1980年代後半から90年代半ばにかけてのニューヨークを舞台に、トランスジェンダーやゲイたちの愛と友情、それぞれ生き様を、きらびやかに描いたドラマシリーズが『POSE/ポーズ』です。
好評のうちにシーズン3で完結しました。
本記事では、『POSE/ポーズ』シーズン3の新キャスト5人、全7話ごとのあらすじをネタバレありでご紹介します。
『POSE/ポーズ』の完結となるシーズン3
『POSE/ポーズ』は、シーズン1が2018年6月から7月、シーズン2が2019年6月から8月、完結となるシーズン3が、2021年5月から6月まで全米で放送されました。
ヒットメーカーのライアン・マーフィーとブラッド・ファルチャックの名コンビが引き続き製作、トランス女性のジャネット・モックが監督や脚本に携わっています。
シーズン3で新たに登場するキャラクター/キャスト
シーズン1から続く主要キャストについては、以下の記事をご覧ください。
1.クリストファー/ジェレミー・ポープ
ブランカの新しい恋人が医師のクリストファーです。
演じているジェレミー・ポープは、舞台を中心にキャリアをスタートさせ、2018年に『クワイアボーイ』でブロードウェイデビューするや、いきなりトニー賞演劇部門主演男優賞ノミネートされます。同年の『エイント・トゥー・プラウド』でもミュージカル部門助演男優賞にノミネートされ、史上6人目の同年・別作品複数ノミネートの俳優となりました。
2020年には同じくライアン・マーフィーのNetflixドラマ『ハリウッド』に出演し、エミー賞の主演男優賞にノミネートされるなど、期待の若手実力派として知られています。2022年には再び舞台に戻り、『ザ・コラボレーション』で画家のジャン=ミシェル・バスキアを演じています。
プライベートではゲイを公言しています。
2.リーサ/ラーン・ジョーンズ
プレイ・テルのアルコール依存症のカウンセラーがリーサです。
演じているラーン・ジョーンズは、2019年、ライアン・マーフィーのNetflixドラマ『ザ・ポリティシャン』で女優デビューしたばかりの新進女優です。同作シーズン2にも出演したほか、現在はMTVのリアリティ番組『Help! I’m in a Secret Relationship!”』のホストとしても活躍しています。
レズビアンとして2021年に同性婚し、妻ブリジットとともにニューヨーク在住です。
3.ヴァーノン牧師/ノーム・ルイス
プレイ・テルの昔の恋人がヴァーノン。久しぶりに帰郷し再会した際には、妻子のある牧師となっています。
演じたノーム・ルイスは、ブロードウェイを代表するミュージカル・スターの一人です。『シカゴ』『ドリームガールズ』『レ・ミゼラブル』『ポーギーとベス』など名だたるミュージカルの他、『オペラ座の怪人』では、ブロードウェイ版初の黒人俳優として主役のファントムを演じました。
私生活を一切公にしないことで知られていますが独身です。バイセクシャルとの説もありますがよくわかっていません。
4.ラマー・カーン/ジェイソン・A・ロドリゲス
エレクトラのもとを離れ、自身のハウス・オブ・カーンを創設したのがラマーです。シーズン1から登場していましたが、本シーズンでハウスの傲慢なファーザーとして、ハウス・オブ・エヴァンジェリスタに敵対する重要な役柄になります。
ジェイソン・A・ロドリゲスは、映画『パリ、夜は眠らない。』を見て衝撃を受け、ハウス・オブ・ニンジャに加入。現在もハウス・オブ・エクストラヴァガンザのメンバーとしてボールシーンで活動しています。
俳優として、本作の他にもNetflixドラマ『ゲットダウン』や映画『サタデーナイト・チャーチ』に出演。また、ニューヨークのダンススクールで指導者の顔も持っています。
5.カビー/ジェレミー・マクレーン
ラマー同様、シーズン1からラマーの兄弟分として登場していますが、本シーズンではAIDSの犠牲者となる重要な役柄を担っています。
ジェレミー・マクレーンは、本作のほか、1996年の大ヒット映画をドラマ化した2019年の『ファースト・ワイフ・クラブ』にも出演しています。2023年には、自ら監督・脚本・主演を手掛けた短編映画『You Like That』が公開されました。
『POSE/ポーズ』シーズン3の全7話あらすじ【ネタバレ】
全米では全8話となっているのは、最終話が前編と後編に分けて放送されたためです。
シーズン2の各話あらすじを振り返りたい方は、下記の記事をご覧ください。
両シーズンの間に、詳しく説明されない若干の状況変化があります。
●シーズン2では、ネイルサロン開店に取り組んでいたブランカですが、シーズン3では、病院で介護の仕事についています。
●シーズン2では存在していたルルやキャンディの「ハウス・オブ・フェロシティ」、エレクトラが創設した「ハウス・オブ・ウィンター」は、本シーズンスタートの時点では存在していません。どうやら、すでに解散したという設定のようで、みなブランカの「ハウス・オブ・エヴァンジェリスタ」のメンバーになっています。
●またーズン3の第1話にしか、デイモン役のライアン・ジャマール・スウェインは登場しません。唐突に、ブランカの口から「アルコール依存に陥り、故郷の従兄の家に帰ってしまった」と説明されるだけです。実は、シーズン3の撮影中、スウェインの実の妹が銃で撃たれ殺害されるという痛ましい事件が発生。そのショックから出演を自ら辞退したのです。
第1話「オン・ザ・ラン」
1994年、ジュリアーニ市長による取り締まり強化により、エクレトラの働くSMクラブが閉鎖。ボールルームでは、かつての仲間ラマー率いるハウス・オブ・カーンが台頭する中、ハウス・オブ・エヴァンジェリスタは第一線から遠のき、それぞれが自立した道を歩んでいました。
ブランカは病院で介護の仕事を得て、医師のクリストファーと交際、パピとエンジェルのタレント事務所は大成功。一方、自身のHIV+と犠牲者の増加に心を痛めるプレイ・テルはアルコール依存に……。
O・J・シンプソン事件のライブ中継鑑賞を名目に久しぶりに集まったハウスの面々。そこで、ブランカは再びボールに参加することを提案します。
そんな中、かつてハウスの一員だったカビーがAIDSで死去。ブランカは、ボールルームでハウス・オブ・カーンに挑んで見事勝者となり、カビーを追悼し、賞金をAIDS研究に寄付することを発表するのでした。
またブランカは、看護学を学ぶため、カレッジに進学することを決断します。
第2話「インターベンション」
プレイ・テルのアルコール依存を心配するブランカは、みなでカウンセラーのリーサに相談。高額な治療費用を捻出するため、ボールの全カテゴリー優勝を目指すことになります。
再び薬に手を出していたエンジェルとルルには、パピ、エレクトラそれぞれが手を差し伸べ……、一方ブランカはクリストファーの両親に紹介されますが、トランス女性であることはまだ言い出せず……。
リハビリ施設に入ることをすすめられたプレイ・テルは、それを拒否して暴言を吐き、同棲していたリッキーとも別れてしまいます。ブランカも、再びクリストファーの母と面会し、トランス女性あることを告白します。
やがてエンジェルはようやく薬を絶つことを決意。プレイ・テルも治療に同意し、ブランカに伴われてリハビリ施設に入所するのでした。
第3話「ザ・トランク」
1978年、トランスジェンダーであることを認めてもらえず、母親と絶縁したエレクトラの過去。今やテレフォンセックス会社の経営者となったエレクトラですが、性産業撲滅をめざす市警察に不当逮捕されてしまいます。
家宅捜査すると脅され、留置場から慌ててブランカに電話し、家にあるトランクを回収してくれるよう頼みます。嫌々引き受けたブランカは、手伝ってくれたパピとリッキーに、オーバードーズして死んだエクレトラの昔の客の遺体が入っていることを白状します。
さらに、1983年当時の話をします。ブランカやルル、キャンディ、エンジェル、ラマーやカビーら、まだ落ちぶれていた面々の面倒をみていたハウス・オブ・アバンダンスのエレクトラの姿……。
ブランカはクリストファーにも真実を白状して理解をえ、エレクトラ釈放にも成功。5人で遺体を処分し、不起訴も勝ち取ります。恐縮するエレクトラに、ブランカは昔自分たちの面倒をみてくれたことへのお礼だと……。また、ブランカは看護を学ぶカレッジに合格したことをみなに発表するのでした。
第4話「テイク・ミー・トゥ・チャーチ」
AIDSを発症し、数か月の余命宣告をされたプレイ・テル。母に告げるため、故郷に帰りますが、そこで自身の過去と向き合うことに……。
義父からの性的虐待を黙認した母がようやく口にした謝罪の言葉。また、プレイ・テルの親友の女性と結婚していた昔の恋人ヴァーノン牧師とも再会。ヴァーノンは、今もプレイ・テルのことを愛しており、家族を捨てて一緒にニューヨークに行くと言うのですが……。
プレイ・テルはかつて自分を拒否した教会で、久しぶりにゴスペルを披露し、母や叔母たちと和解。しかし、ヴァーノンは結局、出発の場所に姿を現すことなく、一人ニューヨークに戻るのでした。
第5話「サムシング・ボロード、サムシング・ブルー」
マフィアと手を組むことで事業の拡大に成功し、大金持ちとなったエレクトラ。エンジェルとパピの結婚式も、自分がすべてお金を出して豪華なものにすると宣言します。
大喜びのエンジェルに対し、パピは自分たちのお金でささやかな式にしたいと反対しますが、結局エレクトラとブランカに説得され……。しかし、突然の訪問者から昔のガールフレンドが他界し、5歳になるパピの息子がいることを知ってしまうのでした。
エンジェルのウエディングドレス選びで、ブティックのオーナーから侮辱されたことを恨むエレクトラは、店のすべてのドレスを盗んでくれるよう、マフィアに依頼する一方、エンジェルのために盛大なパーティを開きます。ボールの女性たちを招き、全員に盗んだウエディングドレスをプレゼントするのでした。
パピから息子の存在を告白され、動揺したエンジェルが家を飛び出してしまいます。
第6話「サムシング・オールド、サムシング・ニュー」
病状が進行し、右目の視力も失いつつあったプレイ・テルは、ブランカを呼び出し、エイズ・メモリアル・キルトの製作を依頼します。
一方、実の父と久しぶりに会ったエンジェルは、いまだ自分を認めてくれない態度に、改めてパピの優しさに気づき、ベトと暮らし始めたパピのもとに戻るのでした。
ルルは、エレクトラの援助で、新しい恋人と新居を構えますが、恋人が薬を断つ気がないことがわかって別れを決意。エンジェルとパピの婚姻申請はなんとか受理され、無事、豪華で祝福された結婚式を迎えます。
第7話「シリーズ・フィナーレ」
プレイ・テルが肺炎を起こして入院。そんな中、ブランカは、患者の一人が新しいカクテル療法の治験で効果があったこと、しかし有色人種はその対象から除外されていることを知って、クリストファー、ジュディとともに動きます。
なんとかプレイ・テルとブランカが対象者として認められ、プレイ・テルは見事に回復。ブランカとともにキルト作りを進める一方、リッキーを誘ってゲイ合唱団に加入します。リッキーもAIDSを発症していました。
しかし、製薬会社による治験は一向に拡大せず、プレイ・テルらは激しい抗議運動を繰り広げます。ボールルームでは、ブランカとプレイ・テルがコンビを組んで、魂の籠ったパフォーマンスを披露したのですが……。
翌朝、ベッドで息をしていないプレイ・テルが発見されます。死因ははっきりしないものの、症状の出たリッキーに自分の分の薬を渡していたことが判明します。
ブランカは、プレイ・テルの母から、遺灰を少しずつペンダントに入れて仲間に分ける遺言を託され、実行に移します。さらに、ACT UPのメンバーとして、犠牲者たちの遺灰を市庁舎の庭に巻く抗議行動に加わるのでした。
プレイ・テルの死から2年が過ぎ1998年、正式な看護師となったブランカ、さらにビジネスを拡大させたエレクトラ、大企業の経理の仕事についたルル、そして主婦として子育てしているエンジェル……。
ハウス・オブ・エヴァンジェリスタのゴッドマザーとして、いまだボールルームにも関わり続けていたブランカが、ついにレジェンド・マザーの称号を授与されます。
『POSE/ポーズ』シーズン3はどこで配信?
日本においては、シーズン2までNetflixで配信されていましたが、2022年2月に配信が終了。現在はAmazonプライムビデオとDisney+において、全シーズンが配信されています。
本ドラマの製作元であるFXはディズニーの子会社であり、Disney+が正式にスタートするにあたり、配信先も移動になったものと推測されます。
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