女優を描いた伝記映画/ドラマ、おすすめ20選【洋画/邦画】

女優伝記映画 ドラマ

独特の面白さがあり、ファンの多い伝記映画。

作りごとではない、実話だけが持つ圧倒的な感動は、やはり何事にも代えがたい魅力です。

ここでは、実在した女優を主人公に据えた伝記映画・伝記ドラマにしぼり、20作品をご紹介します。

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実在した女優を描いた伝記映画・伝記ドラマ

一口で伝記映画と言っても、さまざまなジャンルがあります。歴史上の偉人は言うまでもなく、ミュージシャンやスポーツ選手などを扱った作品も少なくありません。

ここでは、女優にしぼり、欧米、日本、アジアなど幅広い作品を選んでみました。マリリン・モンローやエリザベス・テイラーなど、さすが伝説の大女優だけあって複数回に渡って取り上げられている人物も含んでいます。

おすすめの20作品を紹介

映画が16作品、テレビドラマシリーズが4作品、順不同です。

歌手活動がメインでも、女優として映画に3作品以上出演している人物も含みます。

①フランシス・ファーマー×ジェシカ・ラング『女優フランシス』(1982)

1930年代に活躍した女優フランシス・ファーマーのすさまじい半生を、ジェシカ・ラングが体当たりで演じた1982年公開の映画が『女優フランシス』です。

フランシス・ファーマーは王道の美人女優として人気を博すも、自分自身を貫き通す強い性格、またアルコールによる暴力沙汰などで、映画会社などの反感を買い、精神病院に強制入院させられます。数年に及ぶ人体実験同然の治療を経て復帰。晩年は、テレビドラマ出演や司会者として人気を博するも、1970年8月1日、56歳の若さで死去しました。

ジェシカ・ラングは、ファーマーの壮絶な生き様を体当たりで熱演し、強権的な母を演じたキム・スタンレーとともにアカデミー賞にノミネートされました。映画には一部事実ではない部分もありますが、それでもなお強く心揺さぶられる作品です。

②ジーン・セバーグ×クリステン・スチュワート『セバーグ~素顔の彼女~』(2019)

1958年の『悲しみよこんにちは』、1959年の『勝手にしやがれ』などで、ヌーヴェルヴァーグを代表する女優となったジーン・セバーグの悲劇的半生を、クリステン・スチュワート主演で映画化したのが『セバーグ~素顔の彼女~』です。

その後、女優としては作品に恵まれなかった一方、公民権運動に傾倒し、過激なブラックパンサー党ともつながったことからFBIから危険人物とみなされます。そうしたことから精神的に追い詰められてうつ病を発症し、1979年8月30日、40歳のとき、車中で自死を遂げました。

大流行した『悲しみよこんにちは』の中で見せたショートヘア「セシルカット」でセバーグになりきったクリステン・スチュワートの美しさは必見。日本では劇場未公開でしたが、2023年11月現在、U-NEXTで独占配信されており、視聴可能です。

③ジュディ・ガーランド×レネー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』(2019)

1939年のミュージカル映画『オズの魔法使』で一躍人気子役となり、その後も1954年の『スタア誕生』など女優兼歌手としてハリウッドを代表する大スターとして活躍したジュディ・ガーランド。

2019年の映画『ジュディ 虹の彼方に』で、酒と薬に溺れて堕ちていく晩年を、吹き替え無しの歌唱とともに見事に演じきったレネー・ゼルウィガーは、アカデミー賞を含む主要な映画祭の主演女優賞を独占しました。

ガーランドは、1969年6月22日、薬物の過剰摂取によって47歳で死去。自殺との説もあります。ジェマ・リア=デヴェローが演じる娘のライザ・ミネリも登場します。

④ジョーン・クロフォード×フェイ・ダナウェイ『愛と憎しみの伝説』(1981)

サイレントからトーキーに移り変わるハリウッド黄金時代に活躍した大女優ジョーン・クロフォードと養女クリスティーナの間のすさまじい愛憎関係を描いた1981年の映画が『愛と憎しみの伝説』です。原題は「Mommie Dearest」。クロフォードの常軌を逸した虐待を暴露したクリスティーナの同名回顧録が原作となっています。

公開時には酷評されましたが、クロフォードを演じたオスカー女優フェイ・ダナウェイの凄みすら漂う怪演ぶりもあり、徐々に人気沸騰。今や、一部でカルト的人気を誇る作品です。

日本でも長らく劇場未公開でしたが、強い要望もあってついにDVD化が実現しました。

⑤グレース・ケリー×ニコール・キッドマン『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(2014)

ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』や『裏窓』、アカデミー主演女優賞に輝いた『喝采』など、ハリウッドを代表するクールビューティーとして活躍していた人気スターの座をあっさりと捨て、モナコ公妃となったグレース・ケリー。

その後、モナコ存亡の危機を救うため、一世一代の大芝居をうつ姿を描いた伝記映画です。グレース・ケリーをニコール・キッドマン、夫のレーニエ3世をティム・ロスが演じました。

カンヌ国際映画祭のオープニング作品として上映されましたが、事実とは違うという理由から遺族は出席を拒否。映画そのものも、必ずしも秀作とは言えませんが、ニコール・キッドマンの演技は高い評価を得ています。



⑥マリリン・モンロー×ミラ・ソルヴィノ/アシュレイ・ジャッド『ノーマ・ジーンとマリリン』(1996)

マリリン・モンローの生涯を、本名のノーマ・ジーンと大スターのマリリンの2つの人格に分け、それぞれを別の女優が演じるという異色の構成で描いた伝記映画です。アメリカではテレビ映画として放送されましたが、日本では翌年に劇場公開されています。

マリリンを演じるのは、この前年に『誘惑のアフロディーテ』でアカデミー助演女優賞を受賞したミラ・ソルヴィノ、かたやノーマを、アクションからラブコメまでこなす演技派のアシュレイ・ジャッドが演じました。

ジョン・F・ケネディはもちろん、ビリー・ワイルダーやベティ・デイヴィス、モンゴメリー・クリフトらも登場します

⑦マリリン・モンロー×ミシェル・ウィリアムズ『マリリン 7日間の恋』(2011)

1956年、ローレンス・オリヴィエが監督と主演を務める映画『王子と踊子』の撮影のため、ロンドンを訪れたマリリン・モンロー。さまざまな理由で精神的に追い込まれ、孤立していたモンローと、助監督のコリン・クラークが育んだ、秘められた短い恋を描いたイギリス映画です。

コリン・クラーク本人が著した同名回顧録『マリリン・モンロー7日間の恋(原題:My Week with Marilyn)』を原作にしています。

モンローを演じたミシェル・ウィリアムズは、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞。またアカデミー賞でも主演女優賞、オリヴィエを演じたケネス・ブラナーが助演男優賞にノミネートされました。コリン・クラークを演じたのはエディ・レッドメインです。

⑧マリリン・モンロー×アナ・デ・アルマス『ブロンド』(2022)

複数あるマリリン・モンローの伝記映画の中で、最も新しいのは2022年にNetflixで配信された『ブロンド』です。

ジョイス・キャロル・オーツの伝記小説『ブロンド マリリン・モンローの生涯』の原作としており、ノーマ・ジーンだった幼少期から大スターとしての活躍、そして悲劇を、事実と創作を織り交ぜて描いた点が特徴です。

『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』などで知られる期待のアナ・デ・アルマスが、フレッシュなモンロー像を打ち立てて高く評価され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされました、

⑨ソニア・ヴィーゲット×イングリッド・ボルゾ・ベルダル『ソニア ナチスの女スパイ』(2019)

第2次世界大戦中、ドイツのナチスに占領されたノルウェーで、スパイとしてナチスに潜入した実在の女優ソニア・ヴィーゲットにまつわる真実を、サスペンスタッチで描いた実話の映画化です。

純粋な伝記映画とは異なりますが、人気女優が二重スパイだったという驚愕の事実を描き、実に見ごたえのあるノルウェー映画です。

演じたのは映画『ヘラクレス』やドラマ『ウエストワールド』などで国際的に活躍するイングリッド・ボルゾ・ベルダル。ちなみに、ソニア・ヴィーゲットは、1934年から戦後1960年にかけて34本の映画に出演したのち、1980年に余生を過ごしていたスペインにて66歳で亡くなりました。

⑩グロリア・グレアム×アネット・ベニング『リヴァプール、最後の恋』(2017)

1952年の映画『悪人と美女』でアカデミー助演女優賞を受賞した、ハリウッド黄金期の大女優グロリア・グレアムと、まだ若いイギリス人舞台俳優の卵ピーター・ターナーの恋を軸に描いた2017年の伝記映画が『リヴァプール、最後の恋』です。

2人を演じたのは、アネット・ベニングとジェイミー・ベル。ともに英国アカデミー賞にノミネートされるなど、高い評価を得ました。

原作は、ピーター・ターナー自身が著した回顧録。グロリア・グレアムは、1981年、乳癌のためニューヨークにおいて57歳で死去しています。



⑪ルシル・ボール×ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』(2021)

1950年代にアメリカで放送され、絶大なる人気を博したコメディドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』で主人公のリカード夫妻を演じ、実生活でも夫婦だったルシル・ボールとデジ・アーナズの波乱の関係を描きます。

2人を演じたのはニコール・キッドマンとハビエル・バルデム。アカデミー賞では主演女優、主演男優、助演男優の主要3部門にノミネートされ、ゴールデングローブ賞ではニコール・キッドマンが最優秀主演女優賞に輝きました。

ルシル・ボールは、デジ・アーナズと20年間の結婚生活のすえ離婚し、やはりコメディアンのゲイリー・モートンと再婚。1989年に77歳で死去しました。一方、デジ・アーナズも別の女性と再婚し、1986年、69歳で死去しています。

⑫ロアン・リンユィ×マギー・チャン『ロアン・リンユィ 阮玲玉』(1991)

1930年代の中国・上海でトップスターとして活躍しながら、1935年に25歳の若さで自死した伝説の女優ロアン・リンユィ(阮玲玉)。

その短い生涯を、マギー・チャン主演で描いた最後の6年間のドラマ部分と、実際の出演映像や関係者へのインタビューを組み合わせた香港製作の伝記映画です。

監督を務めたのは、『ルージュ』や『藍宇〜情熱の嵐〜』『長恨歌』など国際的にも高い評価を得ているスタンリー・クアン。マギー・チャンは、ベルリン国際映画祭含む、台湾や香港の主要な映画祭などでも、軒並み最優秀主演女優賞に輝きました。

⑬田中絹代×吉永小百合『映画女優』(1987)

新藤兼人の『小説 田中絹代』を原作に、『西鶴一代女』『雨月物語』『サンダカン八番娼館 望郷』など、日本映画を代表する大女優・田中絹代の半生を映画化した市川崑監督作です。

田中絹代を演じた吉永小百合は、汚れシーンや老醜も体当たりで演じましたが、それまでの清純なイメージを覆すまでには至らず、田中が素晴らしい演技派女優だっただけに、遠く及ばない演技力不足を厳しく指摘される結果となりました。

しかし、代表作である『愛染かつら』や『浪花女』が劇中劇として描かれたり、多くの実在人物が登場したりするなど、昭和の日本映画界を知るという意味では実に見ごたえがあります。巨匠・溝口健二がモデルの人物には菅原文太が扮しています。

⑭エリザベス・テイラー×リンジー・ローハン『リズ・アンド・ディック(Liz & Dick)』(2012)

リンジー・ローハンが、本作の前年2011年に、79歳で死去した大女優エリザベス・テイラーを演じたテレビ映画が原題『リズ・アンド・ディック(Liz & Dick)』です。

2度の結婚と離婚を繰り返した、エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの不倫時代を軸に描いた伝記映画ですが、残念ながら日本未公開です。

バートン役をグラント・バウラーが演じています。作品は、次に紹介するBBCのヘレナ・ボナム・カーター版のテレビ映画と比較され、評価も芳しいものではありませんでした。

⑮エリザベス・テイラー×ヘレナ・ボナム・カーター『バートン・アンド・テイラー(Burton & Taylor)』(2013)

リンジー・ローハンがエリザベス・テイラーを演じた上記のアメリカのテレビ映画の翌年、母国イギリスのBBCでもテレビ映画が製作されました。

テイラーをヘレナ・ボナム・カーター、リチャード・バートンを演じたのはドミニク・ウェスト。2人が最後に共演したブロードウェイの舞台「Private Lives」の舞台裏を軸に、2人の関係を描きます。

ゴールデングローブ賞やエミー賞において、ヘレナ・ボナム・カーターが主演女優賞にノミネートされるなど、作品は高い評価を得ましたが、日本未公開です。



⑯ホイットニー・ヒューストン×ナオミ・アッキー『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』(2022)

数々の大ヒット曲を持つ世界の歌姫として知られたばかりか、1992年の『ボディガード』は言うまでもなく、女優として複数の作品に出演したホイットニー・ヒューストン。2012年2月11日、48歳で衝撃の死を迎えた波乱の半生を描いた2022年の映画が『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』です。

ホイットニーになりきったナオミ・アッキーの歌唱と演技は必見。数々の大ヒット曲を散りばめ、そのステージやミュージックビデオも見事に再現されています。ホイットニーを見出した伝説のプロデューサー、クライブ・デイビスをスタンリー・トゥッチが演じています。

脚本は、『ボヘミアン・ラプソディ』のアンソニー・マクカーテンが手掛けました。

⑰グウェン・ヴァードン×ミシェル・ウィリアムズ『フォッシー&ヴァードン〜ブロードウェイに輝く生涯〜』(2019)

『キャバレー』や『シカゴ』『オール・ザット・ジャズ』など、ブロードウェイを代表する振付師兼映画監督のボブ・フォッシーと、妻で女優のグウェン・ヴァードンの波乱の関係を描いた全8話のドラマシリーズが『フォッシー&ヴァードン〜ブロードウェイに輝く生涯〜』です。

グウェン・ヴァードンは、振付師から女優に転身し、トニー賞ミュージカル主演女優賞を4度受賞。『シカゴ』のオリジナル・キャストとして初代ロキシー・ハートも演じています。フォッシーとは1960年に結婚し、娘をもうけますが、彼の浮気が原因で結婚は事実上破綻。しかし、1987年に彼が亡くなるまで離婚はしませんでした。

本国では2019年に放送され、エミー賞で17部門ノミネート、ミシェル・ウィリアムズの主演女優賞など4部門を受賞しました。フォッシーを演じたのは『スリー・ビルボード』でアカデミー賞に輝いたサム・ロックウェルです。日本ではWOWOWで放送されました。

⑱ベティ・デイヴィス×スーザン・サランドン/ジョーン・クロフォード×ジェシカ・ラング『フュード/確執 ベティvsジョーン』(2017)

『フュード/確執 ベティvsジョーン』は、2017年に放送された、全8話からなるテレビドラマシリーズです。1962年の映画『何がジェーンに起ったか?』で姉妹を演じたベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの、私生活における激しい確執と憎しみ合いを描き、それぞれを演じたスーザン・サランドンとジェシカ・ラングの演技は絶賛されました。

1989年に発表されたノンフィクションを原案に、『アメリカン・ホラー・ストーリー』や『POSE/ポーズ』などで知られるヒットメーカーのライアン・マーフィーが製作を手掛けています。

プライムタイム・エミー賞では主要10部門にノミネートされ、2部門で受賞。続編を望む声が高まりましたが、実現には至っていません。日本ではスターチャンネルで放送されました。

⑲ジュディ・ガーランド×ジュディ・デイヴィス『ジュディ・ガーランド物語』(2001)

『ジュディ・ガーランド物語』は、2001年、テレビのミニシリーズとして前後編に分けて放送された秀作ドラマです。10代の頃をタミー・ブランチャード、成人してからをジュディ・デイヴィスが演じ、とりわけデイヴィスは、エミー賞やゴールデングローブ賞など主な主演女優賞を総なめしました。

原作は、3人目の夫との間に生まれた娘ローナ・ラフト(ライザ・ミネリとは父親違い)が1998年に発表した回顧録(原題はMe and My Shadows: A Family Memoir)。実の娘だからこそわかるジュディの波乱の生涯が生々しく描かれ、晩年の一時期に焦点をあわせた映画『ジュディ 虹の彼方に』とは、趣を異にしています。

日本でもNHK BSで放送された秀作ドラマです。

⑳アニタ・ムイ×ルイーズ・ウォン『アニタ:ディレクターズカット』

歌手兼女優として絶大なる人気を博した香港の大スター、アニタ・ムイ。2003年12月30日、40歳の若さで子宮頸がんのため急死した、その波乱に満ちた生涯を描いた2021年公開の映画が『アニタ』です。

香港でモデルとして活躍するルイーズ・ウォンがアニタを演じます。また、アニタと親交の深かったレスリー・チャン役をテレンス・ラウが演じるほか、近藤真彦をモデルにした日本人青年も登場します。

映画に、1時間以上の映像を追加、全5話各話45分のドラマシリーズとして再構成したのが『アニタ:ディレクターズカット』であり、日本でもディズニープラスで配信されています。



今後も、まだまだ様々な企画が進行中!

2023年11月現在、他にもさまざまな企画が進行中です。

社会活動などに傾倒したエリザベス・テイラーの後半生を描く伝記映画『A Special Relationship(原題)』で、リズを演じる予定なのはレイチェル・ワイズ。

また、主演ルーニー・マーラで、オードリー・ヘプバーンの伝記映画も企画されていましたが、こちらはどうやら実現には至らなかったようです。

こうした伝記映画は、今後もいくつかの企画が出てきそうですが、実話ゆえのむずかしさもあって、製作段階で頓挫することも多く、なかなか難しいものがあるようです。

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