいなどです。ただ、そうした場合でも、主人公を支える存在や重要な役柄には、随所に大御所俳優が配されていたのです。

『光る君へ』について言うと、例えば、段田安則が演じる藤原兼家役、岸谷五朗が演じる藤原為時役。2人とも実力のある俳優であることは確かですが、この役柄にはもっと大御所の俳優を配すべきではないでしょうか?『篤姫』であれば、高橋英樹、北大路欣也、江守徹クラスの俳優です。

そうした重鎮が脇を固めることで、ドラマ全体がぐっと引き締まり、若手のフレッシュさが生きてくるのではないでしょうか?

上述の良き点で、柄本佑をキャスティングしたことを挙げましたが、本当に藤原道長役に柄本佑が最適だったのかは別の問題です。

個人的な考えを述べてしまうと、はっきり言って貫禄不足で物足りない柄本佑が、旧ジャニーズ出身のアイドルとは違い、実力派俳優であることに異論はありませんが、かといって主役とするには少々華が無さすぎる。容姿的にもあまりふさわしいとは思えません。

個人的には、堺雅人あたりの存在感が欲しいところでしたが、このあたりは、人によってさまざまな意見があるでしょう。

平安時代の中期というと、大きな戦乱などなく、ひたすらドロドロとした人間模様を描くドラマになることは、当初から想定されたことでした。

いかに個性的なキャラクター作りをし、その関係性を濃く描いていけるかという点に、ドラマの面白さがかかっていると言っても過言ではなく、現時点では、決して成功しているとは言えません。

第一回で描かれた、まひろの母が道兼によって殺害されたというアイデアが、唯一の興味深い設定にすぎず、それ以外はどうも展開が緩慢でつまらない。このスローさでは、今後視聴率が上向く可能性は限りなく低いのではないでしょうか?

上記の③や④にも関係することですが、そうしたスローペースの展開で重要になるのは、キャストたちそれぞれの強烈な存在感と個性。さて、主人公の紫式部を演じる吉高由里子は、それだけの強い存在感を発揮できるでしょうか?



『光る君へ』は今後、盛り上がるのか?

以上、良い点3つに対し、つまらない点を5つ列挙しましたが、良い点を複数見つけるのも苦労したというのが正直なところです。

今後ドラマが盛り上がり、面白くなる可能性については、このままでは不安要素しか思い浮かびません。

ドラマが放送された翌日などには、NHKの御用ライターの執筆した、盛り上げ記事がネット記事に並んだりしますが、そのコメント欄には辛辣な意見の方が多くあふれています。

批判された『どうする家康』の比ではない低視聴率であるという事実。思い切った手を入れないと、このままでは『どうする家康』どころか、東京オリンピックにあわせた異例の現代もの『いだてん〜東京オリムピック噺〜いだてん』をもはるかに下回る最悪な結果に繋がりかねません。

とはいえ、まだドラマは始まったばかり……。もうしばらく、期待して観続けたいと思います。

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